あじさいのたまご
   

中国は、3年間のゼロコロナという「封鎖経済」を解いて慌てている。米中対立で、もはやグローバル経済は昔のことになったからだ。中国は、ロシアのウクライナ侵攻を支持していることから、米国はもちろん、これまで親中的であった欧州まで敵に回している。こうして、中国の地方政府は日本企業へ猛烈なアッタクを繰返している。もはや、企業誘致できる相手国がなくなったのだ。 

『ニューズウィーク 日本語版』(2月15日付)は、「政府が『経済成長せよ』、と叫ぶだけの中国が根本的に分かっていないこと」と題する記事を掲載した。 

中国政府の「経済成長」愛に再び火がついた。ゼロコロナ政策の長い闇から強引に、少なくとも数万の命を犠牲にして抜け出した今、あの国の指導者たちは異口同音に、いざ力強い経済を取り戻すぞと叫び始めた。だが号令だけでは何も変わらない。

 

(1)「昨年末に開かれた共産党の中央経済工作会議で、今年は経済成長を政府の最優先課題とすると定められた。こうした党中央の固い決意を受け、地方の党幹部や首長らも同じ言葉を繰り返し、民間の投資家や実業家らの期待をあおっている。コロナの時代には見られなかった光景だ。こうした変化の政治的動機は明らかだ。国民が苛酷なゼロコロナ政策への不満を爆発させ、その廃止に伴う混乱にも失望している今は、一刻も早く党に対する信頼と支持を回復したい。だが成長賛歌の合唱だけでは不十分。大事なのは行動だ」 

中国の地方政府が日本へ殺到している理由は、経済成長を政府の最優先課題と定めた結果である。地方政府は、米中対立の一環で日本も中国へ警戒姿勢を取っていることを知らないのだろう。日本企業も脱中国路線を敷きはじめているのだ。

 

(2)「停滞する不動産業界へのテコ入れなど、小手先の対策では足りない。金融緩和やインフラ投資の拡大などの景気刺激策も、せいぜい短期の効果しかあるまい。ゼロコロナ政策は中国経済に深い傷痕を残した。それ以前には中小零細企業が4400万社もあった。登記された民間企業の約98%を占め、国内の雇用(公務員を除く)の8割前後を支えていた。ほかに、自営業者も9000万人以上いた」 

中国の底辺では、自営業など民営企業が経済を支えている。3年間のゼロコロナで、この層が大きな痛手を負っている。「コロナ明け」で、庶民が消費急増に走るような余力もない。これが、中国経済最大の弱点である。

 

(3)「ゼロコロナ政策で事情は一変した。ロックダウン中も中小零細業者への資金援助はなかったから、多くが廃業に追い込まれた。そこへ、地政学的な圧力が成長の阻害要因としてのしかかる。アメリカは中国が半導体を入手できないよう、これまで以上に力を入れている。オランダ企業ASMLが半導体製造装置を中国に売らないよう、同国政府に圧力をかけてもいる。米議会の下院で多数派となった共和党が、新たな経済制裁を打ち出す可能性もある」 

中国製造業も、米国から先端半導体技術の輸出規制の措置を受けて「大恐慌」状態だ。二つの半導体工場の建設はストップ状態に追込まれている。 

(4)「ウクライナでの戦争に関して、今も中国はロシアを非難していない。当然、EUは腹を立てており、アメリカと同様に経済的なデカップリング(切り離し)を急ぐべきだとの声も上がっている。こんな政治的緊張が続く限り、経済の先は見えない。投資意欲は冷え、外国企業の撤退で製造業の雇用は確実に減っていく。つまり、中国経済を再び成長軌道に乗せるには欧米諸国との関係改善が不可欠だ。しかし現時点で、米中関係は修復不能なほどに冷え込んでいる。どうすればいいか。プーチン政権下のロシアに対する支持を取り下げるのもいい。台湾に対する軍事的な威嚇をトーンダウンするのもいい。それだけでも投資家の心理は変わるだろう」 

米欧は、はっきりと中国と一線を引き始めている。同じ価値観を持つ国々と連帯するとして、「中国拒絶」姿勢を見せているのだ。この状況で、中国は経済を軌道に乗せるのは困難であろう。何らかの打開策がない限り、西側は門戸を開けまい。

 

(5)「一方で中国は、投資家の信頼を得られる改革に乗り出さねばならない。習近平(シー・チンピン)政権は古典的な共産主義イデオロギーにこだわり、社会と経済に対する党の支配を強化してきた。民間企業に党の支部を置き、貿易相手国への危険な挑発を繰り返したりするようでは、信頼回復など望めない。本気で成長を取り戻したいなら、かつて鄧小平が推進した政治改革の路線に戻るべきだ。とりわけ大事なのは法治主義の貫徹と司法の独立。さもないと民間事業者が自分の命と財産を守れない」 

習氏は、「中国式社会主義」を宣伝し過ぎて、今さら後へは退けない立場だ。これは、習氏が国家主席3期目を確実にする「選挙用アドバルーン」としても、西側諸国を警戒させるには十分なインパクトを残した。習氏は、鄧小平を仇のように扱っているが、政治家としての力量は習氏をはるか上回っている。鄧小平には偉大なる実践活動があった。習氏は、神輿に乗っているだけで自らつくり出したものはないのだ。鄧小平に学ぶべきだろう。

 

(6)「経済政策では、非効率な国有企業を民営化し、企業に優しい規制環境を整えること。中小零細企業に対する支援策も、成長の回復軌道を維持するには欠かせない。しかし今のところ、中国政府がこうした改革に乗り出す気配はない。成長を口にするだけで、1979年に毛沢東の階級闘争理論と決別した鄧小平のような気概で国の進路を変える兆しは見えない。党の甘言に乗せられてはいけない。この先も当面は、中国経済の息は上がったままだ」 

鄧小平路線で、中国経済の立直しをしなければ、中国経済は一段と追込まれる。すでに、人口減に陥っており、労働力不足が拍車を掛けるのだ。この状況で、米中デカップリングが進行すれば、中国経済に未来はない。