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ロシアのウクライナ侵攻後、10ヶ月も経っているが、ロシアは劣勢に立たされたままだ。すでに、ロシアは武器弾薬備蓄を消耗し尽くしており、北朝鮮やイランへ支援を求める状況になった。これまでの「軍事大国」ロシアのイメージは、大きく後退しているのだ。

 

西側諸国は、ウクライナの戦場で奪取したり破壊したりしたロシアの軍用品の分析している。それによると、ドローンやミサイル、通信装備など27の重要な軍用システムでは、450の外国部品が使われていることが判明した。これら部品の大半は米国製で、残りは主にウクライナを支援する諸国の部品であった。このようにロシア製兵器には、西側諸国の部品が大量に使われている。ロシアは、経済制裁で武器生産の停滞が不可避の情勢になった。

 

こうして、「軍事大国」ロシアの実態は意外と脆いことが判明した。ウクライナ侵攻は、ロシアの行き詰りに終わる公算が強まっているのだ。ただ、ロシアには核兵器があるので、最終的にはこれを持出して威嚇するであろう。もし核を使えば、ロシアの国際的地位は急落するし、同時に通常兵器による報復攻撃を招くので、決して賢明な策ではなく「自殺行為」になる。ロシアのウクライナ侵攻は、かくして失敗という結果が予想される。その際、ロシアに何が起こるか、である。

 

『中央日報』(1月9日付)は、「米政治学教授 露、ウクライナ敗戦時 暴力的内戦の可能性『中国に従属も』」と題する記事を掲載した。

 

ウクライナを侵攻したロシアが戦争で苦戦する中、ロシアの崩壊に対する準備が必要だという主張が8日(現地時間)、米国であった。米ラトガーズ大のアレクサンダー・モティル政治学科教授は『フォーリンポリシー』(FP)への寄稿で「今がロシアの崩壊を準備する適期」と題し、このように主張した。

 

(1)「モティル教授はナポレオンの敗戦とフランス帝国の崩壊などの事例を挙げながら「戦争や革命、経済危機などの事件が発生した後、国家が崩壊した事例が歴史に多くある」と紹介した。続いて、「ウクライナでロシアの敗色が濃厚になった後、ロシアでどんなことが生じるかについて、多様なシナリオが出てきている。最も可能性があるのはプーチン大統領が権力を手放した後に極右国家主義者と権威主義的な保守主義者などの間の深刻な権力闘争」とし「我々は誰が勝つか分からないが、権力闘争はロシアの体制を弱め、弱まった体制と誤作動する経済は不満を抱くロシアの人々の街頭デモにつながるはずで、一部のデモ隊は武装する可能性もある」と説明した」

 

一般的に言えば、ロシアの民主化という想定になろうが、そうはならないとことに事態の深刻さがある。ロシアでは、変革は底辺の騒乱から始まるということを、歴史が示している。となると、ロシアの人々の街頭デモにつながるはずで、一部のデモ隊は武装する可能性もあることを頭に入れる必要があろう。

 

戦線が不利となれば、さらなる徴兵を行なうのは必至だ。だが、前線の部隊を指揮する将校や下士官というベテラン軍人が、すでに犠牲になっている事実を考えなければならない。新兵を集めていくら戦場へ送っても、有能な前線の指揮官を失っている以上、勝利を得られる見込みはなく、犠牲者を増やすだけとなろう。それは、犠牲になった家族の怒りに火を付けて、過激な街頭デモへ駆り立てるリスクを増やすことになる。最早、ウクライナ侵攻の帰趨は、決まったのも同然と見るほかないのだ。


(2)「モティル教授は、「ロシア連邦を構成する非ロシア政治単位もより大きな自治権を追求する可能性がある」とし、「タタールスタン、バシコルトスタン、チェチェン、ダゲスタン、サハなどを主な候補に挙げた」

 

ロシアは、「ロシア帝国」の歴史を継いでいる。現在のロシアは「連邦共和国」だが、内実は「ロシア帝国意識」である。周辺の「小民族」の存在意義は低い。となれば、長年の鬱積によって「独立」を意図する可能性もある。そうなれば、ロシアの規模はさらに小さくなるであろう。

 

(3)「また、「ロシアがこうした内部混乱でも生存する場合、中国に従属する国家になる可能性が高い」とし「ロシアが生存できなければ、ユーラシアの地図はかなり変わるだろう」という見方を示した」。

 

ロシアは、経済制裁によって「100年前」のロシアに戻る指摘されている。欧州諸国にとっては、軍事力を持つロシアの復元を最も恐れている。この際、ロシアの軍事力をできるだけ小規模にさせる絶好の機会と捉えていることは間違いない。これまで、プーチン氏に親近感を見せてきた欧州の極右勢力は、ロシアのウクライナ侵攻を見て鳴りを潜めている。極右でも、隣国侵略を擁護できないからで、プーチン氏の計算違いは間違いない。

 

弱体化するロシアを支援するのは中国となろうが、これは一筋縄で行かない難物だ。ロシアは、歴史的に中国よりも上位意識である。国民レベルになると、中ロ間には微妙な心理的葛藤があるのだ。