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韓国最大野党は、党代表・李在明(イ・ジェミョン)氏が検察に起訴されたことで瀬戸際に立たされている。判決で、100万ウォン(約10万円)以上の罰金刑が確定する場合、李氏は2027年の大統領選挙出馬が不可能となる。公職選挙法で、100万ウォン以上の罰金を確定すれば、被選挙権が5年間なくなるからだ。また、被選挙権を喪失すれば国会法136条に基づき直ちに議員職も失う。

 

これだけでない。李代表が100万ウォン以上の罰金刑を受ける場合、民主党にも政治的な波紋が広がる。先の大統領選挙で、民主党は選挙費用434億ウォンを補助されたが、これを返還しなければならないからだ。このように、李氏と民主党の「運命」は、裁判所が握ることになった。それだけに、ユン大統領への風当りは酷いものがある。政権が指図したような反発を見せているのだ。

 


『中央日報』(9月11日付)は、「安重根の淡々さ、李在明の悲壮さ」と題するコラムを掲載した。

 

李在明代表に対する検察捜査を控えた民主党が、とても悲壮だ。弾圧・報復・戦争という単語が出ている。「金大中(キム・デジュン)拉致事件」の比喩まで登場した。心の中では独裁時代の野党の苦悩に比較して、当てこすりたいところだ。しかし最近の言葉は「オーバー」だ。李代表の疑惑は新しいものではない。検察と警察が選挙を意識して先送りしておいた件だ。

 

(1)「問題の発言は、昨年10月の京畿道(キョンギド)の国政監査だった。「2015年9月のペクヒョン洞の敷地用途変更は朴槿恵(パク・クネ)政権当時に国土交通部の脅迫のため仕方なくやった」という主張だ。実際は、国土交通部が「用途変更は城南市(ソンナムシ)で判断せよ」という公文書を送っていた事実が最近わかった。民主党は「言葉尻をとらえる政治弾圧」と批判を高める。その論理ならば、李代表の言葉が偽りなのかどうかは重要ではない。もし偽りだったとしてもささいな失言であるためだ」

 

民主党は、「言葉尻をとらえる政治弾圧」と批判を高めている。だが、そういう類いの事件ではない。都市開発にまつわる疑惑と深い関係があるのだ。日本であれば、こういう反応はしない。検察捜査にすべてを任せてその結果を待つ。韓国はではそういう中立姿勢がなく、腕力で検察捜査を覆すという、前近代的な動きをしている。

 

(2)「李代表は、テレビ討論会中に「兄を強制入院させようとしたことはない」という虚偽発言で起訴され2020年に大法院(最高裁)の無罪判決で生還したことがある。民主党は「アゲイン2020」を思い起こさせる様相だ。テレビ討論と国政監査は違う。テレビ討論では予想外の質問に思いも寄らぬ回答が出ることがある。釈然とはしないが、大法院無罪判決はそうした情状を酌量した」

 

李氏には、過去にも自分の発言が事実と異なるとして大法院(最高裁)までもつれた事件があった。その際は、テレビ発言で「咄嗟」のことで言い間違えたとして無罪になった。今回は、事前の準備による発言である。「言い間違えた」では通らないのだ。

 

(3)「国政監査は、発言について事前に準備する席だ。当時、民主党の大統領候補に確定した李代表は、道知事辞任まで先送りして国政監査に臨んだ。大庄洞とペクヒョン洞など、世間に飛び交ったさまざまな疑惑を釈明する機会にしようと考えた。その場で、問題の「国土交通部脅迫」発言が出てきた。思わず出てきた失言ではないという意味だ」

 

地目変更が、「国土交通部による脅迫」と発言したことは、事実と相違していた。これは、言い逃れできない「虚偽」発言になる。有罪は免れない事態だ。

 


(4)「国会証言鑑定法上、偽証罪の刑量は1年以上10年以下だ。5年以下の懲役または1000万ウォン以下の罰金を払わせる刑法上の偽証罪より重い。国会証言台での嘘は民主主義の根幹を揺るがす重罪という意味だろう。国会偽証罪は、証人を調査した委員長名義で告発されなければならず、第三者の告発を通じた起訴は不可能だ。民主党が掌握する国会の構図でなければ公職選挙法よりはるかに重い法律が李代表を圧迫したかもしれない。ささいな言葉尻ではないということだ」

 

李氏は、国会偽証罪にも問われるはずだ。ただ、国会の6割の議席を占める最大野党「共に民主党」に助けられて、刑法上の偽証罪だけで済む可能性が指摘されている。この裁判が済むまで、韓国国会は空転するであろう。韓国経済は、さらに落込むことになる。

 


(5)「李代表の言葉通り脅迫が事実でも問題だ。力がある中央政府が無力な地方政府を脅迫したとすれば普通のパワハラではない。それこそ朴槿恵政権の積弊スタイルだ。そうしたことを見ても、「抑強扶弱」(弱きを助け強きを挫く)李在明の正義感がじっとしていたとすれば「完全失望」だ。脅迫を受けたという職員に録音や書類確保でも指示し憤然と戦っていなければならないのではないのか。そうするどころか、待っていたかのように自然緑地から準住居地に4段階も用途を高めた理由は何か」。

李氏は、弁護士資格を持つ。その李氏が、政府から「脅迫」されて黙っているだろうか。「抑強扶弱」を看板してきた李氏が、この件だけは黙っていたとは不自然である。地目変更で自然緑地を住宅地にして、巨万の富が李氏周辺の人物の懐に入ったのだ。李氏が、一枚噛んでいたと見るのが常識であろう。検察も、そこに焦点を合わせているのだ。