あじさいのたまご
   


中国の消費購買力は急激に低下している。自動車メーカーは、操業度維持目的で「1台買ったらもう1台おまけ」という乱売合戦である。自動車取得税免除の優遇策は、昨年末で終わったが、地方政府が定価の半額も補助金を支給している。

 

『大紀元』(3月18日付)は、「中国、自動車販売業界で『自殺式』の価格競争 メーカーは『生産ラインの維持』に必死か」と題する記事を掲載した。

 

経済の低迷や国内需要の伸び悩みなど多くの問題を抱える中国。今年初めから、中国の自動車販売業界は「自殺式」と言われるほどの値引きをするなど、熾烈な価格競争が巻き起こっている。

 

(1)「国産自動車メーカーのBYD(比亞迪)や長安汽車などでは、相次ぎ大幅な値下げを発表している。また、自動車を対象とする消費促進のため、購入代金の補助などの政策を打ち出す地方政府も少なくない。自動車購入時の補助対象車は、東風ホンダ、東風日産、東風シトロエンなどをはじめとする7ブランドの56車種。補助金の上限額について、1例を挙げると、神龍汽車傘下の東風シトロエンの「C6」シリーズ(2016年発売、定価18.9万元)では、定価の半額以上の9万元(約173万円)となっている

 

定価の半額以上の補助金が付いている。販売不振が、いかに深刻であるかを示している。

 

(2)「BYDのウィーチャット(微信)公式アカウントは今月9日、3月10日~31日の間、2大主力モデルについて期間限定の特別値引きキャンペーンを行うと発表した。車種によっては8800元(約17万円)値引きした価格で購入できる。また「長安汽車」も今月9日に、今月末まで期間限定の値引きキャンペーンを実施すると告知した。公式の車種ごとの値引き一覧表によると、最も割引率の高い「CS75シリーズ」では、メーカー希望価格10.2万元(約196万)より4万元引き(約76万円)のセール価格で売られている」

 

値引き販売も行なわれている。約196万の車が76万で販売されている。62%引きである。

 

(3)「3月12日にツイッターに投稿されたある画像は、中国の自動車販売店内で撮られたものと思われるが、メーカー希望価格20万元(約384万円)の「一汽トヨタ」のセダン「アバロン(Avalon、亜洲龍).L」が12.5万元(約240万円)というセール価格で売られていた。またメーカー希望価格17万元(約327万円)の中国仕様のホンダ新型「CR-V」は10.9万元(約209万円)だった。いずれも40%ほどの値引きである。さらに、SNSに投稿された自動車販売代理店(中国・広東省中山市)の販売促進キャンペーンの広告には「1台買うと、さらに1台プレゼントします(買一送一)」と書かれていた。キャンペーン期限は3月末となっている」

 

384万円のトヨタ車は、240万円である。37.5%引きである。327万円のホンダ車は、209万円で36%引きである。「1台買うと、さらに1台プレゼントします」というキャンペーン価格まで登場している。

 

(4)「同業界を引っ張るリーダー的存在であるBYD(比亞迪)や長安汽車の相次ぐ値下げ発表について、そこには「大きな意味がある」と、中国メディア「澎湃新聞」の11日付は指摘する。報道では、江西新エネルギー科技職業学院の新エネルギー自動車技術研究院の院長・張翔氏の話を引用して、大手自動車企業による大幅な値下げ現象について、次のように分析した。「中国の自動車産業は、生産過剰で、しかも売れ行きが良くない。しかし、あまりに売れなければ、生産ラインの維持すらできなくなる。東風のような大手自動車企業にとっては、利益追求の前に、工場を稼働させ生産ラインを維持することが最優先だ」と指摘。

 

工場を稼働させて、生産ラインを維持することが最優先という状況である。各社とも減産すれば良いのだが、シェア競争しているのであろう。

 

(5)「中国汽車流通協会(CADA)の市場マーケティング部門による8日付の分析発表によると、今年1月~2月の全国の乗用車の販売台数は前年同期比19.8%減の267.9万台。東風汽車集団による同日(8日)の発表で、1月~2月の同集団の累計自動車販売台数は、前年同期比48.48%減の26.2万台だった。このような売れ行き低下のなか、最近では、東風汽車集団傘下の新エネルギー車(NEV)メーカーである嵐図汽車(VOYAH)が「人員削減を始めた」と中国ポータルサイト・新浪(SINA.COM)などが報じた。ツイッターには「3月14日、広東省恵州BYD、作業場全体で半月の稼働停止」と題される動画が投稿されている。この作業場は、従業員に半月の「強制休暇」を取らせることになるが、その分の給与が保障されるかどうか、投稿された動画からは分からない」

 

自動車業界も人員整理が始まった。無理した値引き競争よりも、減産=人員削減のほうが傷は浅いだろう。赤字販売は、需要の先食いで業績回復を遅らせるだけだ。