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中国人民解放軍は8日、台湾島周辺の空・海域で、合同演習をしたと発表した。海上の艦隊や対潜水艦を念頭に攻撃の訓練をしたとしている。中国は47日まで台湾周辺で大規模軍事演習をすると発表、実施してきた。演習の終了を明言せずあいまいにし、常態化をちらつかせることで台湾に揺さぶりをかけようとしていると受取られている。

 

こういう中国の強引な動きは、米国での反発を高めている。米議会は、超党派で中国への制裁へ大きく動き出しているからだ。習氏が、状況を見誤って「お山の大将」気取りでいると、手足を縛られる危険性が出て来た。米上院は、超党派で「台湾政策法2022」を成立させる可能性が強まっているのだ。

 


「台湾政策法2022」は、
米上院外交委員会のメネンデズ委員長(民主)と予算委員会のグラハム委員長(共和)が共同提出した法案である。注目される中身は、

1)台湾に対する4年間で45億ドルの軍事支援する

2)台湾をNATO非加盟の主要な同盟地域に指定する

3)中国の台湾侵攻抑止のため強力な制裁体制の確立する

 

成立を目指す理由は、ウクライナで起きた悲劇を台湾で起こさせないためとしている。この法案が成立すれば、2)の通り台湾を正式にNATO(北大西洋条約機構)同盟扱いすることになり、米国は台湾に対する防衛義務が生じ従来の方針である米軍が台湾へ介入するかどうか曖昧にする戦略を転換することになる。中国の「火遊び禁止法」になる。

 

『日本経済新聞 電子版』(8月8日付)は、「中国、台湾周辺で軍事演習継続と発表」と題する記事を掲載した。

 

中国がいま盛んに発しているのが軍事演習の「常態化」というキーワードだ。中国軍直属の国防大学の孟祥青教授は中国国営中央テレビ(CCTV)で軍事演習を「常態化するかどうかは台湾独立勢力と米国によって決める」と説明し、米国と台湾の出方をみて継続するかどうかを判断すると明かした。

 

(1)「台湾の国防部(国防省)の7日の発表によると、同日午後5時(日本時間午後6時)までに台湾海峡周辺で中国軍の航空機66機、艦船14隻が確認された。航空機のうち12機は台湾海峡の事実上の停戦ライン「中間線」を台湾側に越えた。国防部によると、3~7日に中間線を越えた中国軍機の数はのべ100機にのぼった。中国軍による中間線越えは2019年に8年ぶりに確認され、20年には2日連続の実施があった。5日連続の実施は極めて珍しい。常態化を狙っている可能性がある。台湾陸軍は、中国軍が演習を実施したエリアに近い南部沿岸で9日と11日に「重砲射撃訓練」を実施する。偶発的な衝突リスクが高まる可能性がある

 


下線部のように台湾陸軍も重砲射撃訓練を開始する。中国軍との偶発的衝突リスクが懸念されるのだ。中国軍が今後、常態化した演習を続ければ、衝突リスクは高まるであろう。

 

中国は一見、強硬姿勢を見せているがペロシ米下院議長の訪台に対する抗議で、駐米中国大使を召喚する強硬手段を取っていないことが注目されている。大使召還は断交一歩手前の事態だが、中国は抑制的な姿勢を見せている。

 

『ウォール・ストリート・ジャーナル』(8月8日付)は、「中国、台湾威嚇で誇示した海空軍事力の中身」と題する記事を掲載した。

 

中国軍が4日間すべての演習で実弾射撃を行ったかどうか確認できなかった。5日から7日に実施された軍事演習に関するメディアの映像では、実弾射撃を取り上げていなかった。

 

(2)「人民解放軍当局者は、今回の演習について、台湾防衛のために米国が軍事的に介入するのを阻止する中国の能力が向上したことをはっきりと示すものだったと指摘した。中国人民解放軍国防大学の孟祥青教授(少将)は中国国営テレビで、中国が台湾東方の海域に向けてミサイルを発射すると発表したあと、米海軍の空母ロナルド・レーガンは(展開中の位置から)数百キロ後退したと述べた。空母ロナルド・レーガンには、「事態をモニターする」ため、台湾周辺の通常海域にとどまるよう指令が出ていると述べた」

 


米軍が静観しているのは、中国軍の動きを詳細に観察しているからだ。米国防当局者は、中国の演習で得た情報、特に空軍との共同作戦を行いながら、海軍がどのように船舶を航行させ、命令するかの分析を終えるには、数週間かかるだろうと述べた。軍事アナリストによると、中国は演習のために最新兵器をいくつか配備したが、すでに知られている軍用機器だったようだ。また、中国が台湾への船舶航行を妨害できることを示すのに十分な船舶を使用しなかったという指摘もある。以上、『ウォール・ストリート・ジャーナル』(8月8日付)から引用した。つまり、演習で手抜きしている部分があると指摘している。

 

(3)「軍事演習の期間中、中国国営メディアは、人民解放軍が台湾沿岸および台湾軍から目視できる範囲で訓練を行ったとみられる画像を公表した。例えば中国国営新華社通信は、中国海軍艦船の艦上から撮影した台湾の軍艦や台湾東部の海岸とみられる写真や映像を公表した。中国側が示した映像・画像は、台湾の一部アナリストやSNSユーザーから嘲笑の的になった。加工が施されていたとみられるからだ。台湾の国防部は、対抗するかのように、台湾のフリゲート艦が人民解放軍の艦船を追尾しているように見える写真を公表し、その写真に「これこそまさに真実だ。フォトショップは必要ない」とのキャプションを付けた」

 

下線部のように、中国の公表した映像は加工されていることがばれている。ということは、中国軍が、4日間すべての演習で実弾射撃を行ったかどうか確認できないのだ。映像で、「実弾射撃ショー」に仕立てた部分がある。今後も、演習と称しながら、実弾射撃もせずに居座っている可能性があるだろう。