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韓国経済は、輸出依存度が高いので世界経済の動向に大きく影響される。米シティグループは11月30日、23年の世界経済の成長率が2%以下に減速するとの見通しを明らかにした。これまでに米ゴールドマン・サックス、JPモルガン、英バークレイズなども同様の見通しを示している。世界経済の成長率は3%以下の場合、貿易が厳しくなると受け止められてきた。来年は、そういう時期に遭遇するだけに、韓国経済には逆風となろう。

 

『中央日報』(11月30日付)は、「韓国、『コロナショック』以降で産業生産が最大・最長の減少 半導体不振まで」と題する記事を掲載した。

 

韓国の産業景気が、新型コロナ初期のような動きである。生産と消費が萎縮し、主要業種の不確実性が続く状況だ。特に主力産業の半導体が振るわず、来年の景気見通しにも寒波が近づいている。

(1)「統計庁が11月30日に発表した「10月の産業活動動向」によると、10月の全産業生産は前月比1.5%減少した。産業生産は7月(-0.2%)、8月(-0.1%)、9月(-0.4%)と減少が続き、10月は減少幅が大きく拡大した。新型コロナが経済に本格的に打撃を与え始めた2020年4月(-1.8%)以来の最大幅だ。生産が4カ月連続に減少したのは2020年1-5月以来の最長期間。新型コロナ危機が始まった当時と景気指標が似ている」

生産が7月以降、4カ月連続で減少したのは2020年1~5月以来である。これは、新型コロナ危機当時と似かよっていることから、警戒しなければならない。コロナ危機(2020年)では、GDPがマイナス0.7%成長であった。来年の景気予測で、ノムラがマイナス0.7%としたのは、最近の動きが2020年の景気動向と近似したパターンであると判断している結果かも知れない。

 

GDP成長率を尺度として見ると、韓国経済が1%台以下に低下したのは、次の3回だけである。

1)1998年 マイナス5.1%(通貨危機)

2)2009年 プラス0.8%(金融危機)

3)2020年 マイナス0.7%(コロナ禍)

内外の主要機関が、来年の成長率見通しを1%台に引き下げているのは、前記のような「危機クラス」の経済寒波がやってくるという予告だ。


(2)「特に半導体の不振が、製造業の活力低下に主な原因として作用している。10月の半導体生産は前月比で0.9%反騰したが、内容をみると依然として厳しい。半導体生産は3月以降、6月を除いては9月まで減少した。統計庁は「半導体生産は小幅増加したが、それ以前に連続で減少しただけに相対的反騰の性格があるとみている」とし、「業況の不確実性が解消したとはみていない」と評価した」

 

半導体は、これから本格的は下落局面を迎える。現在の下落は序の口である。韓国の輸出の2割は半導体が占めている。それだけに、半導体不振が生産活動に大きな影響を与える。私は、ノムラのマイナス成長予測が現実の厳しさを見抜いていると見る。韓国経済に占める半導体の位置は、圧倒的であることを忘れてはいけないのだ。

 

(3)「最近、半導体産業は中国の封鎖措置、情報技術(IT)産業の不況など影響で需要が減少している。これに先立ち産業研究院は来年も半導体生産が年間4.9%減少すると予想した。来年の半導体輸出は9.9%減と見込んでいる」

米国のIT関連企業が、相次いで大規模な人員整理に動いている現実を見落としてはいけない。メタのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は11月9日、従業員に宛てたメッセージで、自分も「永続的なIT加速がコロナ収束後も続く」と考えていた一人だと打ち明け謝罪した。これは、半導体の大口需要先のIT企業が、大型設備投資を控えるという兆候である。IT産業界は、このように過去の惰性で将来を見ることの危険性を伝えている。韓国経済は、半導体依存度が大きいだけに慎重に見ることである。