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強まる中国の戦狼外交

戦略物資となる半導体

危険な存在になる中国

先進国は「見果てぬ夢」

 

韓国左派(実態は民族主義)は、中国を母国のように扱っている。文在寅政権は、民族主義の特質が最も強く表われていた。中国の要求に、ほぼ沿う形であったのだ。安全保障の「3不政策」が、その典型である。

 

安全保障は、国家経営の基盤である。韓国は、その安全保障政策で中国の言いなりになっていたのだ。つまり、1)THAAD(超高高度ミサイル網)の追加配備をしない。2)米ミサイル防衛システムに参加しない。3)日米韓の安保協力は軍事同盟に発展しない、というもの。なぜ、こういう韓国防衛の根幹部分を中国へ委ねるようなことを行なったのか。それには、中国の力によって北朝鮮の暴走を食止めてほしいという願望が込められていた。

 

現実に、中国が北朝鮮に対し影響力を発揮した形跡はない。むしろ中朝は、一体化の動きを強めていた。さらに、ロシアによるウクライナ侵攻後、中朝ロは朝鮮戦争以来の結束を固める事態になっている。韓国が、中国へ期待した成果は全く得られないことが明白になった。

 

強まる中国の戦狼外交

韓国の政権は、5月に保守派に代わった。当然、中国との関わり方は変わる。前記の「三不政策」は、政府次元の合意でないと強く打ち出している。正式な条約でないからだ。中国は、せっかく手にした「約束」である。韓国へ強くその履行を迫る。中国のこうした「戦狼外交」は、習氏の国家主席3期目によって一段と強まる方向だ。

 

習氏は、最高指導部を習派で固めた。反対論などブレーキ役になる人物はゼロである。この結果、中国は台湾侵攻など危険な行動に出る可能性が極めて強まった。習氏は今年、69歳である。これから10年間、「台湾統一」「尖閣諸島併合」という懸案の領土問題に決着を付ける決意を固めている。具体的には、軍事行動に出ることだ。習氏は、国家主席3期だけでなく4期目も視野に入れて、領土問題の解決に力をいれる体制だ。

 

米国は、中国の野望が鮮明になるとともに、これを抑止する行動に出ることは言うまでもない。米国が、習氏に「台湾統一」や「尖閣諸島併合」を諦めさせるには、米同盟国と協調して抑止力を高めるしか道はない。韓国は今後、米国の要請にそった行動をするかどうかが問われている。

 

文政権は、明らかに中国へ誼(よしみ)を通じていた。はっきり言えば、中国の言いなりになっていた。習氏の国家主席3期目が、「戦闘的」な振る舞いをすることは明らかである。こうして、韓国による中国への迎合的な行動は極めて危険なものとなり、米同盟国として「利敵行為」になることを知っているだろうか。

 

韓国が、中国へ煮え切らない態度を取り続けている背景には、対中輸出が全体の25%を占め国別で首位であることだ。香港を含めれば3割を超えている。とりわけ、半導体は全輸出の20%を占め、その中で対中輸出は60%も占めるほどだ。半導体という一つの品目において、これだけ中国へ依存することは、中国の政治動向へ敏感にならざるを得ない面があろう。それには、同情する点もある。

 

ただ、中国はロシアと協力して世界秩序の塗りかえ目的で、「中ロ枢軸」を固めている。中国の戦略は超長期戦である。2049年に世界一の経済力と軍事力を蓄え、その影響力で新興国を味方につけて世界秩序を中ロに有利な専制主義に変えるという「夢物語」を持っているのだ。

 

こういう中国の狙いが明白である以上、韓国はここで米同盟国と協調しなければ、北朝鮮を先兵として専制主義国家群へ飲み込まれる危険性が高まる。将来、韓国も現在の香港市民が人権蹂躙や言論統制で苦しんでいる状態へ変わる運命が待っている。決して、誇張した言い方ではあるまい。

 

戦略物資となる半導体

韓国は、中国への半導体輸出が魅力で、中国との関係見直しに躊躇している。だが、この半導体は米国で生まれた戦略物資である。中国の武器弾薬の生産には、不可欠な物資である以上、米中対立の激化とともに半導体が輸出禁止になることは致し方ない。韓国は、半導体輸出が、利益を生む手段としか見ていないのだ。戦略物資という認識が足りないのである。

 

米商務省は10月7日、中国が「世界一目標」を実現する上で不可欠な最先端半導体や製造装置の輸出を認可制にすると発表した。先端技術の対中輸出を制限する従来規則を、大幅に強化した。先端半導体が、中国の軍拡を支える鍵である以上、安全保障上の観点から対中輸出を事実上、全面的に禁止するものだ。

 

今回の規制は、スマートフォン(スマホ)やパソコン、データサーバーなどに幅広く使用される先端半導体の製造装置や、パソコンなどに使われる基本的な演算処理用半導体を製造する装置、先端半導体そのものも対象となる。

 

同盟国が、米国と足並みをそろえて同様の規制を1年後に課す方針である。つまり、米国企業だけでなく米同盟国にも適用するという厳しい内容だ。韓国企業も同じ扱いを受ける。

(つづく)

 

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