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韓国トラック運転手のストライキは、すでに港湾での輸出入貨物の積卸しで大きな影響が出ている。輸出減少に悩んでいるが、ストライキの影響で一段と輸出の落込みが厳しくなりそうだ。

 

市内では、ガソリン運搬車がストライキで稼働率が落ちており、ガソリンスタンドに「ガソリンがない」という事態が始まっている。今週は、ソウル市内で「ガソリン不足」現象が広がる恐れも出てきた。

 

ユン政権は11月に、貨物車労働者に業務開始命令を下した。これは盧武鉉政権が、2004年に貨物自動車運輸事業法の改正に伴ってつくった法律に基づく命令である。野党「共に民主党」は、この業務開始命令に対して反対もできない微妙な立場になっている。労働者が、業務開始命令に応じなければ刑事処罰されるだけに、いずれ騒ぎは大きくなるであろう。

 

『WOWKOREA』(12月3日付)は、「『ガソリンスタンドにガソリンがないなんて』、貨物連帯のストライキが招いた品切れ大乱」と題する記事を掲載した。

 

全国民主労働組合総連盟・公共運輸労組・貨物連帯本部(貨物連帯)のゼネスト(運送拒否)が10日目を迎え、全国の品切れガソリンスタンドが60か所に増えたことが分かった。

(1)「12月3日、産業通商資源部(産業部)によると、前日の午後2時時点で全国の品切れガソリンスタンドは計60か所だった。同日の午前8時(52か所)より8か所増えた。11月30日の午前8時時点の23か所から37か所に増加した。燃料別ではガソリン41か所、軽油13か所で、ガソリンと軽油が共に売り切れたところは6か所と集計された。地域別では、ソウル市22か所、キョンギド(京畿道)16か所など首都圏で目立っている」

 

首都圏でガソリンスタンドが、ガソリン不足に見舞われるケースが増えてくると、世論もやかましくなろう。左派の盧武鉉政権がつくった「業務開始命令」だけに、野党も業務命令を非難でない立場だ。スト収拾に向けて、野党も協力すべきであろう。

 

(2)「パク・イルジュン(朴一俊)産業部第2次官はこの日、大韓送油管公社チョナン(天安)貯油所を訪問し、石油製品の出荷状況を点検した。天安貯油所は1989年7月に竣工し、貯蔵タンク9基、計21万バレルの貯油設備を通じて首都圏・忠清圏に石油製品を供給する施設で、先月24日にストライキが始まって以来、連日集会が続いていたところである。朴第2次官は「全国のガソリンスタンド出荷量は11月30日以降回復傾向である」としながらも「首都圏を中心に発生した一部のガソリンスタンドでのガソリン・軽油品切れ現象が最近は忠清南道地域まで広がっている状況について非常に厳重に認識している」と述べた」

 

ガソリン不足になると、経済活動に直接の影響が及ぶ。特に、10~12月期のGDP成長率が前期比マイナスもあり得るという厳しい見方も出て来ただけに、早期解決が望まれる。12月という1年の最繁忙期を迎えているだけにストの行方に関心が持たれている。


(3)「続いて、「集団運送拒否でも運送に乗り出すタンクローリーの運転手たちに被害が発生しないよう、産業部でも積極的な警察の支援と協力を繰り返し要請する」と付け加えた。産業部は精油4社と大韓石油協会、韓国石油公社などが加盟する‘精油業界非常状況班’を運営し、主要拠点別の入荷・出荷とガソリンスタンドの在庫現況などをモニタリングしている」

 

政府は、ガソリンスタンドの在庫状況などをモニタリングしているが、厳しい状況になれば、政府への非難となろう。韓国世論の半分は、左派支持である。

 

(4)「これに先立ち、ユン・ソギョル(尹錫悦)大統領は民主労総公共運輸労組貨物連帯本部(貨物連帯)に対し「不法と犯罪に基づく争議行為には最後まで法的責任を問う」と明らかにした。また、週末以降も貨物連帯のゼネストが続く場合、業務開始命令の拡大など、利用可能なすべての案を検討するという強硬な考えも再確認した。特に、首都圏のガソリンスタンドのガソリン品切れ事態まで予想されるため、週明けにただちにタンクローリーに対する追加業務開始命令を発動するものと予想される。さらに大統領室は政府発注物量被害額と関連した訴訟も検討している」

 

政府は、法的手段一点張りである。これだけでは、解決は難しい。韓国のトラック運転手は、特殊な雇用形態になっている。これを、解決することが必要だろう。