米国政府は、中国の半導体製造能力の向上を防ぐべく、特定企業を標的にした輸出禁止措置を法制化する。オランダ、日本など同盟国の協力も要請する。中国が、ロシアに次いで安全保障上「危険な存在」という認識に基づくものだ。
『ロイター』(7月11日付)は、「米政権、半導体製造装置の対中輸出禁止で個別企業標的へー消息筋」と題する記事を掲載した。
(1)「バイデン米政権は、中国向けの半導体製造装置輸出制限を巡り、的を絞った新たな規制を検討している。中国の最大手半導体メーカー、中芯国際集成電路製造(SMIC)の生産活動に事実上狙いをつけて最先端技術が渡らないようにし、中国の最先端半導体の生産能力をそぐ。その一方で、世界経済への半導体供給が滞るのは避ける。消息筋5人がこうした構想をロイターに明かした」
SMICは、中国最大の半導体メーカーである。技術的には初歩の段階だが、いずれ高級半導体生産を手がけられないように、今のうちに「発展の芽」を摘むという米国の戦略である。
(2)「消息筋によると、輸出管理政策担当の米商務省が米半導体製造装置の特定の中国工場への輸出を禁止できないかを活発に議論している。最先端の14ナノメートル(nm)ノードやさらに小さい半導体の生産に入っている中国企業の工場を対象にする案だ。ただ、同じ中国企業が所有する工場でも、より汎用性の高い半導体を製造している工場には米国からの製造装置輸出を認め、世界全体で半導体不足を解消しようとしている動きに水を差さないようにするという」
SMICにとっては、14ナノメートル(nm)が最先端になる。サムスンでは、3ナノの生産を開始すると宣言したほど。これから見ても、14ナノは初歩的レベルにあることが分る。
(3)「米商務省の広報担当者は「特に半導体関連の輸出許可申請の分野では、(商務省や)他の審査機関は許可判断の際、輸出対象のテクノロジー・ノード(半導体技術の世代)を含め、さまざまな要素を勘案している」とコメントした。同省によると、バイデン政権としては中国に民生用、軍事用ともに最新技術を使わせないようにするため、同盟国や産業界と定期的に最適な方法を協議している」
バイデン政権は、中国の半導体技術の向上を阻止すべく、米産業界のほかに同盟国とも緊密な連絡を取っている。
(4)「今回の検討案が実現すれば、商務省が中国の個別の工場ごとに米国からの輸出を認めるかを決める初めての正式な規制措置になる。米国の競争力と国家安全保障を守るため中国による最先端半導体生産拡大を阻止する目標が一段と強化されることになる。複数の関係者によると、現在も非公式にはSMICに対してこうした方法が実行されているという。SMICはコメント要請に回答していない。同社は2019年終わり頃、14nmノードの半導体生産開始を発表している」
米国は、中国の個別半導体企業の実態までを把握して、半導体製造装置の輸出を管理する法律を準備している。SMICに対しては、すでにこうした規制が加えられているが、これを法制化して正統化する狙いだ。
(5)「同社はトランプ前政権下の20年に中国軍と関係があるとの理由で米企業の輸出禁止先に追加されたが、禁止対象はごく一部の半導体製造装置にとどまっていた。トランプ前政権が導入した輸出制限措置は許可の判断が省庁の裁量に委ねられたため、関係省庁間で見解が割れて審査や許可が大きく遅延する事態になっていた。消息筋によると、商務省が検討案に実効性を持たせるには、オランダや日本や韓国といった半導体製造装置の有力生産国である同盟国にも協力を求めることになる可能性が高い」
中国は、韓国の半導体製造技術者を大量にスカウトしている。だが、肝心の製造装置が輸入できなければ、せっかくのスカウトも意味をなさない。米国は、中国半導体企業の詳細な実情を把握しているのだ。


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