あじさいのたまご
   

中国は、日本・オランダから先端半導体製造設備の輸入をストップされることになった。米国による対中半導体規制へ協力するもの。中国半導体は設計技術を高めているが、肝心の製造や製造設備の面で大きく出遅れている。米国は、この弱点を突いて軍需物資の生産を止めるのが目的だ。

 

『ブルームバーグ』(1月27日付)は、「日本とオランダ、米の対中半導体規制への参加に同意―関係者」と題する記事を掲載した。

 

日本とオランダは、中国による先端半導体関連装置へのアクセスを制限する米国の取り組みに参加する方向だ。交渉に詳しい複数の関係者が明らかにしたもので、独自の半導体製造能力の構築を目指す中国政府に対抗する強力な同盟となる。

 

(1)「中国企業への供給を認める装置について新たな制限を設けることを巡り、日米蘭の当局者は米国時間27日にも協議を終える見通しだ。協議が公になっていないことを理由に同関係者が匿名を条件に語った。交渉はワシントンで26日の遅い時間にも続いている。実施が見込まれる制限措置についての発表は予定されていないという」

 

米国バイデン大統領は、すでに日蘭の両首脳とも会談して大筋で合意を得ていた。米国は、中国を強力な軍事力の競争相手と位置づけており、半導体製造設備では世界の「2強」である日本・オランダの企業に輸出規制で協力を求めていた。半導体が、戦略物資である以上、やむを得ない措置であろう。

 

(2)「オランダは、同国の半導体製造装置メーカー、ASMLホールディングに対する規制を拡大し、一部の種類の先端半導体の製造に不可欠な深紫外線(DUV)露光装置の中国への販売を禁止する。この装置がなければ製造ラインの構築は不可能となる。日本もニコンに対し、同様の制限を設ける。西村康稔経済産業相は27日午前の閣議後会見で、米国による半導体製造装置の輸出規制について「さまざまな議論をし、レモンド米商務長官とも意見交換している。米国を含む関係者と議論を行う」と語ったが、「詳細は外交上のやり取りなので控える」とした」

 

中国は、日本へ報復措置を取るであろうと予想されている。自民党の青山繁晴参院議員は、米政府が求める半導体の対中国輸出規制を日本が受け入れた場合、中国からの報復が「100パーセントある」との見解を示した。21年の日中貿易は、10年ぶりに過去最高を更新した。輸出では、集積回路や半導体デバイスなどの器械類が牽引している。日本企業には痛手だが、青山氏は「経済安全保障の観点からアジアやアフリカ、南米などで新たな需要を開拓すべきだ」と述べた。『ブルームバーグ』が報じた。

 

欧州最大の半導体製造装置メーカー、ASMLホールディングのピーター・ウェニンク最高経営責任者(CEO)は25日、「輸出規制が、最終的には中国による独自の先端半導体製造装置開発を招く」との見方を示した。ただ、半導体の基本技術は米国が握っているので、これに抵触しない半導体製造設備の開発が著しく困難であろう。世界で半導体製造設備を生産できる企業は日本・オランダ・米国とわずかである。それだけ、高度の技術を必要とするのだ。

 

(3)「今回の共同の取り組みは、バイデン政権が昨年10月に発動した対中半導体規制を拡大するものだ。同規制は中国が独自の先端半導体を製造したり、海外から先端半導体を購入したりすることを制限するのが目的。こうした半導体が中国の軍事力や人工知能(AI)技術の向上に寄与する可能性があると懸念されている。米半導体関連装置メーカーは、バイデン政権が課した一方的な規制により米国メーカーが制約される一方で、海外の競合メーカーが引き続き最大の市場の一つである中国で事業を継続することができ、中国の軍事技術向上を制限するという目標も骨抜きになるとして不満を表明してきた」

 

米国が、日本・オランダにも協力を求めたのは、米国企業の不満を抑えることでもあった。米国企業だけ輸出禁止で、日蘭企業が自由というのでは「不公平」という不満解消のためでもある。いずれにしても、中国は米国覇権へ挑戦してロシアと協調する姿勢を見せたことが、今回の事態を招いた背景だ。中国にとって痛手である。