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中国は、22年人口が減少に転じたことから、中国も未来に対して「危険信号」が灯ってきた。国連推計は、合計特殊出生率「1.3」を前提にした場合、21世紀末の総人口が半減するという見立てをしていた。だが、21年の合計特殊出生率が「1.16」と前記の「1.3」を割り込んでいるので、今世紀末の7億人割れはもはや動かし難い状況になった。

 

人口減は、これからの中国社会に大きな変化をもたらす。高齢者の急増によって、潜在的な経済成長率が急低下し、財政逼迫が起こることだ。社会主義を標榜しているだけに、国民の不満が吹き出ることは不可避である。上からの弾圧では乗りきれない事態が想定されるのだ。

 

『ニューズウィーク 日本語版』(1月24日付)は、「「21世紀末には人口は約半分」中国共産党に落とされる人口減という『大爆弾』」と題する記事を掲載した。

 

中国社会が縮んでいる。有史以来、人口においては世界一の座を(ほぼ)維持してきた中国に、重大な転機がやって来た。2022年は死亡者数が出生数を上回り、約60年ぶりに総人口が減少に転じた。かなり以前から予想されてきたこととはいえ、中国の人口動態を研究してきた学者として、これが些細なニュースでないことは筆者にもよく分かる。

 

(1)「国連によると、21世紀末には中国の人口は現在よりも約45%減るという。だがそれは、現在の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子供の数)約1.3を維持すればの話だ。少子化がもっと進めば、人口減はより大きくなる。それは中国の人口統計学者が、かねてから懸念してきたもう1つのトレンド、すなわち社会の急速な高齢化に拍車をかけるだろう。中国では、2040年までに65歳以上の高齢者が総人口の約22%を占めるようになる」

 

当初の国連予測では、中国が人口減社会になるのは2031と想定されていた。それが、9年も繰り上がって2022年になった。この間の出生率の落込みがいかに大きかったかを示している。これは、高齢者の増加によって、経済的な負担が大きくなることを意味するのだ。

 

(2)「現在の中国では、地殻変動的な大転換が起きており、それは3つの重要領域で、象徴的な意味でも、現実的な意味でも、巨大なインパクトを与えるだろう。第1の重要領域は経済だ。中国経済はこの40年で、労働集約型の成長モデルを維持してきたが、これから維持できなくなる。人口動態における歴史的な転換は、中国政府にとって、ポスト製造業あるいはポスト工業経済の成長モデルへの移行を一段と急ぐべき理由である。少子高齢化社会では、労働集約型の成長モデルを維持できないからだ。恐らく、中国にとって2022年が人口動態の転機となったと同時に、経済成長が1976年以来で最悪の水準となったのは、偶然ではないのだろう」

 

中国は、人口減社会に向かうのでもはや労働集約型成長モデルが維持不可能である。高付加価値産業へ転換しなければならない。だが、米中対立で半導体産業発展に大きなブレーキを掛けられた。中国自らが招いた事態だ。米国覇権へ挑戦したことが、引き起した「ブーメラン効果」と言えよう。

 

(3)「人口動態の変化は、中国社会にも大きな影響を与えるだろう。1979年から約35年間続いた産児抑制策「一人っ子政策」により、多くの高齢者には子供が1人しかいない。当然、その子供たちが直接的に担う重荷は大きくなる。働き盛りの夫婦は仕事をこなすと同時に、子供たちを育てて、高齢の親の支援もしなくてはいけないのだ。その負担を軽減するためには、政府が高齢者に適切な医療や年金を給付することが不可欠だ。しかし、長い年月をかけて社会のセーフティーネットを整備してきた欧米諸国とは異なり、中国政府は人口動態と経済状況の変化についていくので精いっぱいだった

 

中国は現在、コロナ感染によって医療設備の不備を世界に告知することになった。9年も早く繰り上がった人口減社会の到来で、高齢者の医療や年金で問題を起さないか、にわかに懸念される事態である。中国は、その準備が不十分と言うほかないのだ。

 

(4)「中国の人口が減少に転じたことは、政治面でも大きな影響を与えるだろう。人々の期待に沿う対策を講じることができなければ、中国共産党の支配を揺るがす事態にもなりかねない。一党独裁の正当性は、人々の暮らしを豊かにすることと引き換えに認められてきたからだ。それだけに、人口減少が経済の衰退につながれば、党には大打撃となるに違いない。少子高齢化社会をサポートする仕組みを党がきちんと整備できるかどうかも、人々は厳しい目で見ている

 

人口減社会で経済衰退が明確になると共に、中国共産党は国民に十分なサービスを提供できるかが試金石になる。国民の顔色を覗わなければならぬ、そういう事態へ逆転するであろう。共産党天下が揺らぐ可能性が深まるのだ。