現代自は、17~20年まで営業利益率が5%を割込み、風前の灯火だった。かつては、サムスンと並んで韓国経済を支える柱になっていたほど。その現代自が、電気自動車へシフトして浮上した。昨年の販売台数は傘下の起亜自とあわせ685万台を達成し、世界3位の自動車メーカーになったのだ。
これには、現代自がコロナ禍で減産が遅れたので、業界で余った半導体が現代自へ自然に集まったというフロックがもたらした結果とも言える。運が良かったのだ。経営手腕とは別問題であり、これからの経営が気になるところである。
『日本経済新聞 電子版』(2月18日付)は、「現代自動車、世界3位に15年の計 会長主導で開発刷新」と題する記事を掲載した。
韓国の現代自動車グループが2022年の世界販売台数で3位に浮上した。685万台を販売し、仏ルノーと日産自動車、三菱自動車の連合を抜いた。かつて「日本車の二番煎じ」と冷やかされた現代自を根底から変えたのが、創業家3代目の鄭義宣(チョン・ウィソン)会長だ。躍進の底流には地道な15年の変革がある。
(1)「ここ数年の半導体不足によって他社が生産停止を迫られる中でも、現代自は部品の共通化と分散調達によって被害を最小に抑えた。ルノー・日産自動車・三菱自動車の日仏3社連合が22年の販売台数を前年比20%落とすなか、現代自Gは3%減にとどまった。サプライチェーン(供給網)問題への耐性が現代自を世界3位に導いた。サプライヤーによると、20年の新型コロナウイルスの拡散期に車大手が相次ぎ減産する中、現代自の減産の動きは遅かったという。売り先を失った部品類が現代自に集まり、半導体の在庫が豊富になった事情もあるようだ」
下線部は、「フロック」そのものだ。自動車メーカーはコロナ当初、一斉に自主的減産に入ったが、現代自は減産が遅れたのだ。そこで、引き取り手を失った半導体が、どっと現代自に流れ込み「半導体長者」になったのが真相。経営手腕ではない。
(2)「鄭会長主導で収益が拡大するなか、課題も顕在化している。特に大きな問題は中国市場の低迷だ。16年のピーク時に年113万台あった販売台数は、現地メーカーの台頭を受け、22年に25万台にまで急減した。中国内の過剰設備が重くのしかかっている。さらにロシアでもサンクトペテルブルク工場が稼働停止のままで、過去の拡大戦略の「後始末」が急務となっている。自動車業界では販売台数を追わない傾向も強まる。産業構造が変化する中で規模が必ずしも収益拡大につながらなくなっているためだ」
中国市場では、完全に失敗したケースである。自動車の品質まで問題にされる程で、中国では大きく信頼を失った形だ。
(3)「自動車産業の大変革期のなか、現代自動車は電気自動車(EV)への転換で一定の成果をあげている。ただ、自動運転技術など車の付加価値を左右するソフトウエア分野にでは、備えが十分とは言いがたい。製造業に偏重する韓国産業界において、ソフトウエアの技術者不足という難題が待ち受けている。そこで重要となるのが半導体とソフトウエアだ。鄭会長は23年1月3日の従業員との対話集会で「自動運転車には現在のおよそ10倍の2000個の半導体チップが搭載される。我々の企業文化に、新たに電子企業を上回る『緻密さ』を加えて製品品質を高めていく必要がある」と語った」
自動車に必要な半導体は、汎用品のメモリーでなく、非メモリーのシステム半導体である。韓国での調達が難しいのだ。もう一つ、ソフトウエアの技術者も韓国では不足している。これが、現代自の泣き所になっている。
(4)「現代自は外部提携にソフト開発の活路を見いだす。22年9月には韓国通信大手KTと相互に7500億ウォンずつ出資し合う資本・業務提携を結んだ。自動運転技術のための通信技術の共同開発のほか、データセンター運用などでも協力する。ロボットや都市航空交通(空飛ぶタクシー、UAM)分野での協業も今後協議するとしている。鄭会長は「パートナーとの協力関係を築き、協業関係を高める文化を社内に根付かせることが未来の成功要素となる」と社内に呼びかける。この言葉には、社内の人材不足への焦燥もにじむ。自動車産業の地殻変動に対応する上で、人材流動性の低さや強硬労組を抱えることが思わぬ落とし穴になる恐れもある」
社内の人材不足は、外部のパートナーに依存するほかない。下線部は、韓国が年功序列・終身雇用に執着しており、転職市場が育たないことを意味している。韓国経済そのもののウイークポイントだ。


コメント
コメントする