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中国の習近平国家主席は、先の米中首脳会談で「米国に取って代わる積もりはない」と発言した。中国は、首脳会談に先立ち民間の使節団を米国へ送って米国の感触を掴む努力までしたのである。このように、しおらしい姿勢に転じた裏には、米国が先端半導体の技術・製造などすべてにおいて輸出禁止したことに驚いた結果である。このままだと、中国経済が立ちゆかぬ危険性を感じたにちがいない。

 

中国の孔鉉佑駐日大使は11月24日、大阪市内のホテルで講演し、「中国は世界のサプライチェーン(供給網)の一部になっており、(米中の)デカップリング(分断)は実現不可能だ」と話した。これは、中国が米国から見捨てられることへの恐怖心を見せているものだ。米国が、断固たる態度で臨んでいることに改めて恐れを抱いている結果でしかない。

 

IMF(国際通貨基金)が、対中国への「IMF年次経済点検報告」で、次のような「意味深長」な言葉を添えている。「長期的には地政学的な緊張の高まりが世界経済の分断を招く恐れがある。特に、中国が金融面で世界から分断される『デカップリング』の可能性や、貿易や外国からの直接投資やハイテク技術などへの中国のアクセスが制限されていく事態を警告した」(『ロイター』11月24日付)。

 

中国が、世界経済か分断される危険性について、IMFという国際機関から忠告されていることは極めて重要である。中国が、戦狼外交をやり過ぎいて総スカンを食っていることを示唆しているものだ。私は、中国が世界経済と深く関わっていることで、台湾侵攻で経済制裁されることのリスクが極めて大きいと主張している。

次の記事をご参考に。

2022-11-21

メルマガ414号 中国「台湾侵攻」、制裁で経済はマヒ状態へ 国内は派閥絡む「低俗な

 

驚くことには、IMFがこういう視点で中国の潜在的なリスクの大きいことを指摘した「勇気」である。国際機関の持つデータから中国は、経済制裁に耐えられないであろうと分析しているのであろう。

 

『日本経済新聞 電子版』(11月23日付)は、「『人民の領袖・習近平』封じる密議とほほ笑み外交」と題する記事を掲載した。筆者は、同紙の中沢克二編集委員である。

 

(1)「(習近平は)インドネシアでの米中首脳会談に続き、同盟国、日本の岸田ともタイで初めて対面式で会談。岸田との握手で、わかりやすい笑顔を見せた裏には、孤立脱出をアピールしたい習の思惑があった。習は、コロナウイルス禍で引きこもっていた2年半余りで、世界が中国を見る目が一変したことを思い知ったはずだ。中国が主導する「一帯一路」に真に積極的な国が減り、2国間会談の中国側発表文でこの話題に触れることさえできない例も多かった」

 

習氏が、岸田氏との会談に見せた笑顔は初めて見るような明るさであった。それは、中国の世界における地位が悪い方へ変わったことを自覚しているのかと思わせるものであった。「一帯一路」は金融的に完全に行き詰まった。融資の6割が焦げ付き債権化しているのだ。今後の「一帯一路」は、職業訓練をするという。金の掛からないことへ転換するほかなくなっているのだ。

 

(2)「それは、「人類運命共同体」という中国外交の常套句(じょうとうく)でも同じである。2国間外交で中国が運命共同体であると宣言できた国はごくわずかだ。習が4月に自ら提起した「グローバル安全保障イニシアチブ」に至っては、アルゼンチンとの首脳会談ぐらいにしか登場しない。中国の発言権は、コロナ前に比べ大幅に落ちていたこのほか、大どころではインド首相のモディ、英国の新首相、スナクとも会談が実現しなかった。インドとの間では2020年6月の国境衝突で45年ぶりに死者が出た。9月にはウズベキスタンで中印首脳が同じ場にいたが、会談には至らなかった。確執は深刻である」

 

中国が、コロナを世界中にまき散らす前に得ていた「中国観」は、2年半の間に大きく変わっている。ロシアのウクライナ支援が、中国観を変えたのである。インドとの関係は、未解決のままである。英国は香港問題以来、中国と敵対的関係になっている。このように中国が仕掛けたワナに、中国自らが嵌り込んでいる局面が多いのだ。中国が、米国に取って代わろうなどという話は、もともと寝言の類いのことである。