テイカカズラ
   

中国は、今年から「人口減」社会へ向かう。世界最大の人口国という形容詞は、来年からインドへ譲るなど、中国の人口動態は急激な変化をしている。2020年に合計特殊出生率は、それまでの「ウソ情報」を改めて1.30と発表した。従来は、1.60として国連統計に掲載されている。2021年は、1.16(OECD発表)へと低下した。中国が、ここまで出生率発表に神経を使っているのは、将来の国力のバロメーターになるからだ。その意味で、中国の国力は確実に下方へ転じている。

 

出生率は、婚姻届件数の増減によって予測できる。その婚姻届件数が、今年上半期は前年比10%減になった。ゼロコロナによって生活見通しのつかないことが、婚姻件数を減らしている大きな理由である。これによって、出生率低下は加速される。

 

米紙『ウォール・ストリート・ジャーナル』(11月24日付)は、「中国のコロナ対策、結婚奨励策に逆行」と題する記事を掲載した。

 

中国の新型コロナウイルス対策は、家族の価値を重視する共産党の政策にとってますます難題となっている。新たな統計によると、今年に入って上海など幾つかの都市でロックダウン(都市封鎖)が導入されていた期間に婚姻届が急減した。人口動態上の傾向をめぐり懸念が高まる中、中国政府はそれを逆転させなければならないという圧力を感じている。このため若者の結婚を奨励し、子どもの教育と高齢者の介護における女性の役割を強調することで、結婚数の減少と出生率の低下を反転させようとしている。当局は、婚姻費用をより対応しやすい水準に抑えるため、過剰な持参金を抑制しようとしてきた。

 

(1)「多くの若者は結婚を急いでいないと話し、特に都市部ではその傾向が強い。それに加え、新型コロナに伴う規制は、中国全土の都市で日常生活を一変させ、多くの若者はどのように生計を立てていけるのか分からなくなっている。民政省が公表した統計によると、今年上半期に受理された婚姻届は同10%減の370万件と、半期としては、民政省が四半期ごとの統計を公表し始めた2007年以降で最も少なかった。2021年の婚姻届総数は760万件で、年間では過去数十年で最少だった」

 

今年上半期の婚姻件数が前年比10%減になったことは、それだけ出生率低下をもたらす。中国では、婚外子が極めて少ないことから、婚姻件数が出生率を推測させる。

 

(2)「中国の出生数は過去5年間減り続けており、一部の人口統計学者は、2022年の人口統計で、国全体の人口が減少に転じるとの見方を示している。長年、中国の人口統計を注視している米ウィスコンシン大学マディソン校の易富賢・研究員は、「出産を奨励する政策が、ゼロコロナ政策による影響に対抗できていない」と述べる。同氏は、中国のゼロコロナ政策によって2021年から2022年にかけて、およそ100万件の出産が減ったと推測しており、この政策が2023年の出生数にも打撃を与えるとみている」

 

今年の人口減は確定的である。昨年の人口自然増がわずかであったことから、人口減は不可避である。

 

(3)「一部の若者は、中国の経済減速によって不確実性が高まっていることを受け、大きなライフイベント(結婚)を保留にしていると述べる。都市部の住民を対象にした公式調査によると、9月時点で25歳未満の国民のうち18%近くは無職だった。河北省出身のジュディ・ワン氏(26)は、結婚することではなく、仕事を見つけることが優先事項だと述べる。同氏はイベント会社での職を失った後、コロナ政策のせいで少なくとも3回の就職の機会を失った。理由は、対面での面接に参加できなかったか、雇用主が採用枠を取り消したかのいずれかであった。「何よりも仕事が欲しい」と同氏は話した」

 

失業率が18%近い状況で、ゼロコロナ政策を続けているのは異常と言うほかない。本来、備えるべき医療施設を怠り、軍事費に回した咎めが、ゼロコロナ政策に固執する理由である。第二次世界大戦後、欧州では「バターか大砲か」と叫ばれたが、中国では「医療か大砲か」という選択問題になっている。

 

(4)「結婚する若者を増やすのが難しいことが判明する中、中国当局は離婚への障害を増やすことで、結婚を救うことを試みている。昨年、双方の同意で離婚を申請した(同国の離婚の約80%を占める)夫婦を対象に、30日間の「クーリングオフ期間」が導入された。この制度は2021年の離婚の登録件数を2020年の370万件から210万件に減らすのに役立ったと広く評価されている」

 

中国政府は、婚姻件数が減っている以上、離婚件数を減らす方向に進んでいる。これによって、出生率減を防ぐ目的である。余りにも姑息である。人権蹂躙も甚だしいのだ。中国政府のできることは、これしかないのだ。