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韓国は、政府の旧徴用工賠償解決策に対して猛烈な反対運動が起こっている。注目すべきは、カトリック司祭団体が、反対ミサを行ない激烈な「反日運動」を行なっている点だ。宗教と政治は分化しているものだが、韓国では一体化している。この辺りに韓国社会の前近代性が浮き彫りになっている。

 

キリスト教の歴史によれば、当初は法律・政治・科学などがすべて混合状態であった。それが16世紀、天体観測によって天動説が覆されて、地動説が承認されるとともに、それぞれ分化・独立してきた歴史がある。こういう歴史を辿れば、韓国のカトリック司祭が行なうユン政権糾弾ミサは、歴史の歯車を逆回転せせる現象に見える。

 

『ハンギョレ新聞』(3月22日付)は、「韓国のカトリック司祭団体、『尹錫悦退陣』時局ミサ」と題する記事を掲載した。

 

「買弁売国、屈辱屈従、検察独裁、尹錫悦(ユン・ソクヨル)退陣を命令する」 カトリック正義具現全国司祭団(正義具現司祭団)は20日午後7時、全羅北道全州市(チョンジュシ)の豊南門(プンナンムン)広場で民主主義回復と平和を願い、検察独裁打倒と買弁売国独裁政権退陣を要求する時局ミサを開いた。正義具現司祭団が政権退陣を要求する時局ミサを開いたのは、尹錫悦政権では今回が初めて。

 

(1)「この日のミサは神父、修道女、市民など主催者側推算1000人余り(警察推算500人余り)が参加する中で開かれた。全州教区のキム・ジンファ神父は説教を通して「私たちは惨憺たる思いで、しかし断固として、『憲法を踏みにじり国民の自尊心を踏み付けたためもうその座から下りるべし』と言わなければならない。私たちは、とにかく大統領に選ばれたのだから成功するよう祈ってきた。だが今、私たちは声を張り上げなければならない。私たちは国民を裏切って日本に平身低頭する土着倭寇を王とするわけにはいかない。正気に戻れと叫ぼう。神は私たちの側におられる」と述べた」

 

このパラグラフを読むと、完全な民族主義の立場である。本来のカソリックの包容性は失われているのだ。これが、宗教と言えるのかと疑問を抱かせる。かつて、ローマ法王が訪韓した際に、韓国信者への「苦言」を呈していた。寛容と慈悲の心を持てと諭されたのである。全くその通りである。

 

(2)「正義具現司祭団は、この日「絶体絶命の今、泣訴します」という声明書を通して「尹錫悦政権が歴史に永く輝くことを心より祈願し、梨泰院(イテウォン)惨事で退陣の声が高まった時も私たちの生活方式を作り直すのが先だとして期待を捨てずにいたが、今日、大統領の勇退を促す」と明らかにした。司祭団はさらに「新しい道が怖くて後戻りしようとするのは万民共通の慣性だ。だが、もはやそうしてはいられない。それでは明日を約束することができないからだ。もう慣性のままではいけなくなった世の中、これまでと同じように生きていては滅ぶ道しかないとして、根本から新たに出発しようとした三一精神をもって、今日の災いに立ち向かおう」と訴えた」

 

文在寅前大統領もカソリック教徒である。その文氏が、あのような反日運動を展開したことを思えば、韓国カソリックが極めて特異の戦闘集団であることが分かる。

 

(3)「正義具現司祭団のソン・ニョンホン総務神父は「彼が日本に行ってきて以来、私たちの大統領ではない、日本のための大統領だと考えるようになった。韓国人だと思ったのに、日本のために働く、国民と関係ない他の働きをする大統領だった。だからこそ私たちが立ち上がって退陣を要求するのだ。時は熟した。(この豊南門広場は) 朴槿惠(パク・クネ)元大統領の退陣を要求した場所だ。本当に国民による大統領、国民と共にする大統領、国民の生と共にする大統領が必要だ」と語った」

 

このパラグラフでは、ユン大統領が訪日したから糾弾するという単純さである。バリバリの民族主義集団である。こういう形で信徒を煽動して行くのだが、将来の韓国の青写真などあるはずもないようだ。感情に流されての動きと言うほかない。日本は、こういう韓国と交流しなければならない「地政学的リスク」を抱える。韓国社会は、未だに天動説に支配されているのだろう。