あじさいのたまご
   


ロシアのショイグ国防相は28日、プーチン大統領と会い、9月21日に発令された部分動員令にもとづき予備兵30万人の招集を完了したと報告した。このうち、8万2000人がすでに戦地へ派遣され、21万8000人は訓練を急いでいる。

 

南部のヘルソン市では、学生のような顔をした新兵が多数派遣されていると、現地から報じている。代わって、これまでの軍隊が姿を消しているという。精鋭部隊を撤退させ、「弾よけ」に予備兵を送り込んでいる模様だ。

 

『ロイター』(10月29日付)は、「ロシア、30万人の部分動員終了 ウクライナ『すぐに補充必要に』」と題する記事を掲載した。

 

ロシアのショイグ国防相は23日、9月に発表した30万人の「部分動員」が終了したと述べた。国営テレビで放送されたプーチン大統領との会談で、動員された新兵8万2000人が紛争地域に派遣され、そのうち4万1000人が部隊に配属されたことを明らかにした。21万8000人は訓練中という。

 

(1)「ショイグ国防相は「これ以上の措置は予定されていない」とし、今後はロシア国内の数百万人の予備兵を動員するのではなく、原則として志願兵や職業軍人を派遣するとした。動員を巡っては、対象年齢の男性が数万人規模で国外に逃れる事態を引き起こしたほか、反動員デモで2000人以上が逮捕された。プーチン大統領はショイグ国防相に対し、動員に関する問題は「不可避」とし、軍の増強には「修正」が必要と述べた。また、兵士らの「任務への献身、愛国心、そして我が国を守るという固い決意に感謝したい」とした」

 

ショイグ国防相は、これ以上の予備役動員は予定していないとした。これは、国内の生産活動に影響が出るという問題が起こっているからだ。


ロシア中銀は、次のように指摘している。「部分動員令は、向こう数カ月は消費者需要とインフレを抑制する要因になると想定する。その後は、供給制約要因に加わり物価押し上げに働くと予想する」と述べた。『ロイター』(10月28日付)が報じた。動員令は事実上、無差別な徴兵である。これにより、企業の生産活動に大きな影響が出ている。「供給制約要因に加わり物価押し上げに働く」と予見できる状態になっている。こういう影響を考慮して、国防相は「今後、原則として志願兵や職業軍人を派遣するとした」と言わざるを得なくなっている。国内の部隊を派遣するという意味だろう。

 

『日本経済新聞 電子版』(10月29日付)は、「ロシア、動員兵8万人超を投入 各地で戦闘激化の懸念」と題する記事を掲載した。

 

ロシアが28日、軍事侵攻を続けるウクライナに新たに動員した8万人を超す兵士を投入したと明らかにし、同国軍との戦闘が激化する可能性が高まってきた。東部ドネツク州では攻防が激しさを増し、南部ヘルソン州にも動員された兵士が配備された。南部クリミア半島のロシア黒海艦隊の本拠地への攻撃も伝えられ、緊張が高まっている。

 

(2)「プーチン氏はロシアの最大の目標として、東部ドネツク、ルガンスク両州の「解放」を掲げる。特に苦戦が続くドネツク州の戦線に、動員した兵士を集中的に投入するとみられる。ウクライナ軍参謀本部は29日、28日に州都ドネツク北方のマイオルシク地区で攻撃を試みたロシア軍を撃退し、約300人を死亡させたと発表した。ロシアは、ウクライナ軍が占領地の奪回を急ぐ南部ヘルソン州にも、動員した兵士を投入している。ウクライナ軍参謀本部は28日、「ドニエプル川の右岸(西岸)地域で敵の部隊が強化されている」と分析し、新たに動員された1000人以上の兵士が配備されたと指摘した」

 

動員兵の前線派遣が始まっている。短期の訓練で前線投入は極めて危険である。精鋭部隊を後退させ、動員兵を「弾よけ」に使っている感じだ。装備も不足している状態で、これからの「冬将軍」に耐えられるか疑問だ。満足な軍装でないと言われている。

 

(3)「タス通信によると、ロシアが占領し、黒海艦隊の本拠地があるウクライナ南部クリミア半島のセバストポリで29日早朝、無人機による攻撃があった。飛行型と海洋航行型の両方の無人機16機により攻撃を受け、撃退したという。セバストポリ市の行政幹部は29日、渡し船など民間船舶の航行が禁止されたと明らかにした。セバストポリ市幹部は29日、記者団に「(軍事侵攻開始以来で)無人機による過去最大の攻撃があった」と語り、ウクライナの攻撃だと主張した」

 

ウクライナ軍はすでに、クリミア半島まで無人機を飛ばしてけん制している。セバストポリ市は黒海に面したクリミア半島南西部に位置する軍港都市である。ウクライナ本土から見れば、最も遠い地点である。ここまで、無人機を飛ばしているのは、いつでも攻撃体制に移れるという示唆であり、現地を不安がらせる効果を狙っているのであろう。「余裕の攻撃」と言って良さそうだ。