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中国の不動産バブル崩壊は、世界の不動産業界の苦境と重なってきた。住宅市場から商業用不動産に至るまで、世界最大の資産クラスである不動産の価値が下落しているからだ。これが、世界経済に信用不安の波を引き起こす恐れすらあると指摘されている。

 

こうした状況下では、中国不動産価格が暴落して割安になっても、中国だけの事情でないことが分かるはず。中国は、自力で不動産不況を乗り切るしか道がなさそうだ。

 

『日本経済新聞 電子版』(1月23日付)は、「中国、不動産支援に転換 銀行の融資態度一変」と題する記事を掲載した。

 

中国が不動産市場を支援する姿勢に政策を転換した。金融監督当局が国有銀行に融資を指導し、銀行の融資態度は一変している。危機に瀕していた不動産各社は生き残りの道が見えてきたが、不動産バブル問題の解決は先送りされることになる。

 

(1)「上海市内で復星集団の郭広昌董事長が16日、「銀行の長年の信頼と支援に感謝します」と銀行団に謝意を示した。同日、中国工商銀行など8行と結んだ融資契約の総額は計120億元(約2300億円)にのぼる。復星は世界各地でリゾート開発やオフィスビルに投資しており、中国恒大集団の信用問題に端を発した不動産危機で資金繰りに窮していた」

 

中国経済が昨年、人口減へシフトしたことは、最大の悪材料である。不動産のように長期保有資産にとって、中国マクロ経済の停滞予測は大きな衝撃だ。これが、不動産価格の頭を抑える要因になる。中国では不動産バブルが、再び起こらないこと。また、過剰在庫の存在を忘れてはならない。

 

(2)「中国人民銀行(中央銀行)は13日の記者会見で、不動産大手に対して定めた財務指針「3つのレッドライン」を緩和すると明らかにした。2022年11月にまとめた不動産市場に対する包括的な金融支援策に続く措置だ。16日には、工商銀上海支店が上海市に拠点を置く不動産大手16社に計2400億元の融資を提供する意向を示した」

 

不動産業界の逼迫する資金繰りを助けても、これが新規住宅需要を喚起する訳ではない。痛みのない過剰債務整理の方法がない以上、今回の緊急融資はかえって債務整理を遅らせる副作用の方が大きいであろう。住宅価格が、家計所得に見合った適正ゾーンへ下がるまで、新規需要への期待は無理だ。

 

(3)「中国政府が政策転換したのは、不動産市況の不振が経済だけでなく、社会まで不安定にさせる恐れが出てきたからだ。22年夏には、工事中断で住宅の引き渡しのめどがたたないことに不満を強めた住宅購入者が、ローン支払いを拒否する事態に至った。住宅都市農村建設省が17日に開いた全国住宅都市農村建設工作会議は「住宅の引き渡しを確実に行い、住宅購入者に安心を与える」ことを23年の主な政策目標とする方針を決めた。一方、「住宅は住むものであって投機対象ではない」とするバブル抑制策は後回しとなった。今回の政策転換は、人口が減少する中での住宅市場のリスクを一段と高めかねない」

 

今回の融資は、建設途上で中断している住宅建設を支援する「終戦処理費」である。「青田売り」商法で販売してきた住宅事業はこの際、竣工後の販売へと是正させなければ、事態再発を防げまい。

 

『ブルームバーグ』(1月18日付)は、「ロゴフ氏『住宅価格10%、数年で確実に下げる』FF3.5%で高止まりも」と題する記事を掲載した。

 

国際通貨基金(IMF)の元チーフエコノミスト、米ハーバード大学教授(経済学)のケネス・ロゴフ氏は世界の住宅市場について、金利高止まりに伴い今年と来年は著しい価格下落に直面する見込みだと語った。

 

(4)「世界経済フォーラム(WEF)年次総会(ダボス会議)に参加したロゴフ氏は、インフレ抑制のため借入金利の引き上げがもう少し続く可能性が高いとの見通しを示唆した。ロゴフ氏は「株価と住宅は金利に合わせて動くが、株式の方が動きはずっと速い。私が考える通り、金利がしばらく高止まりするとすれば、米国だけでなく、世界的に住宅市場の下向き調整がまだ大いにあると思う」と述べ、「数年でさらに10%は確実に下げるのではないか」と予想した」

 

世界的に住宅市場は、さらに数年で10%は下落すると見られている。金利の高止まりが理由である。過去10年続いた金融緩和が終わったので、不動産価格は下落基調にある。中国不動産に陽が当る可能性は低くなろう。