英経済分析機関エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)は、今後4年以内にデフォルトを宣言する可能性が高い国として、パキスタン、ラオス、ミャンマーなどを挙げた。いずれも、中国が一帯一路で多額の融資をしてきた国々である。
この状況では、中国に多額の焦げ付け債権が発生するのは不可避である。中国が、海外から資金を借り手「又貸し」してきただけに、大損になることは確実である。今や、臍(ほぞ)をかんでいるに違いない。
『大紀元』(9月6日付)は、「一帯一路、今年上半期の投資額約12%減『パキスタンに興味失う』」と題する記事を掲載した。
中国政府が掲げる広域経済圏構想「一帯一路」は近年、世界経済の減速と、参加国の債務急増に対する国際社会の批判が原因で挫折している。インド紙『プリント』は3日、今年1~6月までの「一帯一路」構想を介した中国の対外投資額は前年同期比11.7%減となったと伝えた。ロシア、スリランカ、エジプトなどへの投資がほぼゼロに近い状態であるのに対し、サウジアラビアが最大の投資先となったという。
(1)「中国商務部(省)の統計によると、「一帯一路」構想下で昨年上半期の対外投資額は842億ドル(約11兆9143億円)だったが、今年上半期は747億4000万ドル(約10兆5757億円)までに低下した。対露では、中国は2000~17年まで「一帯一路」構想を通じて総額1250億ドル(約17兆7100億円)を投資したが、今年上半期はロシアへの「投資を行っていない」。2月にウクライナ侵攻したロシアに対し、西側諸国が次々と経済制裁を発動したため、国際社会の制裁を回避する狙いがあるとみられる。中露両国は協力関係を深化すると表明しているため、中国商務部は中国の対露投資減少は「限定的なものだ」と示した」
中国は、今年上半期にロシアへの「一帯一路」投資をゼロにした。米国から「二次制裁」を科されることを警戒したもの。中国主宰のAIID(アジアインフラ投資銀行)でも、対ロシア融資をゼロにしている。米国の制裁を恐れている結果である。総じて、一帯一路事業に対して慎重姿勢で臨んでいる。投資資金の回収が次第に難しくなってきた結果であろう。
(2)「一帯一路」構想の目玉プロジェクト、中国・パキスタン経済回廊(CPEC)を巡る工事延期や批判の高まりで、中国側の投資額は13年から減少傾向だという。20年1~9月のCPECへの投資額は1億5490万ドル(約219億円)に達したが、昨年同期は7690万ドル(約109億円)にとどまった。さらに、今年1~6月の上半期は前年同期比で56%落ち込んだ」
中国・パキスタン経済回廊も頓挫している。パキスタンの財政破綻が理由である。ここまで追込んだ中国政府の責任は重い。
(3)「インドのシンクタンク、オブザーバー研究財団の研究者によれば、中国とパキスタンが2013~15年にかけてCPECプロジェクトを発表した当時、多くの資金を調達した。しかし同プロジェクトの第1段階が計画通りに進まず、予算が膨れ上がったことがその後の投資の妨げになった。また、CPECの南側に位置するグワーダル港の開発を巡り、地元住民による抗議活動が頻発し、中国企業と癒着する地元政府の汚職スキャンダルもありCPEC開発は頓挫している。研究者は、中国企業はパキスタンへの「興味がなくなりつつある」が、投資を撤退せず「後回しにする」とした」
パキスタンのグワーダル港の開発も頓挫した。テロによる阻止行動が活発化している。中国への反感が原因である。
(4)「サウジアラビアは近年、中国との友好関係を深めている。同国は16年に中国と全面的な戦略パートナーシップを結び、19年に両国は合同軍事演習を行った。サウジは昨年、中国の最大原油供給先となった。今年上半期における中国の対サウジ投資額は55億米ドル(約7783億円)に達した。「一帯一路」構想の参加国の中で最も多い。うち46億ドル(約6509億円)は原油や天然ガス開発に投じられる。香港メディア「アジア・タイムズ」は、サウジと米国の関係が原油価格の高騰やウクライナ情勢などでぎくしゃくしていることを背景に、中国は「中東での存在感を高める機会」と捉え、一帯一路を通じてサウジへの資金提供を増やしたとの見解を示した」
中国は、サウジアラビアへ接近している。サウジアラビアは、原油高騰で財政が潤っている。こういう先へ投資している限り、投資資金は確実に回収できる。中国は、焦げ付け債権に音を上げているのだ。


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