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韓国は、昨年下半期からの輸出がウォン安にも関わらず減少していることに危機感を強めている。だが、韓国輸出では輸出先トップが中国であること。輸出品トップが半導体である。いずれも需要そのものが落込んでおり、ウォン安でもカバーできないのが実情であろう。韓国は、こういう分析をしないで騒ぎ立てている感じだ。

 

『中央日報』(3月14日付)は、「縮小する『メイド・イン・コリア』の割合…輸出、為替相場効果も通じない」と題する記事を掲載した。

 

輸出大国」韓国の地位が揺らいでいる。ウォン相場が下がれば輸出景気が良くなるという公式ももう通じない。昨年から続いたウォン安でも輸出実績は底なしに下落中だ。

(1)「世界貿易機関(WTO)の輸出入統計を分析した結果、昨年7-9月期に世界の国で輸入した6兆4625億ドル相当の商品のうち韓国産は1741億ドルで、2.69%を占めた。2021年までだけでも3%前後を維持してきた韓国の輸出割合は昨年7-9月期に2%中盤で落ちた。年間で0.22ポイント下落し2009年1-3月期の2.65%から13年余りで最低値を記録した。コロナ禍とロシア・ウクライナ戦争危機の中でも2.8~2.9%水準を維持した韓国の輸出割合は、昨年下半期から急速に下り坂に入った。米国と中国が主導する供給網再編の中で韓国製品の立地が狭まっているという意味だ」

 

下線部のように、韓国の輸出が昨年下半期から急減した背景を見れば理由はすぐに分る筈だ。中国輸出と半導体輸出の急減である。半導体については、これまでも好不況を繰返してきたが、中国市場の落ち込みはかつてないことだ。不動産バブル崩壊が、ゼロコロナの後遺症と重なって強く出ているのであろう。もう一つ、パンデミック下で起こった世界的な過剰需要は、すでに消えている。この反動が、中国を襲っていると見るべきだ。

 

(2)「韓国の輸出で20%近い割合を占めている半導体景気が冷え込んだ影響も大きかった。何より「ウォン安→韓国商品の価格競争力上昇→輸出好況」というこれまでの公式がこれ以上通じなくなった。昨年下半期の為替相場が1ドル=1300~1400ウォン台で推移する弱気相場の中で輸出景気はさらに早く後退した。国際決済銀行(BIS)によると昨年のウォン実質実効為替相場は10年来の安値水準を記録した。実質実効為替相場は物価、貿易割合などを考慮し購買力で換算した実際の通貨価値を意味する」

 

輸出が、ウォン安に反応しないのは、需要そのものが急減しているからだろう。魚のいないところ(需要減)で、いくらエサ(ウォン安)を蒔いても魚は釣れない。この理屈で言えば、現在、韓国が直面している輸出減少への対応策はないだろう。

 

(3)「これは、為替相場が輸出実績に及ぼす影響力の大幅減を意味する。韓国企業が海外から原材料を調達し、加工して輸出したり、中間財を送った後に現地で完成品を生産する輸出方式がすでに定着している。ウォン相場下落にともなう価格競争力強化の効果は減り、原材料などを高く調達しなければならない負担が大きくなった。半導体、自動車、ディスプレー、一般機械など韓国の主力産業の大部分が価格(為替相場)より技術競争力によって揺らぐ市場である点も影響した

 

下線部は、パンデミック下で過剰需要が消えて正常化していることと無縁ではあるまい。韓国半導体は、汎用品のメモリー半導体である。最も市況変動に揺さぶられる分野である。ここから脱するには、受注生産の非メモリー半導体のウエイトを増やさなければならないが、技術の壁に阻まれている。要するに、韓国製品が技術的に超一流でないことを示している。

 

(4)「産業研究院も昨年まとめた報告書「ウォン相場の輸出影響減少と示唆点」で、「主要産業の輸出に対する為替相場の影響力が2010年以降著しく弱まった」と診断した。その上で「実質実効為替相場1%下落が2010年以前には主要産業輸出を0.71%増加させる効果を出したが2010年以降は0.55%の増加にとどまった」と伝えた」

 

韓国は、現地生産のウエイトが高まっている面もあろう。日本も、円安になって輸出が増えないという事態が起こっている。日本は、企業の海外投資による所得収支で世界一の黒字国である。韓国は、まだそこまで行っていない点で、中途半端な存在だ。

 

(5)「韓国の輸出市場に立ち込める暗雲は、今年に入りさらに深まった。1月から今月10日までの累積輸出実績は前年同期比12.6%のマイナスだ。累積貿易赤字だけで228億ドルに迫る。反転の機会を見つけるのは容易でない」

韓国は、底の浅い経済である。輸出依存度が36.14%(対GDP比:2021年)もある。日本は、15.13%(同)だ。日本は、韓国の半分以下である。韓国と日本では、輸出依存度がこれだけ異なる。その意味で、日本経済のほうが安定性はあるのだ。