あじさいのたまご
   

習近平氏が、2015年に発表した「中国製造2025」では、25年の半導体自給率は75%を目指してきた。このため、12兆円もの資金が投入されたものの成果はさっぱり。21年の中国企業の半導体自給率は7%程度とされる。外資系企業を加えても15%程度の自給率に止まっているのだ。

 

こうした目標と実績の大きなギャップの責任は、「中国製造2025」の立案総責任者である習氏に及ぶはず。習氏はそれを巧妙に回避して、情報工業相疑惑として片付けようとしている。

 


『日本経済新聞』(8月6日付)は、次のように報じた。

「中国当局が半導体業界を巡る摘発に乗り出した。国策ファンドや紫光集団の元トップといった業界の大物が相次いで身柄を拘束された。習近平指導部の号令の下、業界に集まった約18兆円に上る強化資金の一部が不正流用された恐れがある。資金の投下ほど産業の競争力向上は進んでおらず、米国の制裁に加え、腐敗の横行が「半導体強国」の道を阻む」

 

習氏は、目前に迫った共産党大会を控えて、挫折した半導体育成計画の失敗を他に押し付けているだけである。もともと、半導体産業の基盤のない中国が、「半導体強国」を目指した矛楯が、計画挫折になっただけの話だろう。

 


『大紀元』(8月1日付)は、「
中国、現職の工業情報相らを調査 半導体国産化失敗のためか」と題する記事を掲載した。

 

中国政府はこのほど、半導体大手、紫光集団の趙偉国・前会長の身柄を拘束し、さらに工業情報相の肖亜慶氏とファンドである国家集成電路産業投資基金(国家大基金)の丁文武総裁を調査していると発表した。中国の半導体国産化戦略を担う大物が相次いで失脚し、波紋を広げている。

 

(1)「中国共産党の中央規律検査委員会(中規委)は7月28日、規律違反と違法行為の疑いで肖亜慶工業情報相を調査していると発表した。現職の閣僚級の摘発は、2017年に習近平政権2期目がスタートして以来、初めてのケースだ。また、中規委国家監察委員会は7月30日、14年に設立された半導体産業向け政府系ファンド、国家大基金の丁文武総裁についても、重大な規律違反と違法行為の疑いで調査していると公表した。中国メディア「財新網」7月25日付によると、国有半導体大手の紫光集団の趙偉国前会長が身柄を拘束された。紫光集団は昨年、深刻な債務問題で、中国の企業破産法により破産・再編の手続きに入った」

 

紫光集団は、習氏の母校である精華大学の学者が設立した半導体企業である。販売できる半導体の生産に失敗して倒産に追い込まれた。精華大学は、中国最高レベルの大学とされている。そのトップ教授でさえ、まともな半導体を生産できなかったのだ。製造業は、開発技術と製造技術の二つが噛み合わなければならない。中国では、製造技術が低レベルで致命傷になっている。

 

(2)「『ブルームバーグ』29日付は、ヒンリッヒ財団のアレックス・カプリ調査員の話として、半導体分野において中国が欧米への依存から脱却し「自力更生」することは、中国共産党にとって「非常に重要である」とした。カプリ氏は、中国の重要な半導体発展戦略を担当する肖亜慶氏らが「党の方針に完全に従っているかは明らかになっていない」とし、「中国政府はIT産業をますます支配しようとしている」との見解を示した。中国共産党は今年秋に5年に1度の党大会を開催する予定。肖氏らへの調査が党大会にどのような影響を与えるかはまだ不明だ」

 

中国では、半導体など見たこともない技術である。政府は、ここへ大量の資金を投入したので、補助金目当てのいかがわしい企業が名乗りあげた。この問題は当時、本欄で詳細に取り上げている。

 


(3)「
中国政府は半導体国産化を図り、同産業を振興するために過去数年間、莫大な資金を投じてきた。しかし、技術者不足や半導体の先端装置製造・設計・材料などが西側諸国に依存しているという問題に直面している。米政府の禁輸措置強化で、中国は製造設備や技術などの入手が困難になっている」

 

中国半導体は、ファーウェイを初めとして米国企業の技術支援を受けてきた。その技術支援が打ち切られたのだから、一本立ちは無理な話である。ファーウェイの現状が、それを物語っている。

 

(4)「米紙『ウォール・ストリート・ジャーナル』(WSJ)は今年初め、半導体企業の声明や政府系メディアの報道、地方政府の文書などから得た情報として、中国の中央政府または地方政府が主導した大規模な半導体生産計画のうち、過去3年間で少なくとも6件が失敗に終わったと報じた。これらの計画に約23億ドル(約3048億円)が投じられた。武漢弘芯半導体製造有限公司(HSMC)が昨年6月に経営破綻したことは国内外で最も注目された」

 

HSMCは、米国の技術を使用できない結果、倒産したものだ。完全に米国依存の産業が、中国半導体の実態である。

 


(5)「米調査会社ロジウム・グループの上級アナリスト、ジョーダン・シュナイダー氏は、肖氏らの失脚について「中国政府はおそらく『罪をかぶる者』を探しているのだろう。半導体産業が当初の約束通りに、実を結んでいないからだ」とブルームバーグに語った」

 

習氏は、人海戦術によって半導体を育成できると見ていた。習氏は、もともと理系の人間である。であれば、製造業の難しさを百も承知のはずだ。米国へ対抗する無益を知りうる立場である。だが、誰かをヤリ玉に上げて自らの責任を回避しなければならないのだろう。