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iPhone河南省鄭州工場では、ゼロコロナによる「集団隔離」を嫌って数万人の従業員が逃亡する前代未聞の事態が起こっている。生産計画に狂いが生じることから、地元政府は、逃亡した従業員の穴埋めをするべく、党員や元軍人を工場へ投入する人海戦術に協力している。

 

『大紀元』(11月22日付)は、「従業員『多数逃亡』のiPhone工場、河南省と連携し党員や元軍人を動員」と題する記事を掲載した。

 

iPhoneの受託製造を引き受ける台湾の電子機器受託製造大手・富士康科技集団(フォックスコーン)の従業員数万人が先月、中国の非人道的なコロナ政策を理由に、河南省鄭州工場から逃げ出した。こうしたなか中国当局は、中国共産党員や元軍人を動員し、労働力不足問題の解決を図ろうとしている。

 

(1)「米紙『ニューヨーク・タイムズ』によれば、中央政府と河南省、省地方政府が協力して、年末年始の供給遅れを避けるためにフォックスコンの従業員を募集して生産を集約させているという。同社は世界のiPhoneの7割を出荷しており、その大半が鄭州の工場で製造されている。フォックスコンは労働者を引き留めるために、10月から3回の「出勤奨励金増額プログラム」を発表。出勤手当を1日50元から増額し、最近では1日400元と8倍もの手当を付けた。また、幹部や党員にフォックスコンで働くよう呼びかけるだけでなく、元軍人も動員している」

 

鄭州工場で22日夜から23日にかけて、待遇を巡って一部の従業員が抗議活動を行い、警備部門などと衝突が起きた。「工場が約束した出勤手当や出勤奨励金の支払いが遅いのは納得できない」という理由だ。同工場で働く従業員はSNS(交流サイト)で抗議の理由を説明した。12月25日に支払われる予定だったが、来年3月15日まで働く従業員に限り、同日に支払うという通知を受けたという。この変更に不満を持った従業員らが、協力して抗議活動を起こしたとみられる。

 

出勤手当を1日50元から増額し、最近では1日400元と8倍もの手当を付けたというが、来年3月15日まで働く従業員に限るという条件付きであることが判明、「裏切られた」という怒りであろう。

 

(2)「同紙によれば、これまで軍や政府関係者を動員することはあったものの、民間企業に政府が介入して退役軍人を採用するのは「前例のない動き」だと中国の労働事情に詳しい活動家は語った。 従業員のほとんどが35歳以下であることから、活動家は、高齢の退役軍人の多くはフォックスコンの生産ラインの労働条件に適応できない可能性があると指摘した。アップルは6日に声明を出し、中国の厳格なコロナ政策によりフォックスコン鄭州工場での生産台数が大幅に減少していることを認めた。iPhone14ProおよびiPhone14ProMaxの出荷台数は予想を下回る見込みで、製品が購入者に渡るまで待ち時間が長くなるとしている」

 

数万人の従業員が逃亡した穴埋めは大変である。従業員のほとんどが35歳以下であるから、退役軍人では労働で息切れしてしまうはず。これでは、「助っ人」の役割を果たせない。

 

地方政府が、民間工場の操業支援で従業員の穴埋めに協力しているのは、無理な従業員の集団隔離をした地方政府の「反省」でもあろう。もう一つ、地方政府の財源難の折から、iPhone生産の落込みを避けたかったのであろう。地方政府の財政逼迫を反映している。また、ここで恩義を売っておけば将来、工場を他へ移転するなどと不義理を言えまいという思惑があるのかも知れない。

 


(3)「鄭州工場は世界最大のiPhone製造工場で20万人以上の従業員を雇用していた。しかし、10月下旬に新型コロナウイルス感染者が確認されたことで、従業員らは強制的に集団隔離された。不満を持った従業員らが封鎖地域から脱出し、インターネット上には、その様子を撮影した動画や画像が多数掲載された。隔離されていた際、従業員らは劣悪な環境に置かれていた。提供される食事が腐っていたほか、生産量を減らさないよう陽性者の出勤も認められていたという」

 

若い従業員にとって、集団隔離は死を意味するほど退屈なのだ。だから、これに不満を持つ従業員は、荷物を担いで集団脱走してしまった。脱走劇は、SNSでも伝えられ金網を壊して行く姿が映り出されていた。

 

(4)「中国では厳格な感染症対策(ゼロコロナ対策)が党大会以降も緩和することなく、国民の不満が高まっている。北京の一部地域では、PCR検査による陰性証明を従来の72時間内から24時間内に規制強化した。小中学校のリモート授業も再開。広州市では14日、移動規制用のバリケードを壊して外に出るなどの暴動が発生した。40日間閉鎖された鄭州大学では16日、学生が広場で集会を開き、学校側に抗議活動を行った」

 

学生は、校内に閉じ込められている。夜間の運動場で奇妙な四つん這い運動をするなど、鬱憤晴らしをしている。ゼロコロナ強行は、もはや限界を超えたのだ。