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中国の23年乗用車販売戦線は、ゼロ成長と言えそうだ。今年、有力な販促手段になった減税措置が来年はないこと。また、混乱の極にある「ウイズコロナ」が、どのように終息へ向かうか見当がつかないことだ。中国汽車工業協会は、建前上1%増と見ているが、実現の可能性は低いようだ。

 

『日本経済新聞 電子版』(12月30日付)は、「中国の23年新車販売、乗用車ゼロ成長も 減税終了などで」と題する記事を掲載した。

 

中国の広東省広州市で12月30日、自動車の国際展示会「広州国際汽車展覧会(広州モーターショー)」が開幕した。自動車大手各社が電気自動車(EV)などの最新車両を披露した。業界団体は2023年の中国新車市場は22年比3%増と見込むが、乗用車は「ゼロ成長」との見方もある。大型減税の反動や新型コロナウイルスの感染拡大など懸念材料は多く、不透明感が強まっている。

 

(1)「中国汽車工業協会は23年の新車販売台数を、22年比3%増の2760万台と3年連続プラスを見込む。ただ、そのうち乗用車は1%増の2380万台にとどまる見通しだ。別の乗用車の業界団体からは「ゼロ成長もありうる」と、さらに厳しい見方も出ている。23年の新車販売が鈍る最大の理由は、6月に始まった乗用車の取得税の半減政策が、12月末で終了するからだ。取得税の半減は22年の新車販売を下支えした一方で、23年は反動減となる恐れがある」

 

23年は、22年の減税の反動減が出る。複数年をならしてみれば、減税効果はどれだけあるか不明だろう。

 

(2)「懸念される反動減を乗り越えようと、自動車各社が力を入れるのが新型EVなどの拡販だ。「22年の販売台数は(前年比2倍強の)15万台を超えるだろう。23年は海外進出を強化する」。中国合衆新能源汽車傘下で新興EV「Neta」の江峰副総裁は、モーターショーの発表会でそう力説した。14年設立の同社は約8万元(約150万円)からの低価格EV「V」などが好調だ。22年の中国新車市場は、Netaのような新興メーカー製を含むEVの販売が急増した。汽車工業協会の予測では、22年の中国新車販売は前年比2%増の2680万台の見込み。ただEVやプラグインハイブリッド車(PHV)などの「新エネルギー車」は、90%増の670万台に拡大する見通しだ。コロナの感染拡大と厳しい対策が響きながらも、新エネ車の好調で全体を補った格好だ」

 

低価格のEVで売り込みを図る。EVでは、ブランド効果は薄いとされる。低価格が最大の販促ツールになっている。

 

(3)「23年の新エネ車販売は、22年比で35%増の900万台になると見込まれる。広州モーターショーでは各社がEVなどの最新車種をアピールした。中国民営自動車大手の浙江吉利控股集団は、4人乗りの小型EV「熊猫mini」を披露。若者や子育て世代をターゲットとし、限定版の価格は5万5800元に設定した。国インターネット大手の百度(バイドゥ)と、吉利が共同で立ち上げた集度汽車も、新型EV「ROBO-02」を紹介。自動運転技術の性能などをアピールした」

 

吉利自動車は、5万5800元(約105万円)のEVを発売する。どこまで、市場を開拓できるか。

 

(4)「トヨタ自動車はハイブリッド車(HV)を含む電動車を拡充する。「23年はHVを12車種発表などし、EVや燃料電池車(FCV)も含めた全方位で電動化を進める」。トヨタの中国合弁会社「広汽トヨタ」の藤原寛行総経理は、そう力説した。20日には広州市で年産能力20万台となる新エネ車の新ラインの稼働が始まった。別の合弁会社「一汽トヨタ」も新型「クラウン」でHV2車種を披露したほか、中国比亜迪(BYD)と開発したEV「BZ3」を展示した」

 

トヨタは、23年にHVで12車種を販売する。EVやFCVでも力を入れる。トヨタは、中国市場で好調だ。

 

(5)「トヨタやホンダと合弁会社を運営する中国国有自動車大手、広州汽車集団の馮興亜総経理は、記者団に「(23年の中国全体の新車販売について)目標とする3%増は達成可能だ。ただし半導体不足や政府補助の終了といった不確定要素はある」と語った。自動車各社にとって22年は、コロナ感染拡大やサプライチェーン(供給網)の逼迫などに直面した一年となった。各社は23年も新たな課題に対応する必要に迫られている」

 

半導体不足は、相変わらず続いている。トヨタは半導体確保を有利に進めたとされるが、未だ需要を100%満たせる状況ではない。