a0960_006624_m
   


米下院議長ペロシ氏の訪台は、7月の米中外相会談で通告済という報道が現れた。米紙『ニューヨーク・タイムズ』が、米国務省高官の話として伝えた。同紙によると、ブリンケン氏はインドネシア・バリ島で会談した王氏に、「台湾に行くかどうか最終的に決めるのはペロシ氏で、その権利は彼女にある」と述べた。この報道通りとすれば、中国による一連の騒ぎは何であったのか。中国国内向けの「演技」となろう。

 

4日に予定されていた日中外相会談も見送られた。中国側が中止を申し入れたもの。中国外務省の華春瑩報道局長は記者会見で、主要7カ国(G7)外相がペロシ米下院議長の訪台を巡る共同声明で「不当に中国を非難した」からだと説明した。ペロシ氏の訪台騒ぎは、いよいよ、中国国内向けということになる。

 


『日本経済新聞 電子版』(8月4日付)は、「ペロシ氏訪台『7月の米中外相会談で通告済み』米紙報道」と題する記事を掲載した。

 

米紙『ニューヨーク・タイムズ』が米国務省高官の話として伝えとことでは、ブリンケン氏はインドネシア・バリ島で会談した王氏に「台湾に行くかどうか最終的に決めるのはペロシ氏で、その権利は彼女にある」と述べた。それでも、中国外務省は米中外相会談後に「両国の将来のハイレベル交流のための条件を整備した」と総括。首脳協議に向けた地ならしが進んだと示唆した。

 

(1)「米国のホワイトハウス、国務省、国防総省には、台湾海峡における軍事緊張を高めかねないとの理由で、ペロシ氏の訪台には慎重論が強かった。バイデン米大統領は7月20日、記者団に「米軍は(訪台を)よい考えだとは思っていない」と明かした。米下院議長は副大統領に次ぐ大統領継承順位2位の要職で、訪台はバイデン政権として台湾に強い支持を与えることになる。オースティン国防長官らはペロシ氏に訪台のリスクを直接説明したが、翻意は難しいと判断したもようだ」

 

米国政府は7月、ペロシ氏の訪台計画について通告していた。中国は、米中首脳の電話会談で烈火のごとき怒りを表明したが、国内向けの「芝居」であった。中国が、ペロシ訪台で米国と一戦構える状況にないのだ。中国側の厳しい経済状況を見れば、当然の選択であろう。だが、習氏は弱みを見せられないから、ペロシ氏が台湾を離れた後に実弾演習で「ガス抜き」を計っているのだ。

 


(2)「ニューヨーク・タイムズの報道が事実ならば、中国の習近平国家主席が事前にペロシ氏の訪台を織り込んだうえで米国の求めたバイデン氏との電話協議に応じたことになる。同紙によると、バイデン氏は習氏に「ペロシ氏を制御できず、(連邦議会の)元議員として彼女が決断する権利を尊重する」との意向を伝えた。習氏は電話協議で「火遊びは身を焦がす」との強い表現でペロシ氏の訪台をけん制しながら、バイデン氏との対面会談の調整開始に同意した。中国はペロシ氏の訪台に反発し、台湾周辺での軍事演習を始めたが、首脳レベルでは、米国との軍事衝突に発展しないようにメッセージを発信した」

 

中国が、ペロシ訪台を本当に怒っているならば、ペロシ氏が訪台する前から実弾演習をすべきであろう。それを敢えて外している。計算尽くであるのだ。ここら当りに「八百長」の臭いがするのだ。

 


(3)「ペロシ氏の訪台の可能性を把握した中国が、米国との緊張を過度に高めないよう腐心した痕跡もある。習氏は7月26、27日に北京市で開いた共産党幹部との重要会議で「台湾海峡の平和と安定を断固として守ってきた」と話した。同31日には軍のイベントに出席したが、官製メディアは習氏の発言を一切伝えなかった。習氏が共産党トップとして3期目を狙う秋の党大会を前に、バイデン氏と抜き差しならない状況に陥れば、失点になりかねない。軍事演習で国内向けには対米強硬姿勢を強調しながら、偶発的な衝突を回避する狙いだ」

 

習近平指導部は現在、引退した長老らと河北省のリゾート地、北戴河に集まり、非公式会議に参加しているとみられる。この会議で、今回のペロシ訪台問題はどのように総括されるかが、興味深い。弱腰を非難されるのか。または、米軍との衝突を避けたことを褒められるのか。部外者には想像もできないが、米軍衝突回避が評価された筈である。中国に米軍と戦う準備はないからだ。

 

共産党長老は、米国との協調派が多いと見られる。鄧小平に親近感を持っている人たちだ。ゼロ同然の中国経済が、現在のような姿に変貌できたのは西側諸国との貿易によるものである。それが、いきなり棍棒を持ちだして米国へ対抗する。余りにも不自然である。中国経済は、これから胸突き八丁を迎える。米国と対抗して何のプラスもないのだ。北戴河に集まりでは、こういう慎重論が出て当然。実際のところはどうなるか、だ。