中国経済と道連れの運命
半導体は米国一強体制へ
コリア有頂天時代に別れ
世界の激浪に翻弄される
韓国のウォン相場が急落している。9月7日のオフショア市場では、1ドル=1386ウォン(16時15分)まで下げた。1400ウォン割れが目前である。過去2回(1997年と2008年)の通貨危機では、1400ウォン割れは通過点であった。
今回の場合は、米ドルが高金利に支えられて突飛高を演じている。これにより、ウォンが安値に追込まれているという事情はある。日本円も例外でないからだ。理由は、それだけでないところに深刻さがある。次のような事情を抱えている。
1)韓国輸出の首位である中国経済が、長期停滞予想を強めていること。
2)韓国代表の半導体産業が、米中デカップリン(分断)の中で米国一強体制再編により弾き出されること。
前記の2点によって、韓国経済はこれまでの成長基盤をひっくり返されるに等しい事態を迎えるであろう。韓国が、こうした状況変化に上手く対応できる可能性はゼロだ。ここに深刻さがあるのだ。
中国経済と道連れの運命
前記に2点について、私のコメントを付けたい。
1)韓国は、輸出全体の25%強が中国向けである。香港を含めれば30%を超える。こうした輸出の中国依存度の高さから、これまで「経済は中国、安保は米国」と割り切り、いわゆる「二股外交」に余念がなかった。その中国経済が、明らかに成長路線から転落する兆候を強めている。不動産バブル崩壊によって、住宅需要が急減しているのだ。しかも、住宅ローン返済拒否が、大きなうねりを見せている。
頭金を払って住宅購入契約を結びその後、毎月の住宅ローンをきちんと払い続けても念願のマイホームが手に入らないのだ。建設業者が、資金繰り難で工事をストップさせている結果である。現在、住宅ローン返済拒否をしているローン残高は、S&Pグローバルによれば0.97兆~2.44兆元(約20~50兆円)と推計されている。
この住宅ローン返済拒否は、インターネットによって全土に知れ渡っている。こういう現実を知った人たちが、新規に住宅を購入しようするだろうか。悪い話が耳に入れば、誰でも住宅購入を控えるはずだ。特に、中国社会はこういう情報に敏感である。
中国の大手銀行では、融資残高の3分の1が不動産関連である。この状態で、前記のような住宅ローン返済拒否が起これば、「一波は万波を呼ぶ」の喩え通り、波及先は極めて広範囲になる。こうして、金融不安へ飛び火するリスクを抱えるのだ。
中国経済の抱えるもう一つリスクは、ゼロコロナの継続である。ゼロコロナ政策が、防疫対策の域を超えて政治問題になっている。習近平氏は、次期国家主席を目指しており、ゼロコロナ維持が至上命題にしている。これに反対する者は、「反党分子」という剣幕なのだ。ここまで思い込んでいる以上、習氏が簡単にゼロコロナ政策を止めるとは思われない。
現在の予測では、来年以降も継続すると見られている。長期のロックダウンが、若者の意識に重大な変化をもたらしているのである。英医療専門誌『ランセット』(6月号)に掲載された論説によれば、「メンタルヘルスの不調が、今後何年にもわたって中国の文化・経済に悪影響を与える兆候が出ており、中国のロックダウンは非常に大きな人的コストを生み出している」と指摘している。『ロイター』(8月30日付)が伝えた。最近、「結婚したくない」、「子どもを生みたくない」というネガティブ思考蔓延の背景にこれがあるのだ。
中国経済は、不動産バブル崩壊とゼロコロナによる負の連鎖で、これから急速に潜在成長率を押し下げて行くだろう。
韓国は、すでに5月から連続で対中貿易において赤字に陥っている。これまでにない現象だ。韓国貿易は、対中輸出で黒字を出し、その黒字で対日貿易赤字を消す。さらに、対米輸出で全体の黒字を計上する仕組みが出来上がってきた。だが、頼みの対中貿易が赤字になっている状況下で、今後は安閑としていられなくなった。「お尻に火がついた」状況だ。
半導体は米国一強体制へ
次の問題に移ろう。
2)韓国を代表する半導体産業は、米中デカップリン(分断)の中で、米国一強体制によってはじき出される危険性が強まっている。半導体は米国生まれの技術である。基本特許は、米国が抑えている以上、韓国は最終的に米国の意向に逆らえないのだ。米国は現在も、半導体の設計や設備で世界を支配する。日本は、素材と設備でその存在感を維持している。韓国は、メモリー半導体の生産で存在感を強く打ち出している。
半導体が、安全保障上において最大の戦略物資になっている以上、西側諸国は「中ロ枢軸」に対抗すべく再編成が求められている。こういう事情から、日米韓の半導体企業を結集させると、韓国が中国へも工場進出して二股で存在できないことは明らかだ。韓国半導体が、これまで成長発展できたのは、「グローバル経済」下にあったからこそ可能になったのである。
(つづく)
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