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中国は、昨年下半期(7~12月)の対内直接投資が73%減という厳しい落込みになった。これは、資本流入減と同時に技術革新を停滞させるので、中国経済にはマイナス要因である。昨年下半期は、ゼロコロナ真っ盛りという混乱期であったので、対内直接投資が減るのは当然としても、73%減とは驚くほかない。

『日本経済新聞 電子版』(2月27日付)は、「外資の中国投資18年ぶり低迷、22年下期 最大の73%減」と題する記事を掲載した。

外資の中国投資が低迷している。2022年下半期(7〜12月)の対中直接投資は18年ぶりの低水準だった。米中対立の激化や改革後退の懸念が投資リスクを高め、急速な少子高齢化で国内の消費市場も成長が鈍る恐れがある。資本流入の停滞が続くようなら技術革新が鈍り、将来の経済成長に影を落とす。

(1)「中国国家外貨管理局がまとめた国際収支統計によると、外国企業が中国で工場建設などに投じた対内直接投資は22年7〜12月に425億ドル(約5兆8000億円)にとどまった。20年7〜12月から22年1〜6月までは平均で1600億ドルを超えていた。前年同期からの減少率は73%と、確認できる1999年以降で最大を記録した。中国企業による対外直接投資は同21%増の842億ドルだった。海外に向かう資金が国内に入ってくる資金を417億ドル上回り、5年半ぶりに流出超過となった」

昨年下半期の対内直接投資は、劇的な減少になった。ゼロコロナを巡るあの大混乱を見れば、外資企業も投資に二の足を踏んで当然だろう。一度、傷ついた信用はなかなか回復しないものだ。外資は、必ず安全策を取る。習政権の本質を見せつけられた思いであろう。

(2)「米調査会社ロジウム・グループによる欧州企業の過去10年の対中直接投資の分析では、近年新たに中国に進出する企業はほとんど無かった。投資を継続する自動車大手なども技術流出を防ぐため、部品調達先を中国以外に広げる「社内デカップリング(分断)」を進めている。国際収支の統計で対内直接投資のマイナスとなる中国事業の縮小や撤退も目立った。製造業など工業分野では、2022年末時点の外国企業数が前年末を0.5%下回り、3年ぶりに減少した。先端技術をめぐる米中の対立で中国を世界のサプライチェーン(供給網)の中核に据えるリスクが高まった。ソニーグループは22年末までに、日米欧で販売する大半のカメラの生産を中国からタイの工場に移した」

下線部は、外資が中国に技術盗用されないように「自衛手段」を取っている。部品調達先を「脱中国」に変えている。中国は、ここまで信用を失っているのだ。ソニーは、輸出製品をタイ工場へ移して、地政学リスクを回避する。

(3)「中国政府は23年にゼロコロナ政策を撤廃し経済の正常化を急ぐ。3月の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)に向けて新たな景気対策への期待も膨らむ。商務省によると1月に実際にお金が動いた直接投資は前年同月比20%の増加に転じた。それでも対中投資が戻ってくるかは不透明だ。経済コストを度外視した防疫措置を取った習近平(シー・ジンピン)指導部に対する外国企業の不信感は拭えない。米大手企業が加盟する米中ビジネス協議会が22年6月に実施した調査では、会員企業の44%が「新型コロナの政策が修正されても、中国市場への自信を取り戻すのに数年かかる」と答えた」

習氏が、突然の政策変更を行なうリスクは極めて大きい。事前の予測ができないからだ。事業では、予測できないリスクを最も嫌うもの。習氏への権力集中は、これに比例してリスクを高めるのだ。

(4)「中国に代わって外資の受け皿になっているのが東南アジアの新興国だ。22年のタイへの外国企業の直接投資の新規申請は前年比36%増の4339億バーツ(約1兆7000億円)だった。台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業は11月に電気自動車(EV)の完成車工場を着工した。米穀物大手カーギルが、バイオプラスチック工場を計画するなど環境関連の投資も目立つ」

中国リスクが高まれば高まるほど、ASEAN(東南アジア諸国連合)にはプラスだ。「脱中国」企業が、ASEANへ移転するからである。

(5)「ベトナムは22年の外国企業による直接投資(認可件数ベース、出資除く)が15%増えた。韓国サムスン電子は2億2000万ドルを投じて首都ハノイに研究員ら約2200人が常駐する研究開発センターを開設した。スマートフォンの主力工場を構えるグローバル戦略拠点としてベトナム事業を強化する」

サムスンが、ベトナムで研究開発センターを開設する。スマホ主力工場も運営しており、中国に代わる生産基地にしている。サムスンは、いずれ中国の半導体工場も米国の規制によって撤退を迫られるであろう。研究開発センター開設は、その布石と見られる。