中国では、住宅関連需要がGDPの約3割という「住宅建設国家」である。人口減が始まっている国家で、住宅需要が無限に続くはずもない。こういう常識が、現在の中国には当てはまらないのだ。資本自由化を認めない中国では、海外の金融商品投資は不可能である。そこで、住宅投機に向かっている。しかし、肝心の人口が減る中で、住宅投機は萎む運命だ。
『日本経済新聞』(2月17日付)は、「中国住宅販売価格 14年ぶり下落 昨年 見えぬ不況出口 景気回復の重荷に」と題する記事を掲載した。
中国の住宅不況の出口が見えない。2022年の新築物件の販売価格は14年ぶりに下落した。雇用などの先行き不安が拭えず、資金不足でマンション建設を中断した開発企業への不信から住宅購入をためらう人も多い。中国の国内総生産(GDP)のおよそ3割を占める不動産業の不振が続けば、中国経済の回復を遅らせかねない。
(1)「全国の新築住宅価格をみると、22年の平均単価は1平方メートルあたり1万185元(約19万9000円)で21年比2.0%下落した。08年以来のマイナスとなり、下落率は遡れる1992年以降で最も大きい。中国国家統計局が16日発表した1月の主要70都市の新築価格も単純平均で前月比0.004%下落した。全体の51%にあたる36都市で値上がりしたが、平均価格は17カ月連続でマイナスとなった。1月に値上がりした都市が増えたのは2022年12月が落ち込んだ反動もある」
新築住宅価格の平均単価(1平方メートル)は、22年に08年以来のマイナス2.0%になった。今年1月の平均単価はさらに下落している。住宅需要回復への手がかりはまだない。
(2)「住宅価格が下落してきた要因は主に3つある。
1つ目が、景気悪化による先行き不安だ。22年はゼロコロナ政策が経済活動を抑圧し、都市部の新規雇用は21年を5%下回った。失業率も5.6%と政府目標の5.5%を上回った。
2つ目が、不動産開発企業の資金不足が招いた混乱だ。政府の金融規制で資金繰りが苦しくなった民間開発企業が工事を中断し竣工が遅れる例が続出した。新築物件の9割近くを占める予約販売への不安が強まり、住宅取引が減少した。
3つ目が、値上がり期待の弱まりだ。中国人民銀行(中央銀行)の預金者向けアンケート調査では「今後3カ月で住宅価格は上がる」との回答割合は14%と、確認できる09年以降で最低となった。販売不振に伴う価格下落が長引き「マンションは値上がりする」という神話が崩れつつある」
人口減社会で、住宅価格が上がり続ける前提条件が消えている。下落して当然である。その意味では、3つ上げてある値下がり要因のうち、マンション値上り神話崩壊の影響が大きいであろう。
(3)「販売不振でマンション在庫は積み上がった。新築物件で売れ残った在庫は22年末時点で前年末比18%増の約270平方キロメートルとなった。5年ぶりの高水準で、増加率も8年ぶりの大きさだ。15年に約450平方キロメートルまで膨らみ、圧縮に苦しんだ過剰在庫のリスクも頭をもたげつつある」
マンション在庫は、22年末で約270平方キロメートルもある。これだけの在庫を捌かなければならない。これにメドが立たない限り、新規着工を控えるであろう。
(4)「中国の不動産業は関連産業も含めてGDPの3割を占めるとの試算がある。不動産用の鉄鋼は国内需要の3割に達する。住宅市場の回復が遅れれば、建材や家具、家電の生産にもマイナスだ。新規の住宅開発の低迷は、開発企業に国有地使用権を売る地方政府の財政にも打撃となる。22年の売却収入は前年から23%落ち込んだ。15年(24%)以来の減少率だ。21年の売却収入は地方税収を上回っていた。地方政府の歳入の柱が傷んだことで、景気対策や社会保障の充実に向けた機動的な財政出動もハードルが高くなる」
中国は、住宅販売に動向に大きな影響を受ける。鉄鋼・建材や家具・家電のほかに、地方政府は土地売却益を主要財源にするという「土地本位制」(学術用語でない)になっている。中国が、ここから脱却するのは不可能であろう。土地が「アヘン」になっているのだ。不動産バブルが組込まれた経済構造である。
(5)「政府は住宅市場を刺激しようと、住宅ローン金利を下げてきた。22年12月の平均金利は4.26%と過去最低を記録した。さらに販売不振が長引く地域では、1軒目の購入で現在4.1%と定める下限金利より低い金利の適用を容認。一部都市は3.7%に下げた。今のところ需要刺激の効果は限定的だ。急激な金利低下で持ち家世帯による前倒し返済や借り換えが急増した。安定した金利収入を確保したい銀行は借り換え手続きなどの受け付けを渋り、社会問題になりつつある」
住宅ローンの下限撤廃も、新規需要に繋がっていない。前倒し返済や借り換えを増やす結果になっている。合理的に考えれば、住宅需要が増える要因がないことに留意すべきであろう。
(6)「資金不足に陥った民間の不動産開発企業への不信も根強く残る。頭金を支払ったり住宅ローンの返済が始まったりしたのに引き渡しが済んでいない物件は全国に2600件以上あり、対象の住民は188万人に上るという。政府は開発企業への資金支援で早期竣工を促すが、開発企業の信用回復で市場が正常化するには時間がかかりそうだ」


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