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韓国ウォン相場の急落が続いている。9月26日19時25分現在、1431ウォンと前営業日終値の1422ウォンから「棒下げ」状態である。韓国国内でも警戒感が強まっている。一方、政治では与野党の泥仕合が一向に収まりそうもない。ユン大統領訪米時の発言が、国辱モノとして野党が騒いでいるのだ。

 

『朝鮮日報』(9月26日付)は、「『韓米金利逆転』過去とは異なる衝撃、韓国を一気に襲う5大リスクとは 」と題する記事を掲載した。

 

韓国の政策金利が、米国を下回るという金利逆転現象が7月に続いて再び発生した。FRBが21日、3回連続で「ジャイアントステップ(0.75%利上げ)」を断行し、米国の政策金利(3.00~3.25%)は韓国(2.50%)を0.75ポイント上回った。

 


(1)「米国の金利が韓国を上回ったことで、安全でしかも金利が高い米国へと投資資金が流出し、韓国資本市場に衝撃を与え、大幅にウォン安が進むという懸念が強まっている。22日以降はウォン安ドル高が進行し、1ドル=1400ウォンを割り込むなど、金融市場に不安が広がっている。秋慶鎬(チュ・ギョンホ)経済副首相は「過度に不安に思う必要はない」とし、不安を静めようと努力している。過去には韓米の政策金利が逆転しても、打撃が大きくなかったというのが根拠だ。でも、本当に安心してもよいのだろうか。専門家の多くは、過去の逆転期とは異なり、今は物価高、ウォン安に加え、資本市場と家計債務の「バブル」が膨らんでいる状況にあり、韓国経済に大きな衝撃をもたらす危険があると指摘する」

 

韓国経済が、ウォン急落に見舞われている。一本調子の下げ場面だ。気休めを言っている状況ではない。最終的には、FRB(米連邦準備制度理事会)から米国債を担保に600億ドル程度の借入れになろう。韓国経済の脆弱性が曝け出されている。

 


(2)「米国の政策金利が韓国を上回った時期は3回あった。

1)1999年6月~2001年2月 金利差1.5ポイント

2)2005年8月~07年8月 金利差1ポイント

3)2018年3月~20年2月 金利差1ポイント」

 

過去3回の米韓金利差は、1~1.5ポイントであった。現在は0.75ポイントと過去の半分のレベルだが、ウォン相場の急落が起こっている。韓国経済の抱える問題点がクローズアップされていることにほかならない。これについては、後のパラグラフが取り上げている。

 

(3)「専門家は過去とは異なり、ウォンの対ドル相場が下落したことを最大の危険要因として挙げている。最初の逆転期だった1999年のウォン相場は平均1131ウォン、2回目は955ウォン、3回目は1166ウォンだった。今は全く状況が違う。9月の平均は1385ウォンで、23日には1409ウォンまで急落した。韓国金融研究院マクロ経済研究室のパク・ソンウク室長は「今は金利逆転の問題もあるが、ドル高という要因がさらに強く作用している」とし、「ドル建て資産、特に米国資産に対する投資需要が強く過去に比べ韓国市場の状況は良くない」と述べた。ドル資産に対する需要が高まり、主要国通貨に対するドルの価値を示すドルインデックスは過去20年で最高の113まで上昇した」

 

下線部が、今回のウォン急落の背景を説明している。世界最強通貨ドルが、過去20年で最高の値上りをしていることが、ウォン相場急落を生んでいる。米国経済の強さが証明されているのだ。

 


(4)「韓国経済が1998年以降で最悪のインフレに苦しんでいる点も過去とは違う。6月に6%を超えた物価上昇率は高止まりしている。韓国銀行は今年の消費者物価上昇率が1998年(7.5%)以降で最も高い5.%を記録すると予想している。初回と2回目の金利逆転期には物価上昇率が2%台で安定しており、3回目は0.%と非常に低かった。米国が利上げを継続し、ウォン安がさらに進めば、輸入品のウォン建て価格が上昇し、韓国でインフレが悪化する可能性が高い」

 

韓国は、輸入物価上昇による消費者物価指数が上昇している。対GDPの貿易依存度が58%(2020年)と高いことを反映したものだ。

 

(5)「原材料価格などが上昇し、今年の貿易収支は過去最大の赤字に向かっている。年間数百億ドルの黒字を記録した過去の金利逆転期とは大きく異なるもう一つの危険要因だ。年初来9月20日までの貿易収支赤字は292億ドルに達する。貿易収支赤字が拡大すれば、企業が稼いで韓国の外国為替市場で売るドルが減り、ウォン安が進む危険性が高まる。世界経済研究院の全光宇(チョン・グァンウ)理事長は「資金は必ずしも金利だけを見て動くわけではないが、現在韓国経済は貿易収支の悪化まで重なり、相当な圧力を受けている」と話した」

 

韓国の貿易収支が赤字になっている大きな理由は、半導体国際市況の下落である。韓国は、半導体に支えられた経済でもある。製造業における一種の「モノカルチャー経済」の弱点を曝け出している。

 

(6)「家計債務が1869兆ウォンに膨らみ、韓銀がFRBに追随して攻撃的な利上げを行いにくいことも問題だ。2005~07年は家計債務が600兆ウォン台にすぎなかった。韓銀が金利逆転解消のために政策金利を引き上げれば、家計の利子負担が急激に増える。そうなれば、消費と景気の低迷を招くリスクも高まる」

 

家計債務が、不動産バブルで大きく膨らんでいる。企業債務も増えている。これら民間債務残高は、6月末でGDPの2.2倍にもなった。韓国経済は、万事休すの状態に落込んでいる。

 

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2022-09-26

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