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アジアの盟主を狙っている中国に、米国がIPEF(インド太平洋経済枠組)の網を投げて拒否姿勢を見せている。中国は、IPEFが中国包囲の「政治的枠組」と名付けた。現実はその通りである。中国が、ロシアと組んで「中ロ枢軸」を結成することへの強力パンチである。

 

『大紀元』(9月11日付)は、「米提唱のIPEFに中国猛反発、『中国包囲の政治的枠組み』」と題する記事を掲載した。

 

米国が提唱するインド太平洋経済枠組み(IPEF、アイペフ)は9日(日本時間10日)、正式な交渉入りに合意した。サプライチェーン強化などを通じて、重要物資をカードに他国を脅迫する中国への依存を下げる狙いだ。

 


(1)「中国は、「実質上の中国包囲網」であるとして警戒を強めている。「『経済協力』というペンキを塗ったが、その下地は中国包囲のための『政治的枠組み』だ」。中国共産党機関紙・人民日報傘下の環球時報は9日の社説でこう反発した。さらに、米国の真の目的は「アジア太平洋地域で中国と切り離した供給網、産業チェーンを構築するためだ」と批判した

 

下線の環球時報による批判は、その通りである。中国がロシアと組んで世界秩序破壊へと動いている以上、これを未然に防ぐには中国を経済的に封じ込める以外に道はない。それが、世界平和にとって不可欠な条件である。専制主義が、軍事的手段を持って民主主義制度へ挑戦することは極めて危険なのだ。

 

かつて、資本主義と共産主義の両体制は、どちらが国民を幸せにできるか競争して優劣付けるべきという議論があった。今、思い出しても懐かしい素朴な議論である。だが、ロシアのウクライナ侵攻を見て、そんな生易しい時代でなくなっている。武力で他国領土を奪い取るという野蛮時代に舞戻っているのだ。その意味では、米ソ対立時代よりも環境が悪化している。

 

中国は、このロシアの手口を見て台湾侵攻を声高に言い始めている。台湾封鎖をして大々的な軍事演習まで行い、自国の正統性を顕示し始めている。危険な兆候である。こういう中国を封じ込めるのは当然である。そうでなければ、軍事力行使を黙認することになるのだ。

 


(2)「米国は近年、軍事面でインド太平洋地域への関与を強めているが、経済面では環太平洋パートナーシップ協定(TPP)を脱退するなど影響力が低下している。米国不在のなか、中国は日本やASEAN諸国などを「地域的な包括的経済連携(RCEP)」に引き込み、地域での存在感を誇示している。IPEFに参加する14か国のうち、中国との経済依存度が高い11か国はRCEPに加盟している。中国はかねてから、IPEFには関税引き下げや撤廃が含まれないことを取り上げ、「参加国に何の利益があるのか」と揺さぶりをかけてきた」

 

IPEFは、関税引き下げや撤廃が含まれないことは事実だ。だが、それ以外でいくつかのメリットがある。

 

既存の貿易協定の関税引き下げを通した市場開放の代わりに、域内デジタル貿易活性化、親環境・低炭素貿易と投資促進、農業技術革新と食糧安保、通関手続きのデジタル化などに向け協力することにした。脱炭素という大きな世界的な流れを実現するには、互いに気心の知れたパートナーが協力し合うことが必要だ。



サプライチェーンの議題の場合、核心分野・品目を中心に危機対応メカニズムを設け投資を通じてサプライチェーン復原力を強化することにした。クリーン経済に向けては、クリーンエネルギー技術の普及と生産・貿易を拡大する。公正経済に向けては、租税の透明性を向上して反腐敗協約の履行を強化しようと合意した。

こうした課題解決に、なぜ中国を外しているのか。それは、中国がロシアと組んで他国領土を狙う「領土魔」であることだ。中国をパートナーに組入れても、そこから得た情報を悪用するリスクが大きい。狼を羊の群には入れられないのだ。

 

(3)「環球時報9日付の社説も、IPEF参加国を切り崩そうとする思惑をみせている。米国市場へのアクセスを期待する参加国に対し、「米国は見返りを与えないだろう」と批判を繰り返した。こうした批判を念頭に、西村康稔経済産業相は会合後の記者会見で「参加国にメリットを感じてもらえるような枠組みをつくる」ことを強調。「米国がインド太平洋地域への経済的な関与を再び明確にしたことは大きな意味がある」とIPEFの重要性を唱えた」

 

中国は、ロシアと手を組んだことから、警戒相手国に指定されている。はっきり言えば、「札付き国家」に身を持ち崩している。中国が、ウクライナ侵攻でロシアを支援していることは、大変な事態を招く原因をつくったことになる。