テイカカズラ
   

アップルの高級機種iPhoneは、若者世代で圧倒的な支持を受けている。サムスンのお膝元ソウルの大学生も、多くがアップルに乗り換えているという。iPhoneは、使い勝手が良くiPhone同士の画像送信機能「AirDrop(エアドロップ)」などが決め手になったとユーザーは話す。この画像には、ソニーの半導体が使われているのだ。 

『ウォール・ストリート・ジャーナル』(2月28日付)は、「iPhoneがZ世代に浸透、高級スマホの王座盤石に」と題する記事を掲載した。 

世界のスマートフォン市場でアップルの「iPhone(アイフォーン)」が首位の座を不動のものにしつつある。若者の間にじわり浸透しており、圧倒的なシェアを誇る米国内の市場動向が世界にも広がってきた。

 

(1)「アップルは、欧州からアジアまで、高級スマホ市場でシェアを伸ばしている。また調査によると、10代~20代前半の「Z世代」の間でiPhoneは生活に欠かせない「マストアイテム」との認識が浸透していることも分かった。他メーカーのスマホから乗り換えた消費者はiPhoneのデザインやカメラ、iPhone同士の画像送信機能「AirDrop(エアドロップ)」などが決め手になったと話している」 

若者の代表であるZ世代は、iPhone同士の画像送信機能が決め手という。前述の通り、ソニーの半導体が主役である。ソニーは現在、熊本で新工場を建設中だ。昨秋、アップルのCEOがわざわざ訪日して、この新工場建設工場を視察するほど力を入れている。さらなる、新製品を出す予定なのだろう。

 

(2)「こうした流れは、アップル最大のライバル、韓国サムスン電子にとっては脅威であり、世界スマホ市場全体でサムスンが握る首位の座を脅かしかねない。サムスンの「裏庭」である韓国では、グーグルのモバイル端末向け基本ソフト(OS)「アンドロイド」を搭載したサムスン製スマホが大きな影響力を持っている。だが、アップルが初の直営店を出店した2018年以降は、iPhoneの存在感がじわり高まってきた。アップルは現在、韓国に直営店を4店舗展開しており、モバイル決済サービス「アップルペイ」も近く同国で開始する予定だ」 

アップルは、サムスンの牙城ソウルで若者をターゲットに販売戦略を展開し成果を上げている。直営店を4店舗展開中だ。

 

(3)「調査会社ギャラップコリアが行った2022年時点の調査では、韓国の18~29歳の層でiPhone利用者は全体の約52%と、2年前の44%からシェアが拡大した。対照的に、この年齢層におけるサムスンのシェアは同期間に45%から44%に下がった。これよりも年齢が高い層では、すべてサムスンがトップだった。ソウルの大学生、チャン・キョンリムさん(22)は友人のほぼ全員がiPhoneを使っていると話す。サムスン製スマホも見た目が洗練されてきており、最新の旗艦スマホもカラーが豊富で好きだが、アップルのデザイン性や写真の品質の高さはかねて高く評価されていたと言う」 

韓国の18~29歳の層では、iPhone利用者が全体の約52%である。2年前の44%からついに過半になった。サムスンは45%から44%へと微減。

 

(4)「若者の心をつかんでいることで、アップルは高級スマホの王座の地位を固めることになりそうだ。800ドル(約11万円)以上のスマホの世界出荷台数で、アップルの市場シェアは昨年、2018年の65%から76%に拡大する一方、サムスンは27%から17%に低下した。テック市場専門の調査会社カナリスが分析した。アップル躍進の大きな原動力となったのが中国だ。背景には、アップルのもう一つの競合相手である華為技術(ファーウェイ)が、米国の制裁措置により大きな打撃を受けたことがある」 

若者のアップル・フアンを増やしているので、高級機種(800ドル以上)へと誘導できる基盤が整った。高級機種シェアでは昨年、世界でアップルが76%へ上昇、サムスンが17%へ後退している。アップル躍進の原動力は、中国でファーウェイが米制裁により撤退したシェアを、アップルがそのまま獲得した結果だ。これは、採算面で大きく寄与する。

 

(5)「サムスンは2012年以降、スマホ市場全体では世界トップの座を維持している。ただ、ここでもアップルは差を縮めつつある。カナリスによると、サムスンの市場シェアは過去5年に約21%でほぼ一定しているのに対し、アップルは18年の15%から22年には19%までシェアを広げた」 

サムスンは2012年以降、スマホ市場全体で世界トップの座にある。だが、21%で頭打ちである一方、アップルは19%にまで急迫している。アップルの逆転が視野に入ってきた。 

(6)「メーカーにとって高級スマホ市場は極めて重要だ。利益が最も大きいことに加え、技術面での優位性や市場のリーダーとしての存在感を存分にアピールできるためだ。カウンターポイント・リサーチのディレクターでソウルに拠点を置くトム・カン氏はこう指摘する。さらに、高級スマホは市場全体が急激に落ち込む中でも底堅さをみせている。昨年のスマホ全体の世界出荷台数は12%減となる中でも、800ドルを超える高級スマホに限っては1%増と、プラスを維持した(カナリス調べ)」 

アップルが、高級機種でサムスンをリードしたことは、アップルが名実共に「世界一」というイメージを打ち立てることになった。これは、ブランド価値を一段と引上げユーザー訴求力を高める。アプルは完全に優位に立った。その裏方が、ソニーであることを忘れてはいけない。