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ロシアは2つの問題に悩む

同じ病に感染している中ロ

極秘の電子兵器を捨て遁走

購入契約破棄のロシア武器

 

ロシアのウクライナ侵略戦争は、9月に入って大きな局面転換を見せている。ウクライナ軍が、北東部で約8000平方キロを奪回したからだ。この過程で起こったロシア軍の遁走は、これまで言われてきた「軍事大国」ロシアの姿とほど遠かった。小国の兵士が、先を争って逃げ去る状況を彷彿とさせた。「ロシア敗北」を強く印象づけたのである。中ロ枢軸に、空中分解の恐れも否定できまい。

 

 

振り返って見たとき、戦争には大きな「ヤマ場」がある。太平洋戦争で日本軍は、真珠湾奇襲攻撃で大勝を収めたが、その7ヶ月後のミッドウェー海戦で大敗北を喫した。これで、日本海軍は主力艦隊を失って日本敗戦への道に繋がった。

 


ロシアは2つの問題に悩む

ロシア軍のウクライナ北東部での敗北は、二つの要因によってもたらされた。兵士不足と武器不足である。

 

前者は、ロシアが開戦時に擁した兵員15~20万のうち、すでに7~8万人の死傷者が出ていると米英の軍事専門家は推計している。こういう、悲惨な戦い方になれば、兵士の士気が高まる筈がない。

 

「明日は我が身」と思う兵士は、勝手に戦線離脱(逃亡)を始めている。この数は、相当数に上っているようだ。ロシア議会下院は9月20日、戦闘中の兵士が指示に従わなかったり、脱走した場合などの処罰を重くする法案を可決した。自発的に降伏した兵士には、10年の懲役刑が科せられる。

 

こうした兵士不足状況を穴埋めすべく、プーチン大統領は21日、予備役の部分動員と親ロシア派地域の事実上の併合に踏み切る意向を強調した。予備役の部分動員は即日実施されるが、戦場へ出すまでに数ヶ月の訓練を要する。当面の戦局に影響なさそうだ。

 


予備役の部分動員で止まったのは、総動員に拡大した場合に国内での反発を危惧した結果と見られる。大規模動員になれば、これまでウクライナで「勝利」してきたというプロパガンダを自ら否定することになる。その矛楯を避けるには、最小規模にするほかないという悩みを抱えている。プーチン氏の最大の悩みはここにある。自分の「ウソ発言」に縛られて動きがとれないのだ。

 

武器不足の問題も深刻である。これまでロシアは、世界2位の武器輸出大国として発展途上国へ輸出してきた。そのロシアが今や、イランや北朝鮮へ武器譲渡を求めるという、想像もできなかった事態に追込まれている。これは、西側諸国が経済制裁で戦略物資の輸出を禁じた結果だ。ロシアは、西側の部品で武器弾薬を製造してきたことを白日の下にさらしたのである。要するに、ロシアの武器製造は西側の部品供給が止まれば不可能という、技術的脆弱性を曝したのである。

 


「軍事大国」ロシアが、戦いで「軍事小国」ウクライナに追込まれたのは、ロシア製武器がウクライナ軍の西側製武器に比べ性能が劣ることを証明した。ロシアの武器不足の問題は、ロシア製の武器輸入国に大きな衝撃を与えている。この問題は、兵士の戦い方とも関わるため、あとで詳細に取り上げたい。

 

同じ病に感染している中ロ

中国軍は、ロシア軍と共同演習を重ねるなど密接な関係を築いている。ロシアのパトルシェフ連邦安全保障会議書記が9月19日、中国外交担当トップの楊潔チ共産党政治局員と会談した。この席で、中ロは戦略的提携を深化して防衛協力を拡大し、主要な地政学的問題で両国が連携を強化するよう要請した。中ロは、「さらなる軍事協力と参謀本部間の連絡強化で合意した」という。

 

この中で注目すべきは、「軍事協力と参謀本部間の連絡強化」である。中ロの軍隊が協力するとは、同じ部隊運営システムであることが前提になる。

 


米国防大学は最近、中国軍がウクライナで苦戦するロシア軍と同じ潜在的な弱点を抱えており、同様の戦争で敗北する可能性があるという衝撃的な報告書を公表した。米『CNN』(9月17日付)が報じた。
これによると、中ロの協力関係強化は中国軍にマイナスになるという報告である。ロシア軍の脆弱性が、そのまま中国軍の弱点になるという注目すべき内容なのだ。

 

報告書では2021年までの6年間、中国人民解放軍(PLA)の陸海空軍とロケット軍、戦略支援部隊の5軍種に所属する幹部将校300人以上の経歴を調査した。その結果、どの軍種においても、幹部はキャリアを開始した軍種以外で作戦経験を積む機会に乏しいことが判明した。別の言い方をすれば、PLAの陸軍兵は陸軍兵のまま、海軍兵は海軍兵のまま、空軍兵は空軍兵のままキャリアを過ごすのである。これは、ロシア軍と全く同じ道である


報告書では、PLAの要員がそうした狭い組織の外に出ることはまれだと述べている。米軍が、1986年から法律で義務付けられており、軍種をまたいだ訓練を行なっている。米軍将校は、「オールランドプレーヤー」として、陸・海・空の知識を収めているので臨機応変な軍事判断が可能である。(つづく)

 

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