あじさいのたまご
   

通貨危機の裏にある借金癖

少ない一人当り金融純資産

鈍い金銭感覚が招く落し穴

他人の責任にして逃げ回る

 

韓国経済は、これまで経験しなかった状況に遭遇している。韓国は過去2回、通貨危機(1997年と2008年)を経験したが、中国経済の急成長に伴う輸出増加で切り抜けられた。現在、迫りつつある経済危機では、頼みの中国経済が急減速しているのだ。この点が、従来にない新たな不安要因となっている。

 

中国にまつわる不安は、これだけでない。米中対立が長期に続く様相が濃くなってきたことだ。習近平氏の3期目の国家主席就任は、台湾統一を第一目標に掲げている。「大祖国統一」という御旗を掲げ、武力行使も辞さない姿勢だ。さらに、2049年の建国100年には、米国覇権に対抗して、経済・外交・軍事において世界のリーダーを目指すとしている。

 

こういう目標が、習氏によって掲げられた以上、米国と同盟を結ぶ韓国は、これまでの「二股外交」は不可能になった。米国と一体化して、中国の攻勢に立ち向かわなければならない立場になっているのである。米中のデカップリング(分断)が進むことで、韓国は中国との関係が希薄化される運命なのだ。

 

もう一つ中国経済自体が、次のような根本的な弱点を抱えている。

1)少子高齢化による生産年齢人口の減少

2)不動産バブル崩壊に伴う過剰負債の処理

3)「共同富裕論」による生産性低下の問題

こうした「三重苦」によって、2049年の世界覇権獲得は「絵空事」に終わる筈だ、中国自体はそれに気付かず、軍拡という無駄な行動を重ねるであろう。だが、中国経済の衰退とともに、韓国の対中輸出は減らざるを得ないのだ。

 

韓国の対中輸出比率は約25%である。香港を含めれば3割に達する。これだけのウエイトを持つ中国経済の減衰は、韓国にとって大きな痛手になる。

 

通貨危機の裏にある借金癖

こうした客観情勢の中で現在、3回目の通貨危機が指摘されている。通貨危機とは、ドル資金流出に伴うウォン相場の急落である。すでに、1ドル=1403ウォン(11月5日5時59分)である。危機ラインとされる1200ウォンを大きく割込んだ。日本も円安が急速に進んだが「円危機」という言葉を聞かない。それは、根底に日本経済への信頼感があるからだ。韓国は、そういう信頼感のないことが最大の問題である。

 

韓国経済を揺るがしているのは、企業と家計が過剰債務に陥っている点だ。韓国の「借金癖」は、民族特有の問題でもある。この点については後で詳細に取り上げるが、韓国は借金と支払能力をバランスさせる感覚が根本的に欠如しているのである。どうにもならない韓国の狂った「金銭感覚」であり、日本とは水と油の違いである。

 

国際金融協会(IIF)の『世界負債』報告書によると、韓国の第1四半期(1~3月)の家計負債が、世界36の主要国の中で唯一、GDPを上回って104.3%になった企業負債(金融企業を除く)は、対GDP比で116.8%である。韓国の家計負債比率は、昨年第2四半期(4~6月)から、ずっと主要国1位を記録している。

 

家計債務と企業債務は性格が異なる。家計債務は、消費が目的である。企業債務は、設備投資や研究投資など利益を生み出す目的だ。こういう債務の性格に違いはある。だが、対GDP比で、家計債務が企業債務を上回ったのは後々、返済を巡って大きな問題になる。

 

韓国の対GDPの家計負債比率が、昨年4~6月以降に主要国で1位になったのは、文政権の住宅政策失敗が背景にある。文政権5年間で、ソウルの住宅相場は8割も値上りした。この住宅相場の高騰に煽られ、駆け込みで住宅購入した層が、多くの借金を抱えている。このほか、低金利を利用して株式投資にのめり込んだ層も借入金を増やしている。

 

こうした状況下で、韓国の政策金利は米国の利上げに引っ張られる形の追随引き上げを迫られてきた。米連邦準備制度(FRB)は先週、0.75%ポイントと大幅な基準金利の引き上げに踏み切った。4回連続の0.75%ポイントの引き上げだ。米国の基準金利が、15年ぶりの最高値である3.75~4.0%に高まった結果、韓国金利(3.0%)との差は1%ポイントにも広がった。こうなると、韓国は再び利上げを迫られるのだ。

 

韓国は、21年7月に政策金利0.5%を0.75%に引上げて以来、これまで矢次早の引き上げである。0.5%時代は、20年5月からでざっと14ヶ月続いた。この間に、不動産バブルの「燃料」が仕込まれたと言える。今から振りかえれば、痛恨の期間になった。

 

少ない一人当り金融純資産

韓国の家計債務を国際比較すると、興味のあるデータが得られた。韓国は、一人当り名目GDPに比べて、一人当り金融純資産(金融資産-金融負債)が少ないことだ。韓国はよく、一人当り名目GDPで日本へ接近して来たとか、経済的に無意味な購買力平価換算で日本を抜いたとか、韓国に都合のいいデータだけを並べて悦に入っている。(つづく)

 

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