テイカカズラ
   

韓国経済を揺るがすウォン相場は22日、ついに1ドル=1400ウォン割れに落込んだ。当局の必死の介入で1300台を維持してきたが、米国の利上げに抗すべくもなく1400ウォンとなった。オフショア市場では、9月22日22時17分に1402.36ウォンである。

 

『ハンギョレ新聞』(9月22日付)は、「韓国ウォン、為替レート『年末に1500か』 外貨確保額は余裕あるが『超緊張』」と題する記事を掲載した。

 

ウォン-ドル為替レートが心理的抵抗線とされてきた1400ウォン台を結局突き抜けて、今は年末に1500ウォンを超える可能性まで市場から出ている。

 


(1)「22日、ソウル外国為替市場でウォン-ドル為替レートは前取引日より15.50ウォン下落し、終値は1409.7ウォンとなった。これまでに1400ウォンを割込んだのは、1997年の「自由変動相場制」導入以後、外国為替危機(1997~1998年)とグローバル金融危機(2008~2009年)2回。最近、当局は市中銀行にドル注文量をリアルタイムで報告するよう指示するなど介入に乗り出したが、市場の強力な1400ウォン割込みを防ぎきれなかった」

 

米国の0.75%の利上げには抵抗できなかった。韓国の政策金利は、2.50%である。米国は、3.00~3.25%へ引上げたので金利差が大きく開いている。これでは、ウォン急落は避けられなかった。

 


(2)「米連邦準備制度理事会(FRB)は、連邦公開市場委員会(FOMC)を開き、年末から来年にかけて政策金利をより早く大幅に上げると予告した。連準委員らは、今後到達する政策金利目標で今年末に年4.4%(中間値)、来年末の金利を年4.6%(中間値)と見通した。前回6月の金利見通しの中間値は、今年末が3.4、来年末は3.8%で、3カ月で約1ポイントも高まった。FRBは今年、米国経済の成長率も過去の展望値(1.7%)を大きく下方調整した0.2%と提示した」

 

FRBでは、今後の政策金利目標をさらに引上げる示唆をしている。今年末は、年4.4%(中間値)、来年末の金利が年4.6%(中間値)となっている。来年も引上げる可能性を秘めている。これは、ウォン相場にとってマイナス材料である。

 


(3)「市場では、FRBの積極的緊縮と米国の景気鈍化可能性により、安全資産であるドルの価値がさらに高まり、ウォン相場は急速に下落した。こうした状況で貿易収支の赤字転換、半導体輸出鈍化の可能性、韓国国内居住者の海外投資増加などの国内要因までがウォンの価値をさらに引き下げている。ウォン相場を転換させる変数はまったくなく、年末には1500ウォン割れとの声も出ている。NH先物研究院のキム・スンヒョク研究員はこの日、「今年第3四半期をウォン安の頂点と見たが、この日1400ウォンを割込んだだけに来年初めまでウォン相場はさらに下がりうる」とし、「ウォンレートの安値を1500ウォン水準に修正する」と明らかにした」

 

ウォン相場急落局面を変える要因はゼロである。年末には、1500ウォンへ続落すると悲観論である。

 

(4)「ウォン相場が過去の経済危機を想起させる水準まで下落し、危機感も高まっている。ウォン下落は輸入製品価格を引上げ、消費者物価上昇率をさらに煽りかねない。ただし歴代の経済危機と比較して現在は、国内のドル調達状況はまだ余裕がある。専門家は、外国為替市場とドル資金を借り貸しする外貨資金市場の両方を一緒に注視している。外国為替危機は、企業や金融機関のドル調達が難しくなり、ドルの流動性に問題が生じたときに発生する。外貨資金市場の側で、資金繰りどれだけうまくいくかが重要な理由だ」

 

韓国は当面、ウォン急落はあってもドル資金繰りに破綻はなさそう。FRBが2020年、米国債相場の下落を防ぐ目的で考案した制度(FIMAレポファシリティ)があるからだ。海外中央銀行が、保有する米国債をFRBへ担保として提供し、ドルを借りる方式である。韓国銀行も昨年、上限600億ドル(調達金利年0.25%)で契約を締結した。米国債保有限度で自動的にドル資金を借り出させるのだ。韓国は、この制度があるにも関わらず「通貨スワップ協定」締結を持出し騒いでいる。

 


(5)「韓国銀行は、この日の「金融安定状況」報告書で、グローバル金融危機と同様の水準で韓国国内の銀行および外国銀行の韓国支店から外貨資金が流出しても、銀行全体の外貨資金確保額に対する流出額の割合は56.4%に過ぎないと分析した。現在、銀行圏が衝撃に対応する外貨資金は十分に確保しているという意味だ。チュ・ギョンホ副首相兼企画財政部長官は「過去の金融危機などに比べて現在の韓国の対外健全性指標は良好な状況だ」と話した」

 

前記の「FIMAレポファシリティ」を計算に入れて、ドルの資金繰りを計算していると見られる。ただ、想定を超えたウォン大投機が起これば、対応不可能になる。