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中国武漢で3年前、新型コロナが最初に登場した時は治療法も分からず、ただ、都市封鎖するしか道はなかった。これが、成功したことでその後のワクチン登場も無視し、同じ方法にこだわってきた。これが、中国のゼロコロナ対策の経緯である。一度決めた方針は、いかなる矛楯があろうと続ける。こうした硬直したやり方は、毛沢東の「大躍進運動」の失敗と瓜二つという指摘が出てきた。

 

独裁体制であるからこそ、こういう愚かなことが行えるとしても、その犠牲になる国民は泣き寝入りである。だが、先ごろの若者たちの不満と不安の声が、指導者のいない「突発的デモ」になって世界中に知れ渡った。さすが、当局もこういう愚行を訂正せざるを得なかったのだろう。それが、7日に発表された緩和策である。この裏には、深刻な経済疲弊の事実が横たわっている。背に腹はかえられなかった面も強い。

大躍進運動の失敗、ゼロコロナ政策の失敗となると、次は台湾侵攻問題に繋がる。一度決めたことは頑なに行なう「習性」から見て、台湾侵攻の可能性は99%あろう。「残り1%」で、これをいかに食止めるかだ。深く考えさせられる問題である。

 

『朝鮮日報』(12月8日付)は、「大躍進運動にそっくりの中国ゼロコロナ政策」と題するコラムを掲載した。筆者は、同紙のキム・ミンチョル論説委員である。

 

中国で「ゼロコロナ政策」に反対するデモが拡大した。3年近く続く厳しい感染対策に疲れた市民の怒りがウルムチの火災をきっかけに爆発したのだ。

 

(1)「毛沢東は1958年「7年以内に英国を抜き、15年以内に米国に追い付く」という目標を掲げ「大躍進運動」を行った。現実離れした過度な経済成長率を目標にスピード戦を無理強いし、国民を追い込んでいったのだ。ありとあらゆる非科学的な方法が登場したが、その典型例が「スズメとの戦争」だった。スズメが穀物の粒を食べるという理由で掃討を命じたのだ」

 

「スズメとの戦争」は、現代に置換えると「台湾統一」となろう。トップが決めたことは、必ず行なう中国共産党の「党是」から言えば、台湾侵攻は確実に行なう。世界は、これを再認識することだ。

 

(2)「実際は、スズメが減少し食物連鎖が崩壊すると逆に米の収穫量が減り、これに自然災害まで重なったことで最悪の大飢饉を招いた。数千万人が餓死する生き地獄となったが、地方政府は穀物生産量などについて上部に虚偽の報告を行った。それでも誰も正しいことを言えず、この政策は4年以上にわたり続いた。政治指導者が間違った判断と政策を押し通し、これに正しいことを言える勢力が存在しない場合、いかに深刻な事態を招くかを示す事例だった

 

下線部分は、台湾侵攻に当てはまる。習近平氏の判断に反対できる勢力がなければ、台湾侵攻は現実化する。これに失敗すれば、中国共産党は瓦解する。その過程で、中国は大混乱に陥るだろう。同時に世界経済も巻き込まれる。習近平氏の存命中は、中国も世界も気の休まる時が来ないのだ。

 

(3)「ゼロコロナ政策はさまざまな面でこの大躍進運動とよく似ている。中国がゼロコロナ政策を推進すると、世界中が「不可能だ」と懸念の声を上げた。過去3年間に米国でコロナ対策のトップだったファウチ首席医療顧問も「中国は何の目的も最終目標もなく長期の封鎖にはいったが、これは公衆保健のためには正しくない政策だ」と批判した。しかしトップが一度方向を定めると誰もこれに異議を唱えることはできなかった。あり得ない目標を掲げて納得しがたい方法(長期封鎖)を使い、さらには信じられない統計まで広がり、住民の苦痛など意に介さずひどい政策を長期にわたり続けた点でゼロコロナは大躍進運動とさまざまな面でそっくりだ」

 

今回のゼロコロナ対策緩和は、若者たちの不満デモと経済の困窮を理由にして突如起こった。台湾侵攻方針を撤回する条件は、民主主義陣営の同盟強化と、西側からの無謀な戦いを思いとどませるコミュニケーション強化であろう。

 

(4)「人類は、新型コロナと3年にわたり闘った結果、単純だが貴重な教訓を得た。優れたワクチンを選択して接種を増やし、徐々に日常を回復する方法しかないということだ。幸い新型コロナも今なお感染力は強いが重症化率や致命率は下がりつつある。それでも中国は驚くべきことに3年前に武漢で新型コロナが最初に登場した時と同じ方法にこだわっているのだ」

 

優れたワクチンは、台湾侵攻に当てはめれば、西側諸国の同盟強化であろう。米中デカップリングを徹底化させることも不可欠である。

 

(5)「習近平・国家主席が3期連続で主席に就任すれば封鎖も徐々に解除されると考えられてきたが、実際はそうではなかったため中国国民の不満も限界に達したようだ。韓国も隣国であることから、中国が不可能な政策を数年にわたり続けたことによる直接・間接の被害は決して小さくない。それでも今後しばらくはこの巨大な隣国が愚かにも時限爆弾を抱いてふらつく様子をただ不安な思いで見守るしかなさそうだ

 

下線部は、韓国の本音であろう。陸続きであるだけに、台湾侵攻が始まるか、まさに時限爆弾を抱えた状況だ。これを回避するには、強力なワクチンに相当する米韓同盟の強化であろう。平和が、同盟によって守られると指摘したのは、あのドイツ哲学者カントである。