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共同で狙う半導体技術

科学技術「不毛の地」

2年早まる台湾侵攻?

 

米空軍のミニハン大将が、指揮下の部隊に対しメモで「私の直感では、2025年に中国軍と戦うことになると思う」と述べた。この発言がメディアに報じられてから、中国の台湾侵攻は、差し迫ってきた印象を強めている。

 

ミニハン氏は、次のような理由を台湾侵攻の根拠にしている。台湾と米国はいずれも2024年に米大統領および台湾総統の選挙を控えその準備に忙しく、中国はそれを防衛上において脆弱な時期と捉える可能性がある、としている。ブリンケン国務長官は22年、中国は以前に検討していたよりも「ずっと速い時間軸で台湾統一を目指すと決意」と指摘した。こういう重大なメッセージを無視することは極めて危険であろう。

 

台湾与党に新リーダーが誕生した。台湾独立を強く主張する頼清徳副総統は、蔡英文総統から民進党党首の座を引き継いだ。中国が2024年の台湾の総統選に介入し、頼氏の当選を阻止しようとするのはほぼ間違いないとされる。もし頼氏が当選すれば、中国はすぐにでも侵攻に踏み切る。そういう可能性を指摘する向きさえ出てきたのだ。

 

とりわけ、ロシアのウクライナ侵攻の決着が付かない現在、中ロが西側諸国への対抗を強めるべく、中国が台湾侵攻することで西側諸国の軍事力を分断させることは可能だ。米国が、台湾侵攻に関わることでウクライナ支援の手を緩めざるを得ず、中国は間接的にロシア支援を実現できるのだ。習近平氏が生涯、中国国家主席を務めるには、プーチン氏もロシア大統領であり続けることが望ましいことである。その意味で、中ロは人的要因で結束し易い要因を持っている。

 

こうして、中ロは水面下で提携強化に動く可能性を強めている。近く行なわれる中ロ首脳会談では、台湾侵攻についても話題に上がるであろう。

 

ロシアは、ウクライナ侵攻であと2~3年ぐらい戦争を継続できる財政的裏づけがあると見られる。プーチン大統領は、自らの政治生命に関わることから、敗北を認めずにズルズルと戦いを引き延ばして、西側諸国にウクライナ支援疲れを起させるのを待っている。こうなると、中ロの思惑が一致して、ウクライナ侵攻と台湾侵攻が並行するという最悪事態に陥る危険性が高まるだろう。

 

欧州とアジアでの戦乱は、第三次世界大戦だ。この危機を防ぐ手立てはないのか。それには、台湾侵攻を是が非でも防ぐことが不可欠である。

 

共同で狙う半導体技術

中ロが、ウクライナ侵攻と台湾侵攻を並行する場合、大きな経済的な利益を狙うことは明白だ。中国が、台湾を占領して台湾の最先端半導体を手中に収め、半導体窮乏に苦しむロシアを助けられるからだ。台湾侵攻で半導体製造設備は荒廃しても、技術者を獲得できれば「半導体砂漠」の中国は、一挙に米国へ対抗して世界覇権を握れる態勢が整う。同時に、ロシアも先端半導体を入手して、ウクライナ侵攻を成功させられるという思惑を強めるであろう。

 

戦争は、誤算から出発する。合理的に計算すれば、開戦する筈がない戦争が悲惨な結果を生んでいる。身近な戦争で言えば、日本の太平洋戦争開戦がそうであった。北朝鮮の韓国侵攻もそうだ。ロシアのウクライナ侵攻もその例である。国家間の紛争解決手段として、不合理な戦争を手段に使えば自滅する。これが戦争のもたらす歴史的帰結である。これは、戦い終わってから得られる結論だが、戦争の過程では戦争を「正答」として見てしまうもの。人間の性(さが)と言うべきだろう。

 

日本の太平洋戦争開戦は、ABCD(米国・英国・中国・オランダ)ラインによる経済制裁(石油・鉄くずの輸入禁止)への対抗手段として始まった。石油は、戦略品であるから生命線である。日本は真珠湾攻撃の他に、南方地域(東南アジア)で石油資源獲得目的に侵略戦争を始めた。こういう経緯から、太平洋戦争は「自衛戦争」という主張もあるが、肝心の東南アジアにとっては日本の「侵略行為」である。これが、歴史的審判である。

 

当時の石油は、現在の半導体である。先端半導体は、最新鋭武器には不可欠である。ロシア軍の武器を分解すると、米国を筆頭とする西側諸国からの部品・半導体が圧倒的という分析結果が出ている。中国は、このロシアから武器を輸入している関係だ。つまり、先端半導体が入手できなければ戦争継続が不可能という時代になっている。

 

科学技術「不毛の地」

ロシアの半導体事業は、スタートしたばかりの段階である。中国半導体は、ロシアよりも進んでいるが、先端半導体を生産する能力はない。そこで、必死になって西側からの技術導入を進めてきたが、米国から安全保障上の理由によって大幅に制限されている。最近では、米国が中国ファーウェイへ全ての半導体技術・製品の輸出禁止を命令した。これでは、ファーウェイは、営業不可能でお手上げになる。すでに、これまでの規制で世界トップを狙ったスマホ生産を放棄させられている。米国技術の威力をまざまざと見せつけたのだ。(つづく)

 

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