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韓国の対ドル・ウォン相場が、1400ウォン割れ寸前でもみ合っている。当局のドル売り介入によって1400ウォン割れを防いでいる結果だ。この「防衛線」が崩れれば、ウォンは一気に「50ウォン」単位で下落するのでないかという恐怖感が漂っている。

 

韓国銀行は20日、今年8月末現在の外貨預金残高が882億7000万ドルとなり、前月末に比べ21億1000万ドル減少したと発表した。この減少幅の大きさが警戒感を強めている。現在の、ウォン相場は1ドル=1394ウォン(21日12時08分)で踏ん張っている。

 


米紙『ウォール・ストリート・ジャーナル』(9月21日付)は、「
投資家の韓国離れ加速 アジア通貨危機の再来懸念」と題する記事を掲載した。

 

米連邦準備制度理事会(FRB)による積極的な金融引き締めを受けドルが上昇を続ける中、韓国ウォンは金融危機以来の安値に沈んでいる。一部のアナリストや投資家は、強いドルが一因となり、韓国などの国から資金が流出し市場が不安定化した1997~98年のアジア通貨危機と類似しているとして懸念を示している。

 

(1)「ハンファ投資証券のチーフエコノミスト、キム・イルク氏は、韓国にとって「資金流出は深刻な問題だ」と指摘。さらに流出が続けば通貨や株式、また債券に新たな圧力がかかることになる。そうなれば、コモディティー(商品)の輸入コストはウォンベースで上昇し、企業にとっては資金調達の負担も高まることになると述べた」

 

ウォンの対ドル相場は16日、取引時間中に1ドル=1399ウォンを付け、1400ウォン割れが迫り、韓国の通貨当局は対応に追われた。外国為替市場では、心理的抵抗線とされる1400ウォンを割り込めば、不安感が一段と高まりかねないと懸念されている。実際に1400ウォン割れとなれば、ウォン安が加速し、企業だけでなく、個人の間でも恐怖心理が広がりかねないからだ。

 

通貨当局は1400ウォン割れを阻止するために総力戦を展開している。16日から通貨当局は都市銀行と国策銀行にドルの取引状況を1時間単位で報告するよう求めた。通常外国為替取扱銀行は午前10時、午後1時、午後5時の3回、ドル取引状況を報告するが、1時間単位でリアルタイムに報告するよう要求する「実力行使」に出た。市中銀行関係者は「顧客のドル需要を満たす程度のドル資金だけを確保し、銀行が為替差益を得ようとするドル買い入れを行ってはならないという圧力だ」と話した。『朝鮮日報』(9月19日付)が伝えている。

 


(2)「ドルは19日の時点でウォンに対し、年初来で17%上昇。主要16通貨のバスケットに対するドルの価値を示すウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)ドル指数の約13%上昇を上回るペースとなっている。韓国はウォン安がさらに歓迎されない独自の問題も複数抱えている。同国は家計や企業の債務が多いため、中央銀行がインフレ抑制や通貨を支えるため積極的に政策を引き締めることができない状況となっている。同国はまた、特に最大の貿易相手国である中国などとの輸出に大きく依存するなど、より長期にわたる課題も抱えている

 

下線のように、韓国は固有の問題点を抱えている。家計や企業の債務が多いことだ。家計債務の対GDP比は100%を上回り、OECD(経済協力開発機構)の中で最悪である。韓国が、外貨流出を抑制すべく金利を急速に引き上げれば、家計の破綻リスクを誘発する。企業も、金利を営業利益で支払えない「死に体」が増えている。こうして、民間部門が高金利に耐えられない脆弱な構造になっている。

 

中国経済の不振も痛手だ。中国は、韓国輸出の4分の1(香港を含めれば3割)を占めている。その中国経済が不振である。対中貿易は、これまで恒常的に黒字であったが、すでに5ヶ月赤字に落込んでいる。この対中赤字が、韓国貿易収支構造を大きくマイナスへ引き寄せている。

 

以上のような固有の問題点を抱える韓国経済が、3度目の通貨危機に陥らないという保証はないのだ。むしろ、今回は中国経済不振という、これまでになかったマイナス材料が出ている。為替投機筋の狙い目はここであろう。

 

対ドルで1400ウォンを割込めば即、米国からドル資金を借入れて対応せざるを得まい。韓国では、これを「通貨スワップ」としているが、正式には「ドル借入れ」である。韓国は体裁を付けて「通貨スワップ」と称しているだけだ。