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台湾侵攻で中国海軍壊滅

米は即時対応で殲滅狙う

習氏は制裁想定し籠城へ

 

ロシアのプーチン大統領が、ウクライナへ侵攻した理由は「大ロシア祖国の統一」である。ウクライナは、ロシア帝国発祥の地だ。そのウクライナが、西側諸国と一体化することはロシアの歴史に対する冒涜という認識を示している。

 

このプーチン氏の歴史認識は、中国の習近平国家主席にも通じる。台湾は、中国と不可分に関係にあり台湾「独立」は絶対に認めないという立場である。だが、ウクライナも台湾もそれぞれ主権を持っており、抽象的な歴史認識でそれを否定することは困難である。西側諸国が、ウクライナを支援していると同様に、台湾もまた西側の支援対象になっているのだ。

 

習氏は、国家主席3期目就任に当り「台湾統一」を公約に上げた。敢えて異例の国家主席3期に就任する以上、国民に対して公約をしなければならない立場だ。それが、台湾統一であり武力を用いても行なうとしている。

 

   

この結果、台湾侵攻計画は既定事実化された。ならば、その侵攻時期はいつかだ。米インド太平洋軍のデービッドソン前司令官は1月24日、自民党本部の会合で講演した。中国が、2027年までに台湾へ武力侵攻する。その「可能性は排除できないという認識に変わりない」と話した。27年は習近平氏が3期目の任期満了を迎える年でもある。習氏は、3期目の国家主席就任でも後継者を設けなかった。これは、習氏が4期目を目指す前兆である。

 

習氏は4期目を目指す以上、台湾統一の実績を上げねばならない。ここから、前記のように「27年までに台湾武力統一」という日程が浮かび上がるのだ。これには、軍事的な裏づけがある。中国は2026年以降になると、本格的な水陸両用作戦を実施できる準備が整うと指摘されている。台湾海峡(最短で130キロ)を渡って、大量の兵員や武器弾薬の輸送体制が出来上がるというのである。

 

台湾侵攻で中国海軍壊滅

中国は、台湾侵攻と同時に尖閣諸島へも侵攻して、日米軍の戦力分散を図るであろうと予想されている。中国が、執拗なまでに尖閣諸島周辺へ大砲を積んだ艦船を出没させている狙いは、尖閣奪取が目的と見られている。中国は、尖閣諸島が台湾の一部で、中国領だと主張している。尖閣に加え、台湾からわずか約110キロの与那国島など先島諸島も、中国からの攻撃地域に含まれる恐れが出てきた。こうして、台湾有事が日本有事となる公算が強まっている。日本としては座視できない事態である。

 

日本政府は、4年前から「台湾有事」を想定した「日米共同作戦計画」の策定に入っていた。陸海空の部隊運用や指揮統制といった作戦任務、輸送や補給など日米の役割分担をすでに詳細に定めている。作業は現在、最終段階に入っているという。『毎日新聞』(1月2日付)が報じた。事実、政府は2022年12月に決定した国家安全保障戦略など安保関連3文書に自衛隊の組織体制の強化も盛り込んだ。米軍との調整を担う常設の「統合司令部」の創設も決めたのである。

 

中国は、どのような形で台湾侵攻を始めるのか。中国は昨年8月、米下院議長ペロシ氏の訪台に抗議し4日間にわたり台湾を艦船で取り囲む形の軍事演習を行なった。台湾侵攻でも、この台湾封鎖作戦が行なわれると予想される。こうした前提を折り込みながら、米国の有名なシンクタンクCSIS(戦略国際問題研究所)が、中国の台湾侵攻に関して24通りの図上演習を行なった。それによると、中国海軍の壊滅的敗北となるが、台湾軍、米軍、自衛隊も相当な打撃を受けるとしている。

 

CSIS報告書は、中国が台湾問題に戦争という「最も危険な解決策」でケリをつけようとするなら、中台を隔てる幅130〜180キロ程の台湾海峡を血の色に染める激戦が展開されると、警告している。これは、米英豪の軍事同盟「AUKUS」が最新鋭原子力潜水艦を投入して、中国艦船をことごとく撃沈可能という構図に基づくものだ。

 

中国軍には近代戦を戦った経験がなく、演習と実戦では全く事情が異なるという認識がないのだ。ミサイル攻撃も演習と実戦では、標的への的中率が変わる。つまり、実戦では演習ほどの成果を上げられないのだ。習氏は、こうした実態をどこまで知っているかである。実戦経験のない中国海軍が、演習の成果を実戦成果と誤解したとき、大きな不幸が中国を襲うことになろう。(つづく)

 

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