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日本経済後追いで失敗

加工型貿易の限界露呈

ウォン暴落の舞台裏は

米と親密化して救済へ

 

韓国経済は、これまで滅多に起こらなかった異変が相次いで表面化している。大地震(経済危機)の前兆でないかと緊張感が高まっているのだ。その前兆現象をいくつか挙げると、次のようなデータがある。

 

ウォン相場が、1ドル=1300ウォンと13年ぶりの安値に落込んでいる。6月の消費者物価上昇率が、通貨危機当時の1998年以来24年ぶりに6%台を記録した。6月の貿易赤字が、3ヵ月連続で続いており、2008年の金融危機以来14年ぶり、などだ。

 

韓国は過去2回、経済危機に見舞われてウォン相場が急落している。1998年や2008年以来の現象が、連続して起こっているだけに、「三度目の経済危機」か、と不気味さが漂い始めている。極めつけは、対外取引の決済に不可欠な外貨準備高が、この6月末で4ヶ月連続の減少になったことである。3月から6月までの4カ月間で、234億9000万ドルの減少である。短期間に、これほど大幅な減少は極めて異例である。

 


冒頭から、数字ばかり並べて恐縮だが、韓国経済は見えないところで揺さぶられていることは、過去が過去だけに十分に注意する必要があろう。人間で言えば、「血圧」が異常に上がっている状態である。それも、150をはるかに超えており医師から見れば「要観察」という事態になっている。それでも、韓国で気を揉んでいるのは今のところ、韓国銀行(中央銀行)くらいかも知れない。「三度目の危機」が、起こった場合に備えるべきなのだ。

 

日本経済後追いで失敗

韓国経済が、過去二度も経済危機=通貨危機に見舞われた背景は、人口が5168万人(2021年)と中規模であることが決定的に影響している。内需依存の経済成長に限界があり、それを補うべく輸出依存で海外に成長基盤を求めてきたことだ。韓国の場合、日本と張り合う精神が異常に高く、日本に歩いてきた道(輸出)をそっくり真似てきた。それが、対GDP比での輸出依存度を高めることになった。最近のデータを見ておきたい。

 

     輸出の対GDP比  貿易の対GDP比

2010年 40.54%    76.90%

2015年 37.05%    65.90%

2016年 34.13%    60.49%

2017年 35.74%    64.48%

2018年 36.31%    66.24%

2019年 33.81%    62.77%

2020年 31.69%    58.35%

出所:UNCTAD

 


韓国貿易は、「川上」(素材・中間財)から「川下」(組立て)への一貫体制でないことが特色である。言ってみれば、「加工・組み立」特化型であるので、利益幅が小さいのだ。日本のように、「川上」から「川下」までの一貫生産体制でない。これが根本的な脆弱性になって現れている。

 

日本の超円高時代、「川上」は国内に残り、「川下」が安い人件費を求めて海外へ進出した。素材・中間財は、日本国内から現地へ輸出する形が続いている。日本経済が、円安になっても輸出が増えにくい事情は、海外進出している日本企業が、為替相場に影響されにくい状態になっている結果だ。韓国と日本の産業構造では、天と地もの差がある。

 

日本の対GDP輸出比率は、12.66%(2020年)である。韓国の31.69%(同)から見れば、ざっと韓国の4割の水準である。日本の場合、輸出動向が経済成長率を大きく揺さぶる度合いが少ないのだ。その点で、韓国経済は輸出の影響度合いが大きい。

 


韓国における輸出入を含む貿易の対GDP比は、2020年で58.35%である。日本は24.75%(同)である。韓国経済の方が、はるかに海外情勢に影響を受ける体質だ。韓国は、この事実をしっかりと頭に入れて経済運営をしなければならない。現在のウクライナ侵攻に伴う国際商品価格の高騰は、貿易の対GDP比が示す通り、韓国が日本よりはるかに強い影響を受ける状況にある。何年かに一度のペースで起こる「国際異変」に対し、韓国の備えは不十分であったことを示している。

 

加工型貿易の限界露呈

韓国は、今年上半期(1~6月)の貿易赤字が史上最大の103億ドルに達した。今年4月から6月までの貿易赤字が響いたもの。貿易赤字が3ヵ月連続で続いたのは、2008年の金融危機以来14年ぶりである。原因は、輸入額の上昇である。ウクライナ侵攻による供給難でエネルギーと原材料価格が高騰したためだ。過去1年間で、原油価格は1.6倍、ガス価格は3.3倍、石炭価格は3.5倍へと上昇した。上半期のエネルギー輸入額は、前年同期より90%近い増加である。

 

こういう個別事情を見れば、韓国はロシア侵攻の被害者である。ウクライナ侵攻に加担した訳でないが、理不尽な被害を被っている。忘れた頃にやってきた災難だ。だが、過去二度も経済危機に見舞われた韓国として、こういう災難への備えがなかった点は落ち度である。(つづく)

 

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