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1980年代に大学生活を送った「86世代」は、反日チャンピオンである。皮肉にも、この世代が監督・製作した反日映画は、興行成績が振るわず苦境に立たされているという。「韓国は善・日本が悪」という構図の映画では、観客を引きつけられないのだ。

 

韓国の20代・30代の意識では、「最も遠く感じる国」を尋ねる質問に対して、北朝鮮(29.1%)に次いで中国(25.3%)、ロシア(24.5%)が上がった。日本(18.5%)は朝中ロの後である。米国(2.6%)の人気は圧倒的である。『朝鮮日報』(1月29日付)が報じた。この調査によれば、若者による日本への嫌悪感は大きく低下している。いつまでも、反日がビジネスになる時代は終わろうとしているのかも知れない。

 

『朝鮮日報』(2月19日付)は、「『何が何でも反日』にNO、韓国で興行不振続く抗日映画」と題する記事を掲載した。

 

映画興行を助ける材料とされてきた「抗日(反日)」が、最近の映画館街では今ひとつになりつつある。

 

(1)「李舜臣(イ・スンシン)将軍が主人公の『ハンサン -龍の出現-』は観客726万人を集めたが、その前編に当たる2014年の映画『バトル・オーシャン 海上決戦』(1761万人)に比べると観客動員数が半分にもならず、興行的には振るわなかった。安重根(アン・ジュングン)義士の最期の1年を描いた映画『英雄』=原題=は公開されてから2カ月近くになるが、損益分岐点(340万人)をいまだに超えられていない。ソル・ギョングとイ・ハニの主演で朝鮮総督暗殺作戦を描いた『幽霊』=原題=、認知症の高齢者が60年ぶりに親日派に復讐(ふくしゅう)するという映画『リメンバー』=原題=は惨敗した。抗日映画は昨年夏からずっと興行不振に陥っているのだ」

 

下線部は、ユン政権が登場して日韓関係修復に動いていることも影響しているであろう。政治家が、「反日」を叫ぶかどうかが空気を変えるのだ。

 

(2)「新型コロナウイルス感染拡大前の2010年代は『バトル・オーシャン 海上決戦』『暗殺』『密偵』『鳳梧洞戦闘』=原題=など、日本を敵と設定した映画のほとんどが大きな収益を上げた。例外は『軍艦島』と『隻眼の虎』だけだった。ところが、最近の抗日映画は相次いで無残な興行成績となっており、「映画館街で『無条件の反日』や『ノージャパン(日本製品不買運動)』が通用した時代は終わった」という見方が出ている」

 

文政権の異常な反日が終わって、韓国の雰囲気は変わってきたのであろう。

 

(3)「映画市場アナリストのキム・ヒョンホ氏は、「商業映画がよく使っていた従来の抗日テーマは、今後の市場をリードする20~30代の観客たちには訴える力があまりない」「かつては『日本に勝ちたい』という心理がヒットの助けとなったが、最近の若い観客たちはその段階を通り過ぎて『克日』を達成し、今は日本を見る目に余裕ができているためだ」と分析した。「製作費100億~200億ウォン(約10億~20億円)の映画を作る監督・プロデューサー・投資家はほとんどが40~50代なので、過去の慣性から抜け出せないでいることが問題だ」という指摘もあった」

 

韓国の若者は、日本旅行で実情を理解するようになっている。何よりも、日本旅行が最大のレジャーの彼らにとって、日本を悪し様に叫ぶ映画と距離を置いているのだ。

 

(4)「『ハンサン -龍の出現-』は、韓国歴代興行成績ランキング1位『バトル・オーシャン 海上決戦』の続編ということで、観客動員数1000万人を達成できるかどうかに関心が寄せられていた。ところが、新型コロナの防疫措置が解除された夏のかき入れ時に公開されたものの、興行成績は『バトル・オーシャン 海上決戦』より1000万人も少なかった。今年末に公開予定の「李舜臣三部作」最終作の『露梁(ノリャン):死の海』=原題=も興行を楽観できなくなった。『英雄』はミュージカル映画という違和感や、主人公たちが歌う時の動機付けが不十分な点などが問題視されて興行不振だ」

 

李舜臣は、秀吉の時代に朝鮮で活躍した英雄である。その映画に、これだけの期待を寄せることが理解を超えている。日本でいえば、「加藤清正」の映画三部作ができたとしても、興行的に成功することはない。韓国人の愛国心は熱狂的であるが、それも冷めてきたのだろう。

 

(5)「映画評論家のユン・ソンウン氏は、「『ハンサン -龍の出現-』と『英雄』は実在の人物を取り上げているからいいとしても、『幽霊』や『リメンバー』のように悲壮感でアプローチする抗日映画は時代錯誤的だ」「動画配信サービスの時代になり、コンテンツの国籍を問わず『面白ければ見る』という実用主義が大勢になっている。無条件に『反日』や『クッポン(盲目的な愛国心)』を強調する映画は以前ほどのパワーがない」と評した」

 

韓国の「反日」は、民族主義の発露としても、いずれ消えるであろう。日本で戦後、「反米」を叫んでいた革新政党もその声は聞えない程度になっている。日本で今、「反米」を叫べば、中国の回し者かという目で見られる。時代の変化とは、こういうことを指すのであろう。