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ロシアは、ウクライナ軍のドローンによりロシア国内の空軍基地を連続して攻撃される事態を招いている。改めて、ロシア軍の防空体制に抜け穴があるのでないかと指摘されている。一方、ウクライナ国防省情報総局トップのキリロ・ブダノフ氏は、ロシアが高精度のミサイルをほぼ使い果たしたのでないかとの見方を示している。ブダノフ氏は、ウクライナのテレビで、ロシアの高精度ミサイルの在庫は「すでに尽きつつある」と述べたもの。

 

こうしてウクライナ軍の勢いは、冬季間も持続させることが、ウクライナ軍が最終的に勝利への道をたぐり寄せる機会になる、と米国シンクタンク「戦争研究所」が分析する。

 

米『ニューズウィーク 日本語版』(12月6日付)は、「『ウクライナ軍の活路は冬にしかない』、米戦争研究所」と題する記事を掲載した。

 

ウクライナがさらなる領土奪還に向けてロシア軍に反撃するいちばんのタイミングは春だ、という米政府関係者の分析は誤っていると、米ワシントンを拠点とするシンクタンク戦争研究所(ISW)は指摘する。

 

(1)「アメリカの情報機関を統括する国家情報長官(DNI)を務めるアブリル・ヘインズは12月3日、カリフォルニア州シミバレーで開催されたレーガン国防フォーラムで、ウクライナでの戦争は冬になって戦闘の「テンポが落ちた」とし、両軍が来春の反抗に向けて準備に入ったと述べた。現に東部ドネツク州では戦闘が下火になっていると、ヘインズは述べた。「問題は、冬が終わったときにどんな反攻が繰り広げられるのか、だ」と、ヘインズは言った。「率直に言って、両軍とも、反攻のためには再装備や補給など再編成が必要な状態だろうと我々は考えている」と指摘する」

 

ウクライナ軍のこれまでの反攻作戦は、ロシア軍の兵站線を叩いて補給させないことに重点を置き、ロシア軍を疲弊に追込んで勝利を掴んできた。こういうプロセスから見て、ウクライナ軍が手綱を緩めることは、ロシア軍に息を吹き返らせる意味で愚策である。

 

(2)「ISWはその見方に反論する。12月4日に公表した報告書のなかで、ヘインズの情勢判断はいくつかの兆候を見落としていると指摘した。「冬のあいだは、(凍って硬い)地面が攻勢をかけるうえで有利に働くこと、そして、ウクライナ軍には作戦完了後に比較的すばやく次の攻撃に移る傾向があること」だ。ウクライナ軍は11月半ば、2月の侵攻開始直後からロシア軍に占拠されていた南部の都市ヘルソン(ヘルソン州の州都)を奪還した。同地域では、ほぼ同時に40を超える町をロシアから奪い返している。ロシア政府は、ヘルソン州に駐留していたおよそ3万人の軍隊に撤退を命じた」

 

ウクライナ軍も、地面が凍ることで機動力が増すとしている。冬季は、攻撃する方が有利とされる。防衛側は、じっと敵の攻撃を待つ以外に方法がないのだ。ロシア軍は、耐寒装備面でも劣っている。ウクライナ軍が、はるかに有利な立場にいるのだ。

 

(3)「ISWはこう述べている。「ウクライナ軍は、2022年8月に主導権を握って以来これを保持しており、次々と作戦を展開して成果をあげている。9月にはハルキウ州のほぼ全域を、11月にはヘルソンを、ロシア軍から奪還した。ウクライナ軍は現在、この冬にほかの場所でさらなる攻勢をかけるべく態勢を整えているところだ」。ISWは、ウクライナ戦争における冬という季節の重要性を過小評価しているわけではない。ISWは今冬について、以下のように述べている。「冬は、ウクライナ軍が機動戦を展開するさい、いかに休止期間を最小限に抑えて次々と成果を上げ続けられるかを決定づけるだろう。休止期間が長いと、ウクライナが主導権を失うリスクが高まる」としている」

 

下線のように、ともかくロシア軍に休息期間を与えずに、着実に攻めまくることである。

 

(4)「ISWは一方で、冬はウクライナに有利に働くと考えている。逆に気温が上がれば、地面がぬかるみ、軍用車両の進行が容易でなくなる。「ウクライナにおいては通常、冬は戦車などを中心にした機甲戦に最適な季節だ。それに対して、春は戦闘にとって悪夢の季節だ」とISWは述べる。ウクライナを支持する国々は、「ウクライナ軍がこの冬、大規模かつ決定的な反攻作戦を繰り広げられる」よう支援すべきだ、とISWは述べている」

 

ウクライナ軍は現在、東部と南部で攻撃を続けている。ロシア軍は、南部の防衛隊を東部に移動させるなど、南部に防衛の空白地域をつくれば、ここを一気に攻めまくる体制にあると軍事専門家は見ている。

 

(5)「そうしなければ、ウクライナ軍は勢いを失い、2023年3月の後まで身動きが取れなくなる。「そうなれば、疲弊したロシア軍に対して、貴重な猶予期間を34カ月も与えることになり、彼らは態勢を立て直すだろう」とISWは結論している」

 

ロシア軍は最近、しばしば停戦を話題にしている。これは、ロシアの計略であって、この間に部隊を再編成して再び戦いを挑む方針と見られている。ロシア軍に誠実な面を期待できないのが現状である。