a0960_006625_m
   

最大野党「共に民主党」は、国会審議より政権批判に熱を入れている。ところが、支持団体である「貴族労組」と揶揄されている民主労総の幹部による北朝鮮スパイ事件で捜査を受けていることで困惑している。北朝鮮スパイと言えば、国民感情から言って厳しい批判を浴びることは必至だけに苦慮しているのだ。

 

『WOWKOREA』(1月22日付)は、「『共に民主党』、スパイ事件と距離置き 対応に苦心」と題する記事を掲載した。

 

韓国メディア「ヘラルド経済新聞」によると、最近韓国では民主労総のスパイ疑惑が持ち上がり、物議を醸している。

 

(1)「与党は労組のスパイ行為に対して批判を繰り返す反面、野党である「共に民主党(民主党)」がこの問題については発言を控え、慎重な態度をみせている。今回のスパイ疑惑で押収捜索を受けた民主労総との関係、そして生半可に対抗すれば、政治的な逆風を受けると憂慮したためとみられる。21日、韓国の政界によると、民主党は18日に国家情報院と警察がソウル中区にある民主労総の事務所など全国約10か所を押収捜索したことについて、対応に苦心しているという」

 

共に民主党は慎重姿勢である。容疑を受けた労組幹部が姿をくらましていることが、疑念を深めているからだ。潔白であれば、逃げ隠れする必要もなく、堂々と取調べを受け身の証を立てるべきである。韓国国民の北朝鮮に対する感情は最悪である。それだけに、スパイ事件に関わって現金を受領したことが事実とすれば、総スカンを受けることは確実だ。

 

(2)「スパイ疑惑の捜査は、昨年から慶南や全北、済州などの市民団体を対象に行われていた。今回は民主労総が対象となったが、民主党では目立った発言がない。国内外で起きている事件や事故はもちろん、労働界の問題について素早く対応してきた過去と比べると異なる態度だ。このような背景には、一般的な不正または不法事件ではなく「スパイ」事件ということにある。ある民主党の再選議員は「まだ捜査が進行中であり、我が党は詳しい内容を把握できずにいる。もし本当にスパイということが事実ならどうしたらよいか」と述べた。党指導部のある議員も「スパイ事件は国民にとっても敏感な事件だ。捜査を見守る」と語った」

 

共に民主党は、労組が有力支持団体である。従来であれば早速、労組を擁護して政権を批判するのが常だ。今回はスパイ事件である。国民世論がどう動くは分からないだけに、動向を読もうとしている。

 

こういう中で左派メディア『ハンギョレ新聞』(1月19日付)は、「韓国国家情報院、民主労総への全面的な家宅捜索…「公安攻勢」に乗り出したか」と題する記事を掲載した。

 

「最近、持ち上がった慶尚南道・済州の市民社会団体幹部などの反国家団体結成疑惑に続き、国情院が全面的な捜査に乗り出したことに対し、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の「公安攻勢」が本格化しているという批判の声があがっている」と批判の矛先を労組でなく、政権へ向けている」

 

この記事では、「スパイ」という言葉を一切使わず、「反国家団体結成」疑惑としている。いかにも仲間うちへの配慮が十分にされた報道である。スパイ事件としないのは、北朝鮮への配慮も窺える。この事件が起訴された場合、『ハンギョレ新聞』はどのように報道するのか。あくまでもでっち上げ事件として片付けるのであろう。

 

(3)「『イーデイリー』は今回のスパイ事件について、20日付社説で「労働運動の仮面をかぶってスパイ活動した疑いが持たれている民主労総の素顔を見れば、韓国社会に安保の警戒心がどれほどなくなったかが分かる」と指摘。「前政権でスパイ事件の捜査を先送りした関係者の職務遺棄についても、一つひとつ真相を明らかにしなければならないのは言うまでもない」と前政権を批判した」

 

『イーデイリー』は、20日付社説で「労働運動の仮面をかぶってスパイ活動した疑い」として糾弾している。まだ、事件の全貌が明らかにされていない段階で、このように決め付けることは差し控えるとしても、『ハンギョレ新聞』の政権批判も度が過ぎている。真実はどこにあるか、を冷静に見届ける必要があろう。