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韓国経済は、半導体・スマホへの依存度が高いことから、市況急落によって大揺れである。来年の成長率は1%台後半との見方であったが、1%も無理という悲観論が広がっている。中国経済の不振が、輸出減で直撃している。

 

『朝鮮日報』(12月2日付)は、「サムスンのスマホ工場稼働率は過去最低、LGは在庫急増」と題する記事を掲載した。

 

韓国統計庁が11月30日に発表した産業活動動向によると、10月の生産は前月を1.5%下回った。新型コロナの流行が本格化した2020年4月(1.8%減)以来最大の減少幅だ。 7月(0.2%減)、8月(0.1%減)、9月(0.4%減)に続く4カ月連続の減少である。気懸りなのは、月を追うごとにマイナス幅が拡大していることだ。

 

(1)「大手企業も生産が減り、稼働率が下落している。サムスン電子の第3四半期(79月)のモバイル機器工場稼働率は72.%で、昨年同期(80.%)に比べ8.1ポイント低下した。工場稼働率の公表を開始した2010年以降で最低だ。LG電子の洗濯機工場稼働率も第3四半期に昨年の105%から88%へと急落した」

 

サムスンのスマホ工場稼働率が72.2%と急落だ。70%を割ると赤字になる懸念も出てくる。世界の半導体市況では、スマホなどに使われるメモリ半導体の市況が急落している。スマホ需要が、急速に冷え込んでいる証拠だ。中国市場では、すでにスマホの普及率が天井圏に達している。スマホ需要やパソコン需要が回復しないか限り、メモリ半導体の回復期待は持てないのだ。

 

(2)「主要企業の工場稼働率が大幅に低下したのは、世界需要の減少で在庫が積み上がっているためだ。9月末時点のサムスン電子の在庫は6月末に比べ10%増加した。同じ期間に半導体部門(DS)の在庫は22.6%増に達した。LG電子の在庫は15.7%増だった。企業分析を行うリーダーズインデックスが、売上高上位500社のうち在庫を公表した195社を分析した結果、9月末時点の在庫は昨年末に比べ36.2%増加したことが分かった。同社が統計を取り始めた2010年以降で最大だ」

 

韓国主要企業195社の9月末在庫は、昨年末に比べて36.2%も増えている。急激な在庫増である。これだけ在庫が増えれば、操業度を引下げざるを得なくなる。失業者の増加が危惧されるのだ。これによって、一段と消費を抑圧する。

 

(3)「韓国中堅企業連合会の崔鎮植(チェ・ジンシク)会長は、「急激な利上げで需要が低迷し、在庫が積み上がり、主要企業の工場稼動率はますます低下するだろう。さらに大きな問題はそうした悪循環が始まり、来年からさらに本格化することだ」と指摘した。最大の危険シグナルは生産の減少だ。韓国企画財政部は「輸出不振などで鉱工業生産が大きく減少する中、景気回復を主導した消費も伸び悩み、回復の流れが弱まる兆しを見せている」とした。9月は「全般的な回復の流れが維持されている」との表現だったが、1カ月ぶりに悲観的なトーンに転じた」

 

下線部の指摘は、まさにその通りである。韓国経済が、スパイラル的な不況の渦に巻き込まれていることは確実だ。個人消費の対GDP比が50%程度であるから、消費はストッパー役にならない。輸出不振が、韓国を直撃している。

 

(4)「経済成長の軸である主力分野で問題が発生したことで、経済全体の低迷につながる可能性も高い。最大輸出品目である半導体の価格が下落し、最大の貿易相手国である中国への輸出も減少している。年初来11月20日までの期間に対中貿易赤字は4億9900万ドルに達した。通年で赤字を記録すれば、1992年の国交正常化以来初となる。シティバンクのチーフエコノミスト、キム・ジンウク氏は、「半導体景気崩壊に伴う製造業輸出景気の低迷は既に7月ごろから始まった」とし、「来年は1%台の成長も困難かもしれない」と述べた」

 

韓国は、これまで中国輸出で貿易黒字を出してきたが、中国経済はゼロコロナで落込んでいる。若者がデモをする程であるから、相当の行き詰りになっているのだ。中国依存の輸出が、現在は裏目に出ている。来年の成長率は、マイナス成長も視野に入れなくてはならなくなった。