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韓国を「クアッド」(日米豪印)に参加させろ、という議論がある。クアッドは、インド太平洋戦略の緩いグループである。だが、先々にはより強固な結びつきになる可能性を持つ。それだけに、韓国がクアッドへ正式加入する場合、日本との感情的行き違いをどのように乗り越えるのか、これが最大のポイントだ。

 

文政権以前は、韓国軍の上級階級が自衛隊へ留学していた。韓国艦艇が2018年12月、海上自衛隊哨戒機へ行なったレーダー照射事件を巡る騒動の際、韓国国防部長官(国防大臣)は日本へ猛烈な敵意を見せた。彼は、二度も航空自衛隊へ留学しており、海上自衛隊哨戒機が国際ルールで飛行していることを熟知していたはずだ。それにも関わらず、あのような虚言で日本へ対抗した。また、旭日旗を降ろして釜山港へ入港せよとも要求している。自衛隊が、このような韓国軍と共同作戦することは難しいであろう。

 


『日本経済新聞』(7月16日付)は、「韓国をクアッドに引き入れよ」と題する記事を掲載した。筆者は、元NATO欧州連合軍最高司令官ジェームズ・スタブリディス氏である。

 

米太平洋艦隊で過ごした長い年月の間、私はしばしば日本と韓国の間にある敵意に驚かされた。日本による朝鮮半島占領の傷痕など複雑な歴史的経緯があり、両国間に政治的見解の相違があることは理解している。それでも米軍の責任者は、両国のカウンターパートとの協力関係を構築できないことにいら立ってきた。

 

(1)「北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記の動向や中国が軍事的主張を強めていることを受け、韓国は軍事力を強化している。今後は安全保障において日本とのハイレベルの協力関係を模索するとも思われる。日米豪印4カ国の枠組み「Quad(クアッド)」は韓国を加え、5つを意味する「quint(クイント)」を考える時期だろうか。韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権は防衛支出の増加を示唆している。射程が長く高性能の弾道ミサイルや、核弾頭は搭載しない極超音速巡航ミサイルなどの導入を目指すとみられる」

 

韓国は、右派や左派も問わず自衛隊に恐怖感を持っている。日本の防衛費増大や改憲によって、自衛隊は韓国へ攻め込むと警戒しているのだ。このような状況で、自衛隊と韓国軍が共同行動を取ることは難しいであろう。旭日旗にすら敵意を見せる国だ。世界で唯一の「恐日国」である。

 


(2)「韓国は米国の「核の傘」に依存し、自前の核戦力の構築を控えてきた。今後も核保有に踏みだす可能性は低いが、原子力潜水艦の建造や、核兵器製造の手前の能力の構築を選択する可能性はある。米国は、韓国が核兵器や原子力潜水艦を取得することに反対してきた。しかし米国がオーストラリアの原潜配備計画を黙認したことで方針は変わるかもしれない。この瞬間にも北朝鮮は核実験の準備を進め、記録的な数の弾道ミサイルを発射している。2022年の発射数は19年の25発をすでに超えている。

 

米国は、韓国へ原子力潜水艦技術の伝授を拒否している。中ロへ漏出することを警戒しているのだ。米国の韓国への信頼度は、日本と比べて極めて低い。文政権の反米傾向が祟っている。

 

(3)「北朝鮮は陸軍と空軍の近代化も進めている。韓国は、経済問題に悩まされている北朝鮮が見返りを求めて本格的な威嚇行為を始めるのではないかと懸念している。その結果、韓国は米国が持つ情報への無制限のアクセスを求めるだろう。北朝鮮の核戦力に対する先制攻撃を実施するには、韓国は攻撃力の高い無人兵器も必要になる。サイバー攻撃でも北朝鮮は強力な能力を有しており、韓国には米国の支援が必要だ。尹政権の防衛力の強化が軌道に乗っているように見えるのは重要だ」

 

韓国は、北朝鮮への軍事的対抗措置を高めなければならない。それには、どうしても日米韓三ヶ国の結束が不可欠である。だがその前に、韓国の抱く日本への敵意をどうするのか。表面的に柔和になっても、感情面でのしこりまで解くには大変な時間がかかるであろう。二言目には、「謝罪せよ」と迫る韓国人の深層心理が急に変わるはずがない。

 


(4)「日本も同様に防衛費を増やしている。年末までに改定される予定の「国家安全保障戦略」では、攻撃能力と弾道ミサイル防衛に向けた支出を増やすとみられる。韓国の尹大統領と日本の岸田文雄首相との首脳会談が開かれれば、両国間の防衛協力が優先議題のひとつになるだろう。両国はロシアによるウクライナ侵攻を強く非難した。ロシアの攻撃によって、人々は太平洋地域における軍事侵略の可能性が現実にあることを認識した。米国側はアジアの両国が共に防衛費を増やし、防衛協力の可能性を議論していることに満足感を抱いている」

 

このパラグラフは、実に表面的なことばかりを取り上げている。むろん、こういう一致点は必要であるが、心のモヤモヤが解決できずに日韓で強力なパートナーシップを築くことは困難であろう。その溝を掘ったのが文政権である。

 


(5)「米海軍主催の多国間海上訓練である第28回「環太平洋合同演習(リムパック)」は、韓国海軍と日本の海上自衛隊、その他二十数カ国が参加する世界最大の合同演習だ。6月29日に始まり8月まで開催され、クアッド参加国である豪印も重要な役割を担っている。韓国にとっては、米国との同盟の力が、日豪印とも連携することで強化される可能性がある。リムパックは海上と空中での協力の優れたリハーサルになるだろう。クアッドが、いつの日かクイントになる可能性はあり、韓国の参加は米国にとって歓迎すべき一歩になるはずだ

 

下線のように、いつか韓国がクアッドに参加する日が来るであろう。その場合、韓国の政治状況の安定が不可欠である。反日勢力がどうなっているか。ポイントはここにある。