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韓国政府は7日(現地時間)、パリにある博覧会国際事務局(BIE)に「2030釜山(プサン)世界博覧会(エキスポ)」誘致計画書を公式に提出した。すでに、日本へは支援協力を依頼しており、実現に向けて動き出している。サムスン電子の李在鎔(イ・ジェヨン)副会長とSKグループの崔泰源(チェ・テウォン)会長が、大統領特使の資格でそれぞれ英国と日本を訪問し、2030年の釜山(プサン)万博誘致支援に出る予定である。

ところが、中国は2030年のエキスポに立候補するサウジアラビアを支援する動きを見せている。習近平氏が、その旨の秘密親書を送ったというのだ。中国は最近、半導体を目的に韓国へ一段の接近をしている一方で、サウジアラビアへも原油確保の目的で急接近している。中国の「二股外交」ぶりが明らかになったのだ。これで、韓国の「中国熱」はさらに冷めるであろう。

 


『中央日報』(9月8日付)は、「サウジに『秘密親書』送った習近平氏、釜山エキスポ誘致が非常事態に陥った」と題する記事を掲載した。

 

5日、中国の習近平国家主席がサウジアラビアのサルマン・ビン・アブドルアジーズ・アール=サウード国王に親書を送り、サウジアラビア・リヤドの2030年世界エキスポ開催支持を表明したとサウジ通信社(SPA)が同日、報じた。

 

(1)「多数決で決まるエキスポ主催争いで、中進国の投票者の心をリードできる中国がいち早くリヤド支持の意思を明らかにしたことにより、釜山(プサン)誘致戦を繰り広げている韓国にとっては厳しい競争を強いられる見通しだ。習主席の親書はこの日、陳偉慶サウジアラビア大使がリヤド外交部庁舎でワリド・ビン・アブドルカリーム・アール=フライジ外交部次官に伝達した。異例のことだが、今回の習主席の親書伝達の便りは中国官営メディアはもちろん、外交部やサウジ大使館ホームページにも全く公開されなかった」

 

中国が、秘密裏にサウジアラビアへ親書を送ったのは、韓国を刺激したくなかったもの。韓国へは半導体で接近しているからだ。だが、中国はサウジアラビアへも原油確保で最大の投資を始めている。

 

サウジアラビアは近年、中国との友好関係を深めている。16年に中国と全面的な戦略パートナーシップを結び、19年に両国は合同軍事演習を行った。サウジは昨年、中国の最大原油供給先となった。今年上半期における中国の対サウジ投資額は55億ドル(約7783億円)に達した。「一帯一路」参加国の中で最も多い。うち46億ドル(約6509億円)は原油や天然ガス開発に投じられる。

 

韓国は、中国の「裏の顔」を知って目が覚めるであろう。中国は、半導体と原油の両方を離したくない結果、綱わたり外交をしているのだ。

 

(2)「SPAは、習主席の親書の中で両国と国民をつなぐ堅固で緊密な二国間関係が記されていたと報じた。この日、ファイサル・ビン・ファルハーン・アル・サウード王子に代わりに出席したアール=フライジ次官は、陳大使と会談を行い、両者関係を検討して多様な関係で協力を強化する一方、相互利益問題についての見解を交換したと通信は伝えた。中国がこのように秘密裏に2030世界エキスポ開催地でリヤド支持の意思を明らかにし、釜山の誘致戦は大きな苦戦が予想される」

 

中国のサウジアラビア支援姿勢は、韓国を軽く見ている証拠である。韓国を脅せば、大丈夫と踏んでいるのであろう。韓国も、怒るべき時は怒らなければ鼎の軽重を問われる。

 


(3)「2030世界エキスポ開催地は来年11月、フランス・パリで加盟170カ国の投票で決まる。3分の2の賛成を受ける国家が出てくるまで繰り返し投票が行われる。韓国は2020年世界貿易機関(WTO)事務局長の選挙でも、産業通商資源部の兪明希(ユ・ミョンヒ)通商交渉本部長が米国の公開支持を受けて最終候補2人に進出したが、中国が支持したナイジェリア元財務長官出身のンゴジ・オコンジョ・イウェアラ氏に押されて結局候補から辞退したことがある」

 

韓国は、WTO事務局長選で韓国候補が敗退した苦い経験がある。あの選挙は、EU・日本・中国が揃ってナイジェリア候補を支援していた経緯があった。今回の2030年エキスポは、まだそういう状況にはなっていない。