ロシアのウクライナ侵攻以来、プーチン大統領は2回も核使用を仄めかした。「核脅迫」である。これまで、米国は非公式にロシア軍へ核使用がロシ軍へ破滅的な結果をもたらすとして警告してきたという。ところが今回、米高官は公然とロシアへ報復攻撃を行い、破滅的な損害を与えると応酬するまでに態度を硬化させている。ロシアの核脅迫に屈しないという強い姿勢だ。これによって、ロシアも脅迫効果が薄れるであろう。
米『CNN』(9月26日付)は、「ロシアによる核兵器の使用、破滅的な『結果招く』米が警告」と題する記事を掲載した。
米国のサリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)は25日、もしロシアがウクライナで核兵器を使用した場合には「破滅的な」結果を招くと警告した。サリバン氏はまた、ロシアが「偽りの」住民投票を完了させれば、米国はロシアに対して追加の経済制裁を科すと述べた。
(1)「サリバン氏はNBCの番組で、「もしロシアがこの一線を越えれば、ロシアに対して破滅的な結果がもたらされるだろう。米国は断固とした対応を取る。我々は現在、非公開のチャンネルを通じて、それが何を意味するのか、より詳細に説明している」と述べた」
米国は、プーチン氏が2月末に「核脅迫」して以来、国務省を通じて米国の報復攻撃について説得してきた。米国は核で報復しないが、それに変わる手段で前線のロシア兵を殲滅するというもの。プーチン氏が、核投下を命じてもロシア軍がそれを実行するかどうか、実行しないように説得している模様だ。
(2)「ロシアはウクライナの実効支配地域で、ロシアへの編入の是非を問う住民投票を実施している。サリバン氏はロシアに対する追加制裁について、主要7カ国(G7)の首脳が23日に発表した声明に言及し、米国から数日内にさらなる発表があると述べた。サリバン氏は、G7首脳が声明で、追加のより強力な制裁などを含んだ結果を招くと繰り返し強調したと指摘。ロシアの軍事機構を支援したり、偽の住民投票を支援したりする、ロシア国外の事業体や企業に対する制裁も含まれるという」
ロシアは、偽りの住民投票によって、「占領地」を「ロシア領」に編入し、これを奪回するウクライナ軍を「侵略軍」に仕立てて、核投下の「正統性」を主張しようとしている。世界は、こういう見え透いた「工作」に騙される筈もない。
(3)「サリバン氏は別の番組で、米国はあらゆる事態を想定していると述べた。サリバン氏はロシアで起きている抗議活動について尋ねられると、米国はウクライナに対する支援継続に注力しているとし、「ロシアの未来はロシア国民が決定する」と述べた」
ロシア国内で、予備役招集への抗議活動が活発になっている。逮捕者を招集するなど強引なやり方が目立っている。また、予備役でない者への招集など混乱が起こっている。
『ロイター』(9月25日付)は、「ロシア外相、併合地域は『完全保護』」に 核兵器使用に含み」と題する記事を掲載した。
ロシアのラブロフ外相は24日、国連総会出席のため訪問している米ニューヨークで記者会見し、ウクライナ東部と南部で住民投票が実施している地域がロシアに併合された場合、ロシアの「完全な保護」下に置かれると述べた。また、核戦力使用に関する方針を盛り込んだ軍事ドクトリンに言及し、併合した地域の防衛に核兵器の使用もあり得ると示唆した。
(4)「親ロシア派勢力が実効支配するウクライナ東部のドネツク州とルガンスク州、南部のへルソン州とザポロジエ州の一部地域で23日から27日までの予定で住民投票が実施されている。ウクライナの併合地域を防衛するために核兵器を使用する根拠があるかと問われ、ロシアの領土は将来的に憲法に「さらに明記される」領土も含めて「国家の完全な保護下にある」と説明。軍事ドクトリンの核兵器使用に関する方針に言及し「ロシアの法律、ドクトリン、概念、戦略全てが全領土に適用される」と述べた。プーチン大統領の盟友であるメドベージェフ前大統領も22日に戦略核兵器を含むあらゆる兵器を使用する可能性に言及している」
この発言は、メチャクチャな論理である。他人から奪ったモノを自分のポケットへ入れれば、合法的に自分のモノという理屈だ。それを取り返そうとする所有者には、暴力を使って追い返すという泥棒の言分である。ロシアも地に墜ちたものである。
(5)「ウクライナのクレバ外相は25日、ラブロフ氏らの核兵器使用をにおわせる発言は「無責任」で「絶対に受け入れられない」と非難し、「ウクライナは屈しない。このような暴言は世界を危険にさらし容認できないと全ての核保有国が表明するよう求める」とツイッターに投稿した」
ロシアの核脅迫は、ロシへの反感を強めるだけだ。良識ある国々は、結束してロシアへ対抗するだろう。ロシアは墓穴を掘っている。
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独裁者は誰しも、自分を守ることしか頭に無い裸の王様ですね。
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