中国でマンションが完成しないことに抗議し、ローン返済停止をちらつかせる住宅購入者が増加している。政府は、住宅融資の不良債権化が懸念しており、地方政府が期日までに住宅開発事業を完了できるよう支援すると表明した。建設業者の資金繰り悪化で、工事が進捗しないのだ。
中国の住宅販売は、「青田売り」である。日本もバブル経済当時、マンション発売計画発表と同時に予約金を受取る販売が一般化した。建設業者は、こうやって建設資金を早めに調達できた。中国では現在、この「青田売り」が主流。消費者は、建物完成前から住宅ローンを支払っているのだ。それだけに、住宅ローン支払い拒否は、建設業者の倒産へ繋がる危険性を招く。
米紙『ウォール・ストリート・ジャーナル』(7月15日付)は、「混迷深まる中国住宅市場、ローン返済拒否で新局面に」と題する記事を掲載した。
世界の投資家と中国の住宅購入者は、中国の不動産市場への信頼感を失いつつある。販売が落ち込んでいる中国の不動産市場は、住宅プロジェクトの遅延や不動産開発業者のデフォルト(債務不履行)増加により、混乱は新たな局面に突入しようとしている。
(1)「今週、中国のソーシャルメディアでは、購入契約したマンションが完成しないことに不満を募らせる購入者らが、住宅ローンの返済を停止すると脅す投稿が急速に拡散された。彼らは、不動産開発業者が先行販売したマンションを引き渡す約束を守らなければ、自分たちもローンの返済義務を果たさないと宣言している。多くの不動産開発業者の株式や米ドル建て社債の価格が下落する中、債券価格は危機的な水準に沈んでいる。一部の投資家は、手当たり次第に売られたことで、投資適格級の財務が健全な中国企業の社債にも売りが広がっていると指摘している」
住宅購入者の言分は正当である。竣工前から住宅ローンを支払っている立場からすれば、早い完成を要求する権利があるのだ。地方政府は、この雲行きに驚いている。中国GDPの25~30%ものウエイトを持つ住宅開発に絡む債権は厖大である。それが、ローン支払いストップとなれば、関連産業へ波及して厖大な不良債権を生む。どんなことがあっても、こういう最悪事態を防止しなければならない事態だ。下線のように、不動産開発関連の株式、社債は投げ売り状態である。
(2)「アステラ・キャピタル・パートナーズのエグゼクティブディレクター兼債券ヘッジファンド・ポートフォリオマネジャーのケニー・チャン氏は、不動産開発業者の社債が売られる状況について、「まるで投げ売りだ」と指摘。住宅販売が回復の兆しをほとんど見せていないほか、中国経済が成長に向けて大きなハードルに直面しており、投資家は中国の不動産セクターに対する信頼をほぼ失ったと述べた」
住宅販売が回復の兆しをほとんど見せていないほか、投資家は中国の不動産セクターに対する信頼をほぼ失った状態である。まさに、不動産バブル崩壊そのものである。この事態の中で、中国経済が回復するのは厳しい状況である。
(3)「中国の不動産業界データを提供する克而瑞信息集団(CRIC)によると、国内の大手デベロッパー100社の新築住宅販売は昨年7月以降、前年同期比で毎月減少しており、今年上半期には落ち込みが加速した。住宅価格も下落しており、住宅価格に関する民間セクターの指標は、中国の公式統計よりもはるかに大幅な下落を示している」
政府発表の住宅価格下落率は、「0%台」である。不動産価格の変動が、このような「微少」のはずがない。ガクガクと動く筈だ。これまで、投機対象になっていただけに住宅価格変動が、大幅なことは間違いない。
(4)「中国の不動産市場を追跡・分析する通策研究所のリサーチディレクター、ソン・ホンウェイ氏は、「不動産市場はまだ底を打っていない」と話す。今週初め、住宅購入者がローンの支払いを拒否すると発言した約30件の不動産プロジェクトのリストが中国のソーシャルメディアで明らかになり、複数のリサーチ会社が調査に乗り出した。14日にはそうしたプロジェクト数が200件以上に拡大。リストには、佳兆業集団(カイサ・グループ)や中国奥園集団など、米ドル債がデフォルトに陥った不動産開発業者による未完成のプロジェクトも含まれる」
住宅購入者が、ローンの支払い拒否発言した物件は、すでに200件以上に拡大。この情報は、SNSで拡大している。この中には、問題を起した不動産開発企業が含まれている。これが一層、消費者の不安感を強めているのであろう。
(5)「14日には、一段と不安を募らせる中国の人々が、悪化する不動産市場への懸念をソーシャルメディアでぶつけた。武漢や上海などの都市の未完成のマンションの購入者らは、建設が再開されない場合、あるいは不動産開発業者が約束したスケジュール通りに住宅を引き渡さない場合、住宅ローンの支払いを停止するとオンラインで署名した」
当局は14日、地方政府が期日までに住宅開発事業を完了できるよう支援すると表明した。中国銀行保険監督管理委員会(銀保監会)の当局者は、住宅・建設関係当局や中国人民銀行(中央銀行)と連携を強め、地方政府が住宅引き渡しを保証するのに協力する意向を示したもの。国営メディアが報じた。
住宅ローンは、融資全体の約2割を占めている。アナリストは、住宅購入者が住宅ローンの支払いを停止すれば、銀行の住宅ローン不良債権比率が3~5倍上昇する可能性があると推計している。大変な事態を招くだけに、政府も深刻である。


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