ムシトリナデシコ
   

韓国は長い間、米中「二股外交」に慣れてきた結果、最近の米国からの厳しい要求に戸惑っている。米国で、韓国企業が半導体とEV(電気自動車)充電器生産で補助金を受けるには、それに伴う条件があるのだ。韓国は、これまで無条件で補助金を受けられると見てきただけに、対応に苦慮している。韓国は、米国へ甘えていたことで目を覚まされたと言えそうだ。

 

米国は、国内で半導体投資する企業に対し国籍を問わず補助金を支給する。その場合、中国で一定規格以上の半導体生産を禁じる内容だ。補助金支給は、一般論としては政策目的遂行で行なうものだ。「無条件給付」を期待する方が、世間知らずという非難を浴びるであろう。

 

米政府高官は、こうした背景から次のように発言した。中国内に生産施設を持つ韓国半導体企業は今後、「半導体装備の中国輸入が難しくなるかもしれない」とした。この発言は、米国への投資計画を明らかにしたサムスン電子とSKハイニックスの補助金申請手続きが始まる2月28日(現地時間)を控えて出た点で、注目を集めている。韓国企業に米国への投資を促すと同時に、中国での生産に制限を置く可能性を示唆するもので、圧力をかけている格好だ。

 

韓国にとっては、半導体輸出の40%が中国向けである。それだけに将来、中国でより微細な半導体生産ができなくなれば、最終手段としては工場閉鎖という最悪事態が待ち受けている。これは、中国からの撤退を意味するだけに痛手になる。

 

一方で、米国におけるEV充電器生産の補助金でも、部品の55%以上は「米国製」という条件が付いた。韓国企業は、対応に大童である。

 

『東亞日報』(2月25日付)は、「米国でEV充電器のIRA、『使用部品の55%以上は米国製に』」と題する記事を掲載した。

 

米国の自国優先主義を意味する「アメリカファースト」の戦略が、韓国産業界をますます強く締め付けている。韓国半導体企業の中国内での生産を制限できるという米政府関係者の一言に、半導体業界は不確実性がさらに大きくなっている。バッテリー業界では、インフレ削減法(IRA)の細部ガイドラインの発表を1ヶ月後に控え、「充電器のIRA」まで登場した。企業の間では、「米国が韓国の主力成長産業である半導体とバッテリーを両手に握って揺さぶっている」という話が出ている。

 

(1)「26日、連業界によると、バイデン政権が2月15日(現地時間)に発表した「バイ・アメリカ」法案の細部規定により、韓国国内企業は大きな混乱に陥っている。政府が約10兆ウォンを投入して、全米に電気自動車(EV)の充電スタンド50万台を建設することにした同法案は、2021年に可決された。ところが細部規定で充電器の補助金を受けるためには、米国産鉄鋼を使い、米国で最終的に組み立てなければならないという但し書きを付けた。特に来年7月からは、部品の55%以上を米国で製造しなければならない。事実上、充電器のIRAということになる」

 

米国が、充電器生産に補助金をつけるのは、米国鉄鋼業への支援と新たな雇用を増やす目的である。米国民の税金を使う補助金だけに、当然つけられる条件だ。そうでなければ、米国民の反発を受けることになろう。韓国は、こういう意味で外交に疎い。外国企業が、無条件で補助金を受けられるという「甘え」に浸っていたのだろう。そういう「棚ぼた」ビジネスは存在しない。もはや、「自由貿易」時代は終わったと言うべきだろう。

(2)「米国への輸出を狙っていた国内メーカー各社は、突然、現地工場の設立を悩まなければならない状況となっている。米国での現地生産の準備をしていた企業も、米国産資材の確保に赤信号が灯っている。充電器メーカーのA社の関係者は、「米国産資材は質が落ちる場合が多いだけでなく、今になって急いで供給先を確保するためには、現地のメーカーより相対的に高い価格で契約するほかはない」と話した」

この問題は、在米韓国大使館の情報収集能力の低さを示している。韓国大使館員は常時、米国務省へ顔を出していないという。必要な時しか現れないのだ。その点、日本大使館員は用事があろうとなかろうと、米国務省へ出向いている。そのたびに、「メイアイ・ヘルプユー」(用事はありますか)と言うのだという。こういう密接な接触から、米国の動きを知ることができはずだ。今回は、韓国大使館の情報収集能力の問題を示している。