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不動産バブルに支えられてきた中国経済も、ついに年貢を納め時になった。絶好であったインターネット通販「王」も、売上が横ばいに止まった。これまでの4半期ごとに、2桁売上成長もストップして横ばいへ。純利益は前年比で半減という惨憺たる有様である。

 

主因は、長引くロックダウンと不動産バブルの終焉である。とりわけ、住宅販売は連続11ヶ月の売上ダウンとなっている。住宅関連の不振は、小売販売へと大きく影響する。

 


『ロイター』(8月5日付)は、「アリババ決算が示す、中国経済『偽りの夜明け』」と題する記事を掲載した。

 

話がうますぎると感じたなら、その勘はたいてい当たっているものだ。中国の電子商取引(EC)最大手、アリババ・グループ・ホールディングが4日発表した4~6月期決算は売上高が前年比横ばいとなり、減収を想定していた市場の予想を上回った。新型コロナウイルス感染抑止のためのロックダウン(都市封鎖)が緩和された今、個人消費は増えるとの期待が広がっているが、よく見ると赤信号も灯っている。

 

(1)「今回の決算は、中国の「ゼロコロナ」政策による打撃を浮き彫りにした。全国各地が封鎖された結果、「4月と5月は比較的低調だった」とダニエル・チャン最高経営責任者(CEO)は述べたが、低調どころではない。売上高全体の35%を占める最大部門、国内ECの歩合・広告収入は46月期、前年同期で10%も落ち込んだ。この部門が足かせとなり、全体の営業利益は約20%減の37億ドルとなった」

 


4~6月期決算は、売上高が2055億6000万元(304億3000万ドル)となり、2014年の上場後初めて前年同期から横ばいにとどまった。中国の新型コロナウイルス対策のロックダウン(都市封鎖)が響いた。これまでは上場後に四半期ごとに2桁の増収率が続いていた。それが、横ばいに止まったのだ。

 

純利益は、227億4000万元とほぼ半減した。調査会社パシフィック・エポックによると、「アリババはビジネスサイクルが成熟しつつあり、規制環境も完全に変化したため、かつてのような力強い成長率を永遠には維持できない」と指摘する。何と言っても、政府が加えた規制強化が痛手だ。社員採用も大幅に減らしている。完全に、守りの姿勢である。

 

(2)「同社は業績不振の原因として、ショッピングサイトの取り扱い件数が減少したことと、物流のボトルネックにより注文キャンセルが急増したことを挙げた。しかし現在は上海や北京などの大都市で封鎖が解除されたため、回復の兆しが見えるとの楽観的なトーンを打ち出した」

 

このパラグラフで指摘されている点は、上辺の現象説明である。そうではなく、中国経済の抱える構造的な矛楯が吹き出していることに気付くべきだろう。

 


(3)「ロックダウンの解除を受け、政府の6月の消費者信頼感指数はわずかに上昇したものの、相変わらず過去最低水準に近い。民間セクターも財布のひもを締めている。チャイナ・ベージュブック・インターナショナル(CBBI)が先月、企業1000社以上を対象に実施した調査では、幅広い業界で投資、採用、借り入れ活動の低下が示された」

 

ブルームバーグによれば、CBBIの調査では、7月の工場生産と新規受注は2020年半ば以来の低水準に減速した。小売業の雇用は過去2年間で最悪となった。CBBIは、新型コロナウイルスの感染拡大で最も打撃を受けているのは、小売業だと指摘する。小売業の売上高の伸びは4カ月連続で下落している。

 


(4)「景気減速時に企業が真っ先に削る支出の1つがマーケティング費だ。アリババは売上高の明確な内訳を示していないが、同社の中心的な顧客であるオンライン広告主は既に予算を縮小しており、減速は長引くとみられる。こうした現象は既に世界で起きている。広告事業の巨大企業、米メタ・プラットフォームズ(旧フェイスブック)は、第2・四半期の売上高が1%減少したと発表した。テンセント・ホールディングス(騰訊控股)や動画アプリ「快手」など、中国のインターネット関連企業も広告収入が減少すると警告している。リフィニティブによると、テンセントの広告収入は4~6月期に20%減少する見通しだ。アリババの実態は、中国経済の苦境がまだしばらく続くことを告げているようだ」

 

出店業者が、アリババのウェブサイト上の広告や宣伝にどれだけ資金を使ったか。それを追跡する重要指標が、顧客管理収入(CMR)である。これが、前年同期より10%減の804億元に低下したという。CMRは通常、売上高全体の3分の1程度を占める。それだけに、この落込みによる影響が大きい。アリババの苦境は、中国経済がゼロコロナと不動産バブル崩壊の影響を強く受けた結果である。ゼロコロナや不動産バブル崩壊の後遺症は、短期間に終息するという性格でない。