テイカカズラ
   


ロシアのウクライナ侵攻開始後、すでに9ヶ月が経過した。ロシア軍とウクライナ軍の双方におびただしい犠牲者が出ている。これまで、米英の軍事専門家からはロシア軍の犠牲者が約8万人と推定されてきた。ウクライナ高官が、現地のテレビで初めてウクライナ軍の犠牲者が最大で1万3000人と発表した。ロシア軍については、10万人の犠牲者が出ており、これ以外に負傷・行方不明などが10万~15万人もいると語った。

 

ロシア軍の犠牲者が、ウクライナ軍に比べて桁違いに多いのは、兵士の生命を無視した戦い方にある。兵士を「弾避け」に使うという残酷な戦闘方式を採用しているのだ。ロシア軍は数カ月にわたって東部ドネツク州バフムート周辺を攻撃しており、最近では新たに動員された経験に乏しい部隊を前方に送り込んでいる状況だ。この攻撃は、軍事的に意味のない戦い方と批判されている。ロシア軍内部での功名争いの一環とも見られるほどだ。

 

英国『BBC』(12月2日付)は、「ウクライナ兵の犠牲者、これまでに13000人ーゼレンスキー氏側近」と題する記事を掲載した。

 

ウォロディミル・ゼレンスキー大統領の顧問を務めるミハイロ・ポドリャク氏は12月1日、犠牲になった兵士は1万~1万3000人だと、ウクライナのテレビ番組で発言した。ウクライナが死者数を明らかにするのは珍しい。また、ポドリャク氏の発言はウクライナ軍が裏付けたものではない。ポドリャク氏は6月の時点で、毎日100~200人のウクライナ兵が亡くなっていると話していた。

 

(1)「11月には米軍制服組トップのマーク・ミリー統合参謀本部議長が、侵攻開始以来、ロシアとウクライナでそれぞれ10人の兵士が死傷していると述べていた。欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は11月30日のビデオ演説で、ウクライナ兵10万人が殺されたと発言。しかしその後、報道官により、これは負傷者も含めた数だと訂正された」

 

これまで、ウクライナ軍の犠牲者数が明らかにならず、ロシア軍の犠牲者数が報じられてきた。ロシアが、30万人の動員令を出した裏には、相当数の死亡・負傷・行方不明などが出ていることを予想させる。

 

(2)「1日にウクライナの「民放テレビ24」に出演したポドリャク氏は、「ウクライナ政府は死者数についてオープンに話している」と述べた。「参謀本部による公式の推計と、総司令官(ゼレンスキー氏)による公式な評価では、1万人から1万2500人、1万3000人が亡くなった」。また、殺害された民間人の数は「非常に多い」と付け加えた。この数字は現在、さらに増えているとみられる」

 

ウクライナ軍は、開戦当初の後退が多かった。これは、兵士の「人命尊重」を第一とする戦術と説明されて来た。ウクライナ軍は、ロシア軍の損耗率が30%に達した5月の時点で、ロシア軍の戦力が大幅に低下したと判断し、反攻作戦を作成して奪回作戦に転じている。

 

(3)「ロシア軍の損害についてポドリャク氏は、死者10万人と推定。さらに、負傷者や行方不明者、戦闘に復帰できない10万~15万人としている」

 

ウクライナは、ロシア軍の犠牲者を10万人と推定しているが、犠牲者の多いことは事実である。これが、ロシア軍の士気を引下げている理由だ。ウクライナ軍が設けている「ロシア兵への投降呼びかけ」に対して、多くのロシア兵が問合せしている。特に、戦闘が止む夜間に入ってからの問合せが多いという。「どうすれば、投降できる」という問合せだ。

 

米シンクタンク戦争研究所(ISW)は11月30日、ウクライナの戦況をめぐり、ロシア軍がウクライナ東部ドネツク州バフムート周辺で戦力を消耗しているとする分析を公表した。

 

バフムートは東部地域の交通の要衝。ISWによるとロシア軍は5月下旬以降、一貫して同方面に戦力を注いできたが、得られた戦果は少ないという。ISWは、「バフムート市周辺での6カ月にわたる激しい戦闘に伴う損失は、ロシア軍が同市を攻略することで得られる作戦上の利点をはるかに超えている」と指摘。ロシア軍が、バフムート方面に注力することで、他の地域でウクライナ軍が反攻しやすくなる可能性があるとしている。米『CNN』(12月2日付)が伝えた。

 

ロシアは、こういう「無意味な戦闘」で貴重な兵士の生命を失っているのだ。ロシア軍の犠牲者数が、ウクライナ軍を8倍も上回っているのは、バフムートに見るような無益な戦い方に原因があるのだろう。