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今年は、4年ぶりの規制なしの春節である。これからの個人消費動向を占う意味でも重要な試金石であった。コロナ前の春節(2019年)に比べて、旅行客数は1割減、観光収入が3割減に止まった。コロナ感染者の犠牲者が、増えている中での春節である。慎重になったのであろう。この状況を見ると、今年の個人消費は「一陽来復」とは行かないようだ。

 

『日本経済新聞 電子版』(1月28日付)は、「中国、春節休暇の国内旅行3億人 コロナ前の9割水準と題する記事を掲載した。

 

中国文化観光省は27日、春節(旧正月)に伴う大型連休(21〜27日)の国内旅行者数が前年比23%増の延べ3億800万人だったと発表した。新型コロナウイルス流行前の2019年の9割近い水準となった。観光収入は前年比30%増の3758億4300万元(約7兆2000億円)だった。

 

(1)「新型コロナを封じ込める「ゼロコロナ」政策が昨年12月に事実上終了し、4年ぶりに移動制限のない春節となった。休暇を家族らと過ごす帰省客が増え、国内の観光地もにぎわった。国家移民管理局によると、21〜26日に中国本土から香港や海外に出た人は延べ119万2000人で前年比2倍だった。旅行予約サイトの携程集団(トリップドットコムグループ)によると、海外ではタイやシンガポール、マレーシアなど東南アジアが人気を集めた。中国交通運輸省は春節休暇を挟む40日間の旅客数が、前年の2倍の延べ20億9500万人になると予測している。人の移動や集まりが増え、新型コロナ感染が地方都市や農村に広がる可能性も懸念されている」

 

国内旅行者数が延べ3億800万人、香港や海外に出た人は延べ119万2000人という結果になった。国内旅行客数は、コロナ前に比べて1割減。4年ぶりの制限のない春節であったが、「爆発」という状況ではなかった。

 

『日本経済新聞 電子版』(1月28日付)は、「中国、春節の観光収入3割増 コロナ前には届かず」と題する記事を掲載した。

 

中国文化観光省によると、27日終了した春節(旧正月)に伴う大型連休の観光収入は、前年比30%増の3758億4300万元(約7兆2000億円)だった。コロナ拡大前の2019年に比べると3割減の水準にとどまった。

 

(2)「上海市の観光地「豫園」は25日、今年の干支のウサギのランタンがライトアップされ、家族連れなどでにぎわった。菓子店の店員は「今年は客が多く売れ行きがいい」と話した。中堅旅行会社の同程旅行によると、今回の春節休暇でホテル予約数の伸びが大きかったのは陝西省西安市、浙江省杭州市、黒竜江省ハルビン市などだった」

 

陝西省西安市、浙江省杭州市、黒竜江省ハルビン市が賑わったという。いずれも、有名な観光地である。それにしても「極寒の地」ハルピンは、零下50度と報じられていたほど。非日常体験の好奇心から人気を集めたのか。

 

(3)「観光地はにぎわいが戻りつつある。西安にある「兵馬俑(へいばよう)」の博物館では、チケットが事前に売りきれる日もあった。昨年は、たびたび一時的に営業を停止した上海ディズニーランドやユニバーサル・スタジオ・北京(USB)などのテーマパークも多くの人でにぎわったようだ。両施設のアプリによると、連休中は待ち時間が23時間になるアトラクションもあった」

 

テーマパークは、手近な娯楽である。待ち時間が2~3時間とは、これまでお預けにされてきた場所だけに、人気復活である。

 

(4)「身近な娯楽である映画も好調だった。国家電影局によると、興行収入は67億元超と22年の60億元を上回った。中国を代表する映画監督の張芸謀(チャン・イーモウ)氏の作品である「満江紅」やSF映画「流転の地球」の続編が人気だった。中国メディアによると21年に続いて過去2番目の水準だった」

 

映画館が賑わったのは、作品で人気が集まった面もあるが、最大の理由が「少額」での娯楽である。いかにも、現在の中国経済を反映している感じだ。