韓国は、形の上で市場経済国であるが、国家への構造的な甘えを抱える異質性を持っている。あらゆる分野で、国家が経済の担い手になるのが当然、という古い考えに支配されているのだ。OECD(経済協力開発機構)で、韓国は最大の公共機関数を擁しており、今でも民営化論は御法度な国である。その点で、社会主義国に似通った性格を持つ。
文前政権は、この甘え主義を最大に生かして、公共機関での人員採用や給与引上げなど「膨張政策」を恣に行なった。自らの支持層を職員として採用し、給与も大幅に引上げたのだ。この結果、厖大な赤字を出しているが、「民営化論」は絶対に言い出せない社会的な雰囲気を醸し出している。進歩派(民族主義)が、民営化論に対して「新自由主義」と訳の分らない非難をして、「無慈悲な政権」というレッテルを貼るのだ。韓国の異質性が浮かび上がっている。
韓国では350の公共機関の正規職の数が、昨年末時点で40万人を超えた。過去5年間で10万人以上も増えた。文在寅政権の「非正規職の正規職化」政策に従ったものである。公共機関の正規職4人に1人は、文在寅政権で正規職に転換したか、新規採用されたことを意味するほどの膨張ぶりである。
この結果、人件費負担も増大した。公共機関の総人件費は、文政権が発足前の16年に22兆9000ウォンだった。それが、20年には32%もの増加ぶりである。こうして、公共機関の負債も急増している。2018年に503兆7000億ウォンが、20年には44%増である。韓国財政は、見えない部分で「腐食」が進んでいる。
公共機関経営は、最悪事態を迎えているが、「民営化」という声はどこからも聞えない。ユン政権も人員減は、「自然減」で行なうとしている。そして、「民営化」とは無縁とわざわざ断わり入れているのだ。
『東亞日報』(7月30日付)は、「来年から公共機関定員削減、今年下半期の経常費も10%以上削減へ」と題する記事を掲載した。
23年から、公共機関の定員を減らし、今年下半期(7~12月)の経常経費と業務推進費を10%以上削減する。宿泊施設の運営など、民間と競合する業務は減らし、不要な海外事業やゴルフ場・コンドミニアム会員権などは売却しなければならない。
(1)「秋慶鎬(チュ・ギョンホ)経済副首相兼企画財政部長官は29日、政府ソウル庁舎で開かれた公共機関の運営委員会でこのような内容の「新政府の公共機関の革新をめぐるガイドライン」を議決した。秋副総理は同日の会議で、「公共部門が率先して腰紐を締めて骨を削る強力な革新を推進しなければならない」とし、「新政府では、公共機関の非効率と放漫な経営をこれ以上容認しない」と明らかにした」
市場経済国では、民営化できる分野は民営化するのが原則である。日本もすべて民営化した。旧国鉄は、JRになって経営は大いに安定している。韓国で民営化できないのは、労組が巨大権力をにぎっている結果だ。労組が、既得権益を失うことに抵抗して、社会の変化を阻んでいるのである。
(2)「政府は350の公共機関に、△組織・人材、△予算、△機能、△資産、△福利厚生の5分野にわたって革新計画を策定後、来月末まで提出することを指示した。このため、公共機関は来年から原則的に定員を減らさなければならない。過度な幹部職の割合を減らし、「副頭取」「部門長」「本部長」等、似たような業務の職位も統廃合しなければならない。ただ、新規採用が減るという懸念に対して、企画財政部の崔象大(チェ・サンデ)第2次官は、「定員を縮小しても、人為的な調整よりは退職や離職、自然減少などで段階的に縮小し、新規採用に及ぼす影響を最小化する」と説明した」
下線のような名目の管理職をつくって、手当を支給させている。マネジメントの簡易化は、世界の流れであるが、韓国はこれに抵抗している。それだけ、「権威主義」が未だにはびこっている証拠だ。儒教社会の形式主義は、簡単に修正不可能なのだ。
(3)「これに加え、公共機関は今年下半期の管理費と出張費などの主要経常経費と業務推進費を10%以上ずつ減らさなければならない。来年は、経常経費は今年より3%以上、業務推進費は10%以上削減することにした。不要なゴルフ場の会員権などの重要でない資産は売却し、過度な事務室の面積も減らさなければならない。民間が遂行できる宿泊施設の運営や知識財産の評価などの業務は、縮小しなければならない。ただ、この過程で民営化の推進計画はないと、企画財政部は明らかにした」
韓国は、昨年から人口減社会へ突入している。急速な出生率低下によって、いずれ日本以上の超高齢社会へ移行する。こうした、人口動態的に分りきったことを理解せず、儒教倫理に振り回されている。他国のことながら、「目を覚ませ」と言いたいのだ。


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